妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

この世界は優しさで満ちている

この世界のどこかで、今も誰かが戦っている......

戦争は終わらない。誰かが何かを争っている。
傷つく人は多いし、日本のように恵まれた国はきっと少ない。
でも恵まれてるはずなのに、生きるのは十分に大変で、自分の手の中にある何かを、誰かに分け与える余裕すらない。
この世界はこんなにも美しいのに歪んでる。だからこそ、美しいのかもしれないけど。
神様を信じてる人たち同士だって戦うのは不思議。
世界が狭くなったからかな。
それとも手塚治虫火の鳥の世界のように、世界は何度もそれを繰り返すのかな。
でもそれでも、この世界は優しさに満ちているとも思うんだよ。いつだって誰かの優しさに、知らぬ間に癒されて救われて、生きていけてると思うんだよ。
私がしんどそうだとMSGをくれる人がいて、悩んでそうだと好きにしたらいいとMSGをくれる人がいて。同じセブチが好きだっていうだけなのにね。

 

この世界のどこかで、今も誰かが泣いている......

私はよく泣く方なので、そしてそれが悪いことではないと思ってるので、泣くことは嫌いではない。
今も半分ぐらい泣きながら文字を打ってるし。
でもね、耐えて耐えて泣くのは辛いかもしれない。声を殺して、たまらんくなって零す涙は、悲しいかもしれん。
あぁ声を出してお泣き。泣いた後に笑えるぐらいにお泣き。そう思うんよ。
泣くことは悪くない。サッパリするから。心の中に溜まった何かを洗い流していく作用だってある気もするから。
明日笑うための、力にもなるはずだから。
本を読んでもドラマを見ても映画を見ても、自分で妄想しても簡単に泣くけど。
泣くのは悪くない。悲しくて辛くて泣いてる時には気づかないけど、涙が出るなら、それはもう次に進めてる気がする。
もちろん、そんな悲しくて泣くような出来事は、起きないに限るけど、でも泣かずに生きてきた人なんていないはず。だから。
あぁでも泣いて欲しくはないんだよ。本当は。
できるなら笑ってばかりの人生でいて欲しい。時々笑いすぎて涙が止まらなくなるとか、そういうのだけがいい。
この世界のどこかで、今も誰かが泣いている。けどそれは、君じゃなければいい。

 

この世界のどこかで、今も誰かが救われている......

たかがアイドルなのに、確かに救われてる人がいるんだよ。
たかだかアイドルなのに、確かに癒されて励まされている人がいるんだよ。
誰かにとっては見知らぬアイドルで、国も違うからその存在さえ知らない人がいる世界で、でも確実に私は彼の存在に救われている。と思う。
ただ笑っていてくれるだけで、こんなにも幸せになるんだから。
色んな顔を見せてくれるだけで、こんなにも救われてるんだから。
きっとそれは、私だけじゃないはず。
そしてそれは、人それぞれなはず。
みんがみな、同じようにじゃないんだよ。それぞれ、色んな理由で堪らない時があって、でもそんな色んな理由を救ってくれてるんだよ。
その笑顔で、歌声で、表情で、動きで、発する言葉で、態度で。

 

この世界のどこかで、今も誰かに嫉まれている......

いや、憧れられているとも言うし、愛されているとも言う。
才能豊かな人は多いし、綺麗な人も、カッコいい人も、世の中には多いけれど、それをすべて覆しても余りあるほど、彼は何かを持っている。
そう、何かなんだよ。
愛嬌なのか、愛くるしさなのか、性格なのか。
努力だけでは手に入らないものなのか。
努力の結果なのか。
それすらも判らない何かは、愛されることなのかもしれない。好かれることとか。
あぁでもそれすら違う何かなのかも。
それはある意味才能だろうけど、それでも、欲したからと言って手に入るようなものじゃなくて。努力したからって成せるものでもなくて。
そんな何かを彼は持っている。と、私は思う。
そしてそれはどんなに、同じ場所を目指す人たちにとって羨ましいものだろう。同じように笑っても、同じような言葉を口にしても、同じように真似しても。二番煎じにすらならないんだから。
ある意味、天才は孤高なのと同じで、どこかの地点で彼も1人で歩きだしたりしたのかな。
優しい仲間たちが一緒だから、なかなかにそれは気づきにくいけれども。

 

この世界のどこかで、今もブスングァンは生きている......

