さすがに寝過ぎたから眠れないかもしれない。
そうしたらしばらく放置してたゲームの続きをしたらいい。そう思ってたのに、久しぶりにログインしたらゲームの仕様が変わってて、溜まってたはずの経験値は何の役にも立たなくなっていた。
エスクプスはジョンハンの部屋に行ったから、ウォヌは遠慮なく「うげ」って口にだした。
「なに? どうしたの?」
そうしたらミンギュが部屋のドアを開けた。
もう結構夜も深いっていうのに、一日中働いてたミンギュがまだ起きていて、明日の朝ギリギリまで起きて置くための色々を準備してるところだと笑ってた。
「なんか、知らないうちにゲームが第2章に突入してた。頑張って手に入れたはずのスキルなのに、ログインボーナスで貰えるスキルになってる」
そう言えば、「そりゃ残念」って軽く言われてちょっとだけムッとする。
「いや俺に怒らないでよ。俺がやった訳じゃないんだから」
そう言われて、まぁそうかもと思い直す。
「俺はもう寝るよ」
ミンギュはそう言いながらも、エスクプスのベットに寝転がる。
そうして自分の横をトントンと叩く。
「まだまだ眠たくないけど」
「いや、横になったら案外寝れるって」
そうかなと思うのに、「騙されたと思って」とさらにミンギュが誘うから......。
騙されたって別にいいかと横になる。ゲームを続ける気分でもなくなっていたから。
いつだって気づけば寝てる。大抵が睡眠不足だから。毎日移動と練習で、帰ってきても必要最低限の食事とシャワーで。大抵気づけば寝てる。そして次の瞬間には時間だと起こされる。
そんな毎日ばかりだから、眠るまでの時間を過ごすことも珍しい。
「本当なら今日一日どう過ごしてた? とか話せばいいんだろうけど、全部知ってるしね」
ミンギュが笑う。まぁそうだろう。
ウォヌはほぼ寝て過ごし、ミンギュは部屋の掃除やら洗濯やら、とにかく片付けばかりしてた。
「明日からは忙しいよ。きっと」
ミンギュが言う。売れたって売れなくたって、練習は続くから。
デビューできただけでも凄いと言われるけれど、立ちたい場所も、踊りたい場所も、見たい景色も見せたい景色もまだ遠い。
7年目を無事に超えられる約束だってないってのに、ミンギュは当然のように「俺らはずっと一緒だから大丈夫だよ」と笑う。
今日みたいな日を懐かしむ日がくるよと笑う。
はじめて乗った飛行機に、はじめてのホテルに、はじめての国。
数えたのはいつまでだったかと思う日が、絶対くると言う。
夢みたいなことを言うミンギュに何か言おうと思ったのに、気づけば眠りに落ちていた。ミンギュの体温のせいなのか、それとも、たった一日だけじゃ身体は休まらなかったからなのかは判らない。
そうやってウォヌの平凡な一日は、いつの間にか終わってた。
The END
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