流れ星ピンナダについて
続きものではないけれど、ディノちゃんからはじめたセンイルおはなしが溜まって来たので、contentsページを作りました。
流れ星ピンナダ13
空は地上にいれば青いけれど、宇宙の中だと暗い。だから余計に早く駆けるその姿は流れ星のように見えるのかもしれない。
スングァンは今日も駆けている。
誰かと一緒に走る方が好きだけど、1人で走る時もある。
でも遠くに誰かを見つけたら、聞こえるような距離でもないのに大きく手を振りながら叫ぶ。
「あ、スングァニだ」
どんなに遠くても判るよなと、ホシとドギョムが笑う。
遠くても必死に手を振りながら動くからか、スングァンの輝きはいつだって大きく震えて見えるからかもしれない。
「それにあいつ、反応してやらないと来るだろ?」
スングァンが必死に動くその姿を見ながらノーリアクションでいると、荷物を持って駆けてるはずなのに、そんなスングァンがこっちに向かってくるのが見えた。
よく「寄り道なんてしないでよね」とか言ってるくせに、気づいて貰えない時に誰かのところまで走るのは、スングァンにしてみれば寄り道ではないんだろう。
「ホシヒョンにドギョミヒョンッ」
大分近づいてきたら、その声も聞こえるから、2人はさすがに「おぉ、スングァナ」って手を振り返す。
もうちょっと気づかない振りをしてたらプンスカ怒って近づいてくるはずなのに、手が降り返されたことに喜んで、「またね。後でね」って言いながらスングァンがやっぱり大きく手を振りながら来た道を戻って行く。
「でもスングァンを追いかけてたら、バーノンにも気づくよな」
ホシが笑いながら言う。
確かにとドギョムも頷く。
荷物を爆速で届けてくるよとか言いながら、バーノンを見つけた時のスングァンは驚くほどに早いから。しかもいつもよりキラキラと、さらに輝いてるんじゃないかってぐらいに揺れながら、でも爆速で走るから。
走るその姿から楽しそうなのが良く判る。
スングァンは誰かと走るのが好きだけど、それでも1人でも走る。それも嫌いじゃない。
誰かを見つけた時に駆けて行く時のワクワク感が好きだからかもしれない。
たくさんの願い事が降り注ぐ中、色んな思いあるなって思いながら走るのも嫌いじゃないけれど、どうしたって1人は寂しいから。
でも1人で走っていると、「まだ終わらないのか?」って言いながら、ヒョンたちの誰かはいつだって来てくれる。時々はディノが「俺も行こうか?」って言いながら並走してくれる。ごくごく時々には、本当に極まれだけれどバーノンだって、「俺も行こうかな」とか言うことがある。
すでに空を駆けているっていうのに、舞い上がりそうになる。
きっとそんな時にはより輝いてるはずだから、誰かの願い事はいつも以上かもしれない。でもスングァンはそれどころじゃないけど。楽しくて、嬉しくて。
まぁ本当に極々まれで、大抵は1人で賭けているけど............。
The END