存在してくれてるだけでいいよ。
もう2度と見られないとか言われたって、笑ってくれてるのなら我慢するよ。
そんな気持ちですらいるんだよ。
いや、その笑顔を見たいけどね。
怒ってる顔も頑張ってる顔もムキになってる顔も、全部全部見たいけどね。
でも幸せなら、それだけでいいんだよ。
きっと世界中のカラットさんが、そう思っているだろうけど。
同じ世界に存在しているだけで、もういいんだよ。
無理はして欲しくないし、でも頑張りたいなら頑張ってくれていいんだけど、それでもやっぱり、無理してくれるなって思う。
これが、まだまだ上を目指していかなきゃいけないんだろうけど、7年超えたしもういい? どうだろうね。そこら辺は正直わからないけれど。
でも、無理して欲しくないんだよ。
いてくれるだけでいいんだよ。
月1開催される、メンバーの飲み会に、参加してくれるだけでいいんだよ。ほんとに、ほんとに。

 

え、書くんだ......

あぁ、また書いてしまったなぁって思いつつも、一応書く。
このblogに来たばかりの人用です。もう長く通ってくださっている人は、はいはいまたねと思ってるだろうから。別にいいけど。

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もしかしたら、読みたくない方もいるかと思いますので、ご報告しておきますが、実は、「え、書くんだ......」ってことも、書きます。
読みたくない方もいるかもしれないと思うおはなしを書いた時には、注意書きを書いているつもりですが、書きたいと思ったことは、書いてしまうはずなので、うっかり読んでしまって、嫌な気持ちになったらすみません。

気にせず、泣いてもいいよって人は、どうぞこのまま下に。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界は優しさで満ちている

スングァンが眠れなくなった。
正確には、宿舎の自分の部屋で、眠れなくなった。
もっと正確には、静かな場所だと眠れなくなった。
それに最初に気づいたのは、当然一緒に暮らしてるジョンハンだった。
どうしたって聞いても、大丈夫としか言わない。
何も聞かなくても全て判ってる。だからって静かに見守るだけ......なんて性分でもない。
だからスングァンの眠るベッドにジョンハンは潜り込んで、後ろからしっかりと抱きしめてやる。
ヒョン、大丈夫なんだよとスングァンが言う。
大丈夫な奴は眠れなくなったりしないとは言わず、うん、知ってるとだけ答える。
それから眠れない夜を、あの時はあの時はあの時はって、昔話に花を咲かせて、笑って過ごした。
そうすすればジョンハンの話し声と鼓動に安心して、スングァンはようやく眠りにつけたから。
それでも毎日一緒にはいてやれない。
スケジュールは過密で、嬉しいことに1人での海外スケジュールまであったから。
そんな時はジョシュアやドギョムが泊まりに来る。
ヒョン、俺、大丈夫だよ。ってスングァンが言う。
でもその手はいつだって心臓の上を押さえてる。その瞳はいつだって涙が溢れそうで、そして溢れて。
やっぱり全員過密スケジュールで、毎日誰かがスングァンの側にもいれなくて、眠れない日が続いたんだろう。
スタジオで皆が踊る騒がしい音を聞きながら、隅っこでスングァンが眠る。
人の声があれば眠れるんだろう。
誰もそんなスングァンを責めない。
踊りだって構成だって1人遅れて行くのに、目が覚めたスングァンが鏡越に踊るみんなをただ見てるだけだって、やっぱり誰もスングァンを責めなかった。
みんなよりも遅れてるはずなのに、睡眠不足で頭だってスッキリしてないはずなのに、驚異の集中力を見せてスングァンはちゃんと全員で合わせるって時には踊れるようになっている。
本当ならさすがとか、凄いとか、どうやってんのお前って声をかけたかったけれど、音が止まれば電池切れのように隅っこに倒れ込むスングァンは、ポキリと何かが折れてしまいそうだった。

「スングァナ〜」

当然のように、寝てるスングァンを揺り起こしてまで話しかけるのはユンジョンハンで、寝かしといてやれよというエスクプスの意見はフル無視して、好きなように話しかけていた。
スングァンだっていつものように笑うのに、その声が練習場で響くことはない。
あぁ俺ら、こんなにでっかい場所で練習できるようになったんだもんなって、言ったのはホシだった。
何が特別だったのかもわからない。ただ夢を見て、それを掴むために必死だっただけ。きっと運だってあっただろう。でもそこにはいつだって、誰よりも諦めずに練習を繰り返し続けた自分たちがいた。
誰ひとり欠けたって無理だって、もう皆んなが判ってる。

「幸せすぎて苦しい」

でもスングァンが、ポツリと言った言葉はそれだった。
大丈夫かって聞いても大丈夫って言い続けてたのに、とうとう自分でも大丈夫じゃないと気づいてしまったんだろう。ポキリと何かが折れたのかもしれない。

誰も何も言えない中で、「うん。わかる。俺も時々、幸せすぎて怖い」とジョンハンが言う。なんとなく意味が違ってる感じなのに、それほど違和感もない。
日頃から2人で暮らす宿舎では、そんな感じなのかもしれない。

「きっといつのまにか、幸せなことを感謝もせずに当然って思ってたんだと思う。驕ってたんだと思う。自分の方が上だとか偉いとか特別だとか。認められてるとか。成功してるとか。思ってたんだと思う」

でもそこにたどり着くためには、本当に血の滲むような努力をしてきたはずで、眠ることを諦めて踊り続けた時間があって、歌い続けた日々があったはずなのに。ホシはそう力強く言ったって、スングァンは首を振った。

「ダメだよホシヒョン。だって俺、楽しかったもん。辛くても毎日、楽しかったんだもん。そんなのダメなんだよ」

なにがダメなんだよ。それのどこがダメなんだよ。
誰かが言っても、スングァンには届かない。

「だって今も、幸せなんだよ。びっくりするぐらい、愛されてるんだよ。俺」

だって愛おしいんだから、しょうがない。大切なんだからしょうがない。
幸せの何が悪いんだよって言っても、「何が悪いんだろう」って、スングァンが途方にくれている。
目指した場所が確かにあって、何者かになりたくて、ただただ頑張ってきて、その結果今の場所にいるはずだから誇ったっていいはずなのに。

ファイティンヘヤジはセブチを好きな人以外だって聞いてくれた。驚くほどに1位を獲った。唇を真っ青にして、ホシが踊ってて、3人で反響の凄さに喜んで、「当たり前だろ」ってウジが言って。あんなに、なんでも掴める気になったことはなかったほどだったのに。
その時には当然だと思ってた。恵まれた環境は自分たちだけの成果じゃない。それをちゃんと胸の中にしまってたはずなのに、思ってた以上に自分はそれを疎かにしてしまったのかもしれない。
頑張って勝ち取った成果すら、スングァンを苦しめる。それは世界中のカラットたちの愛なのに、それを誰よりも大切にしてたスングァンだったのに。

誰もがスングァンを愛してるのに、その愛がスングァンを傷つける。だから何も言えなくなりそうだったのに、「スングァナ~。お前バカだな」って言ったのはジョンハンだった。

「自堕落に暮らして、ぶくぶく太ってさ。今よりブサイクになったとしても、お前が特別なのは変わりないよ。頑張るのなんて止めちゃって、不貞腐れて生きたっていいよ。でもどんなに斜めした向いて生きたって、やっぱりお前は特別なんだよ」

頑張って生きるのをやめたって一緒だって言いたいのかもしれない。でも意味が判らなくて、「ハニヒョンなんで?」って聞いたのはホシだった。我慢できなかったんだろう。

「だってスングァニと一緒に暮らしてるの俺だもん」

どうだって感じでそう言われて、え、だから?ってなってる面々を置いてジョンハンが笑う。

「待って待って待って。ハニヒョンどういうこと? 一緒に暮らしてるのがどうってこと?」

次にそう聞いたのはドギョムだった。全然理解できないって顔で、でも判ってなかったのは全員一緒かもしれない。
いやでも、ジョシュアは笑っていたけど......。

「え? だから、俺が一緒に暮らしてるじゃん」

ジョンハンは言い方を変えただけだった。
でもそれでやっぱりどうだって顔をしてて、それでようやく、「一緒に暮らしてるから? なの?」って、本当にそれだけでどうだって顔をしてるらしいと気づいたのはジュンだった。

「もしかしてハニヒョンは、スングァニがどんなに努力するよりも、自分と一緒に暮らしてるだけで、他の人よりも何かが抜きん出てるって言いたい訳?」

当然のように頷くユンジョンハンを前に、そう噛み砕いて聞いてみても納得できない顔をしてるディエイトに、それを聞いてやっと理解したミンギュがいて。
でも言われてみればそうかも......って気がしないでもない。

美人なのに可愛くもあり、でもカッコ良さだって当然のように持っていて、ゲームとかで活躍する時には頭の良さとか回転の速さとか、ずる賢さだって見せてくる。
当然歌だって上手いし、踊れる。
強いのに柔らかくて、なのに誰にも負けなくて。
当然のように弟たちを守ってくれる。
変な流行語だって作ってしまうトンチキな人でもあるけれど、それだって考えようによっては稀有な存在だと言えるかもしれない。
ユンジョンハンという人は、いろんな意味でセブチに特別感を与えるかもしれない。

「もうお前らは俺の家族だもん。多少離れたってそんなのもう全然無理だよ。ブサイクになったって、多少バカなことしたって、人類の最下層に落ちたって、ユンジョンハンが透けて見えてる時点でお前らはもう特別なんだよ」

物凄くそう堂々と言うジョンハンの横で、「そうだよ。俺はそこまで図々しいことは言えないけど、それでもお前らは俺の、ホンジスの大切な家族でもあるよ」とジョシュアが言う。

13人、気づけば全員が大切な存在で、大切な仲間で、兄弟で家族で。
必死に頑張ってきたから、当然のように誰か1人だけが輝くでもなく、それぞれが誰かを輝かして、一緒に切磋琢磨して、耐えて支えて踏ん張ってここまで来た。
そういう意味ではジョンハンほど図々しくはなくても、それぞれがもう特別で。

「そんなこと言い始めたら、スングァニがいくら頑張ってブサイクになったって、ダメじゃん」

頑張ってブサイクになるってどうだろうって思いつつも、全員がディノの言葉にちょっと笑った。

「そうだよ。多少ブサイクぐらいじゃ全然ダメだよ。ぶくぶくに太ったって、カラットたちだってもうカワイイとしか言わないだろうしな」

ジョンハンがそう言えば、まぁそかもって全員がやっぱり頷いた。
それからジョンハンは聞こえるように、「今ぐらいのブサイクさじゃ全然全然」と言って笑った。
ん?ってなってちゃんと止まった面々もいたけれど、多くは勢いなのかそうだそうだって感じで頷いて、それでも後からん?ってなったのに、なんでかディノはちゃんと聞いてなかったのか聞いてた上でなのかは知らないが、「そうだよスングァナ。色々今さらだよ」ってしっかりと言ってしまった。

何を言ったって信じられないって顔をしてたスングァンなのに、なんでか今度もそこはしっかりと理解したようで、「それじゃぁ俺もう今現時点でブサイクってことじゃんッ」ってキレだしたけど、言われたディノが今度は「なに言ってんだよ。誰もそんなはなししてないじゃん」と言い返した。
本当ならヒョンたちが、まぁまぁまぁまぁって言って止めるのに、2人の言い合いですら久しぶりに思えて嬉しくなって、なんなら泣きそうになってるドギョムがいたりして。

「元気になるよ。また踊りたくなって歌いたくなって、それからまた落ち込んで泣いて。でもやっぱり笑うんだよ」

ウォヌがそう言えば、ウォヌの辛かった1年お思い出したのか、ミンギュがウォヌを抱きしめる。

「ウジがまたいい曲を書くよ。俺たち何があったって、ウジが曲にして昇華してくれるから」

ホシがそう言えば、全員で歌って泣いた曲を思い出す。
きっと今は怒ってる風のスングァンだって、数分後にはまた落ち込んで無気力になって、自分が生きてることを不思議にすら思うかもしれない。
自分たちにはどうにもできないと、何度だって無力感に囚われて、でも諦める訳にはいかなくて......って、繰り返すだろう。
でもそんな時でも、ユンジョンハンは笑ってそうだった。

 

本当ならスングァンを置いて仕事に出るはずなのに、出ない現場にもスングァンを連れて行ったのはユンジョンハンで、それもユンジョンハンらしいと笑ったメンバーだったけど、「ヒョンは俺の事も、消えちゃうかもしれないって、怖かったんだね」って、スングァンがそう言ったのは、9月にスングァンが無事に復活した後のことだった。

「眠れない時に、いっつもたまたま俺も腹減って眠れなかったって起きてたのも、いつもだったね。ごめんね」

ごめんねとスングァンが言った時、ジョンハンは震えた。
目の前にいる弟がちゃんと生きていることに喜べばいいはずなのに、失う怖さがどうしたって先に立つから。
「ウォヌヒョンが誰にも言えずに体調を崩した時だって、ドギョミヒョンの手術がダメだった時だって、去年ウォヌヒョンのオンマが逝ってしまった時だって、ハニヒョンが心配しすぎて体調崩しそうになってたの、見てきたってのに、俺までこんなで、ごめん」
いつだって優しい弟は、いつだってちゃんとジョンハンのことを見て知っていてくれた。
笑ってたって本人と同じかそれ以上に傷ついて苦しんでるジョンハンを見てきたからだろう。それでも負担にだけはならないようにと、泣くのを我慢してたっていうのに。
「怖かった。今でも怖い。でも、俺がそれを言う訳にはいかないだろ」
だってもっと、耐えられないほどの思いを抱えた人たちがいるのに。
まだ自分の前には弟がいるのに。
それでも万に一つもあってはならなことを考えてしまうたびに、何も食べてないのに吐きそうになった。
「ケンチャナ」ってスングァンが笑う。
でも何かに心を持って行かれるのは一瞬で、誰にとってもそれは予想外の出来事かもしれない。そう思ったら、大丈夫って言葉に安心はできない。
でも不意の事故ににあう人だっている。理不尽な理由で車が突っ込んでくる時だってあれば、誰かを道連れにしたいと思ってる殺人鬼だっているかもしれない。普通に行きてたらありえないようなことだって、きっと気づけば起きているはず。
でもそんなことを考えはじめたらキリがないことだってちゃんと判ってる。
「スングァナ。ヒョン、飛行機がもしも落ちるなら、全員が一緒の時がいいって思ってるんだ」
突拍子もないことを言うといつだってスングァンは呆れたような顔をするのに、その時は真剣な顔で、「うん、判るよその気持ち」と頷いてくれた。
誰も残してはいけない。誰にも置いていかれたくはない。
もしも自分が誰かの親なら、子どもを手放せないだろう。でもそう思えば自分たちの親を尊敬する。成功するかどうかも判らない道へ進むことすら許してくれたことにも脱帽する。
病むほどに愛が深すぎるのかと、ちょっとは自分のことを疑った。
身近すぎる場所で起きた出来事に影響されて、自分の方が逆に不安定になってるんじゃないかって。でもエスクプスもジョシュアも「わかる」と言った。
不安すぎて吐きそうになってたジョンハンの背中を擦りながら、「ヒョンは人のことまで引き受けすぎだよ」とドギョムが言った。
でもそれなら、スングァンの抱える哀しみも絶望も全部、引き受けてしまいたかった。
「苦しむ姿を見たくないからって、全部奪う訳にはいかないだろ。だってスングァニの中には、楽しかった、幸せだった記憶だっていっぱいあるんだから」
そう言ったのは、いつだって前向きなミンギュだった。
「あいつはいつか、ちゃんと笑うよ」
そう言ったのはウジで、ウジの方こそセブチの色んな思いを抱えて大変だろうに、「ケンチャナケンチャナ」って言い続けてた。もしかしたらそれは、自分にそう言い聞かせてたのかもしれないけど。

「ハニヒョンと同じように、オンマもヌナたちも、ずっと俺のそばにいてくれたんだよ。チェジュのチングたちも。それから色んな先輩たちが、俺に連絡くれたよ。負担にならないといいけどって連絡することすら気づかってくれたけど、みんな、絶対に後悔したくないからって。いっぱいいっぱい、愛を貰ったんだ」

なんで自分だけ......こんなに苦しい思いをするのかって気持ちと同じかそれ以上に、なんで自分にこんなにも......優しさと愛をくれるのかって思ったんだってスングァンが言う。
笑うのさえ辛そうな時期だってあったのに、スングァンが少しだけ照れた感じに笑って、「俺、もう少し一緒に、ハニヒョンと暮らしたいよ」と言う。

俺も......。そう言おうか、それとも愛してるって伝えようか。ちょっとだけ迷った。
その愛すら負担になるかもしれないと躊躇する気持ちは確かにあったし、苦しんでる自分の姿を見せることが正解とも思えなかった。でも一緒に居続ける。それだけは確実だったから。
それなら、きっと隠したって意味はない。

「スングァナ。いつか一緒に暮らさなくなっても、もしももうその時にはSEVENTEENじゃなくなってても、どこにいても、何をしてても、俺のことを思い出して」

ジョンハンはそう、96ラインの弟たちにも言った。それはまだ春先の頃。
その時も泣くまいと思ったのに泣くのを耐えられなくて、でもこれだけは伝えなきゃと必死になって言った言葉だった。

「絶対ヒョンが守るから、絶対ヒョンは味方だから、絶対ヒョンが、一緒にいてやるから」

寂しかったら来て欲しい。辛かったら頼って欲しい。困ってたら泣きついて欲しくて。それから、それから、俺を置いていかないでくれって。

横にいたジョシュアが、「俺たちを、だよ」とも言ってくれた。エスクプスはあの時なんと言ったか、もう先に泣いてて何も言えなかったかもしれない。でも全員を1人ずつしっかりと、抱きしめてたはず。

結局みんな泣いてたはず。あまりにも哀しくて、泣くというよりも、痙攣するかのように震え続けたスングァンを見たからだろう。

何もかも遅すぎるのに、でもこれ以上は大切な存在を奪われる訳にはいかないと、きっと誰もが身近な人たちに手を伸ばしたはず。

「クプスヒョンにも言われた。誰か1人でも失ったら、俺は生きていけない。生きていけないんだからなッって。急に来て、そう叫んで、それからガバって抱き着かれて、俺が拗ねたら面倒なのは、よく知ってるだろって叫んで逃げてったよ」

スングァンが笑って言うのに、ジョンハンはそれを聞いて余計に泣けてきた。

こんなにキラキラした世界を生きているのに、こんなに絶望することがある。

「ジョンハニヒョンが、俺のためにいつだって笑ってくれてたの、ちゃんと知ってるよ。それから俺だってみんなに、同じことを言いたいんだよ。俺のこともだから、置いていかないでね。まだ俺と一緒にいてね。どうしても涙が止まらない時もあるけど、まだまだ踊るし歌うし、たくさん笑うつもりなんだから」

バカみたいにわんわんと2人で泣いて、スングァンは「いっぱい泣いたから、俺痩せたんじゃない?」とか言っていたけど、そうでもなかった。
そう言ってやったら唇突き出しながら怒ってたけど、そのどんな姿も愛おしかった。

 

季節が流れていく。
春からずっと、どの季節も、スングァンは頑張って笑ってた。
いつだって誰かがそばにいる。
その日は今年はじめての雪で、去年だって見たはずなのにキレイで、あまりにもキレイで。
「見せたかったな」
スングァンが雪に手を伸ばしながらそう言えば、「見てるだろ」ってバーノンが言った。
まだスングァンは泣くし、きっとそれは何年経っても変わらないかもしれない。
「ヒョンほらティッシュ
そう言ってディノがティッシュを箱で差し出す。
時々泣き止まなくてティッシュの消費が激しいからと、外に出る時も箱でもって出ることにしたんだとディノが意気揚々と話してた。ほらちゃんとゴミ箱になるビニール袋も持ち歩いてるよとディノが言う。ヒョンたちは笑う。
スングァンも泣きながら笑った......。

The END

 

終わりです......

最後まで、読んでくださった方はありがとう。
泣けたかな? 私はね、号泣して書いてるもんでね。たぶんいつか読み直した時にも、泣けると思う。
あ、すまないって謝らなきゃいけないことが。実は「え、書くんだ......」部分をちゃんと書いてなくて、後から書いたんだけど。だから注意書きに全然なってなかった。うっかりこのおはなしを呼んでしまった方は、すみません。

 

ちょっとだけね、悩んだんだよ......

誰かは傷つくかもしれないし、誰かは辛い思いをするかもしれないし、誰かはまだまだど真ん中にいて、そこから抜け出せないかもしれないし。
時間はいろいろと解決してくれると良く人は言うけれど、そしてそれは正解だとは思うけど、15年経っても号泣できる出来事を持ってる自分にしてみれば、その時間は人それぞれで、大分かかることも知ってるんだよ。
それにね、春に、Twitterで、ぶーちゃんのことは呟かないであげて欲しいと言ってた人がたくさんいた記憶もある。
どれが正解かは正直判らん。どの意見ももっともな気がするし、どれも微妙な気もするし。
たぶんこれは、人それぞれの中に、思いがあるからだろうね。

ウォヌさんの時にも書いたけど、自分しか見られる訳じゃない以上、そして実在してる人がいる以上、そして今回は、セブチではない人も関係してる以上、何を書いても自由じゃないぞってのは、当然ながら判ってはいて............。

書きたかったら何を書いても言い訳じゃないことも、承知しているのです。
でもね、書きたかったんだよね。
もうきっと世界中のカラットさんが知ってるだろうけど、ぶーちゃんの周りにはいつだって優しさが充満してて、ヒョンたちにチングにマンネのディノちゃんがいてくれて。
きっと大丈夫。大丈夫。大丈夫って、書きたかったんだよな。

 

あぁもしも......

色々思うことがあって、このblogからそっと去って行く方がおられたら、ごめんなさいね。今までありがとね。気をつけてね。
な気持ちで送り出そう。
そして今後もきっと、私は「え、書くんだ......」的なことを書くと思う。
書きたいものを、私は書くから。
このblogは私のものだから、私が好きにする。きっと。多分。
でも苦情が来たら考える。ちゃんと、真剣に。

 

ほんとに最後......

年末だからか、賞を貰ったね。
ブソクスンが楽しそうに現場を盛り上げてもいたね。
どうしたって、同じことを願うけど。
彼が、彼らが、幸せでい続けてくれますように。
いつか笑って話せる苦労は多少あってもいいけど、幸せばかりになりますように。

おはなしもほとんど出てこなかったし、私は彼の人のことを全然知らなくて、ぶーちゃんのお友達としか認識していないけれど、安らかでありますように。

お疲れ様でした。