妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

社内恋愛がはじまる世界線5 恋愛未満編

注意......

続きものだけど、別に前を読まなくても読めるかも。
1はクパン編で、2はミーニー編で、3でまたもやクパン編で、4は謎な「地下ボイラー室」は珍しくもギョムシュ編。そして今回の5はホシウジの「恋愛未満」編です。

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社内恋愛がはじまる世界線5 恋愛未満編

仕事はできるかもしれないけど、お前生意気そう。
それがホシの中でのウジの第一印象だった。
「ウジは? 俺のこと、最初、どう思った?」
そうホシが聞くのに、「元気なやつだな?」とウジがちょっと疑問形で言う。これは絶対覚えてないヤツだってのが丸わかりで、「え、俺の第一印象、覚えてないの? 俺らの運命の出会いだったのに?」とホシは嘆いて見せたけど、「うん。悪い。俺基本、仕事できる奴のことしか見てないから」と、さらりとウジは酷いことを言った。
でもホシはそんなこと気にしない。
「まぁでもいいよ。俺が覚えてるから大丈夫。俺らはじめて喋った時も、ウジはそんな感じだったし」
仕事が忙しくて、でも忙しくて大変なんて素振りも見せずにウジは働き続けてて、ホシは密かにでもないけど、釜山野郎になんて負けるもんかと思ってて、でもクプスヒョンから頼まれて飯の差し入れをした。
2人前だったから、ジョンハンとウジの分だと思ったのにウジしかいなくて、それならもう一つは自分が食べてもいいのかなって思ったのに、ウジはそれを1人でペロリと食べてしまった。
ホシがお茶を入れてきた間のあっという間の出来事で、「あ、一つは俺が食べるつもりだったのに」としっかり声に出して言ったのにふる無視された。
一度はちゃんとホシのことをしっかり見て、視線だってあったのに。
「俺が、一つ、食べるつもり、だったのに」
とりあえずホシはもう一度同じ言葉を口にした。最初だってそんなに早口だった訳でもないのに、二度目はゆっくりと、しかも区切ってみた。
そうしたらもう一度ウジがホシを見て、また視線があう。しかも結構長めに。
ホシの視線の中に、バカにしたような色がないか探したのか、それともホシの真意を探ってたのかは判らないけど、ホシが謎にもう一度、「俺が、一つ」と言いかけたらウジが声を出して笑った。
「なんだよそれ。はははは」って楽しそうに。
釜山野郎って思ってたはずなのに、なんだかそれだけでホシは楽しくなってしまった。
ウジは謝らなかった。そして結局ホシが謝った。
だってウジが、「俺が弁当2つ注文したんだよ」と言ったから。ならそれは元々ウジのもので、ホシが欲しがる方がおかしなはなしだから。
でもホシが笑って、「でも俺が、一つ」ってまた被せてみたら、ウジのどこにハマったかは判らないがウジが「ギャハッ」って謎に高い声を出して笑った。
いやすぐにウジの笑いのハードルが低いことには気付いたけれど、さすがにはじめて口を聞いたその日には気付けなかった。
小学生のように、ウジは「うんこ出そう」とか言っても笑うから。物凄い仕事ができるのに......。
逆にウジのその笑いのハードルの低さを知らない人間たちは、巷に流行ってる誰もが知ってるような笑いをネタにして、しらっとされることの方が多かった。まぁ仕事ばかりしてテレビも見てないようだったから、流行りには逆に疎かったのかもしれない。
そのうち、仕事場でウジが高笑いすると、すぐにホシがいるとバレるようになった。それだけはいただけないが、自分にだけ笑ってくれるような気がしてちょっとだけいい気になったホシがいた。
「飯買って帰るけど、何がいい?」
ホシは仕事で外に出ると、戻る前にウジにカトクをすることが多くなった。
それ以外の話だと既読スルーかスタンプでしか返事をくれないのに、飯話題だけはちゃんと答えてくれる。
それなのに、どこに惚れたんだお前......と言ったのはジョンハンだった。
「え、どこってそんな、全部だけど」
ホシが照れながらそう言うのに、ジョンハンが「ふ~ん、変わってんな」と興味なさげに言う。
ほぼ毎日のようにウジのもとに飯を買って帰ってきて、一緒に食べて、邪険にされてるのにニヘラと笑うホシを見て、ジョンハンが最初に気づいた。ホシの気持ちに。それから、素知らぬ顔してるのに嫌がってないウジの気持ちに。
「ヒョン、こういうの、色々応援してくれてもいいんだよ」
そうホシは言うけれど、「え、俺がなんで?」とジョンハンは素っ気ない。
「それにウジはそういうの嫌いそう。俺、ウジに嫌われたら生きていけないもん」
ジョンハンが楽しそうに言う。けど結構本気かもしれない。何せジョンハンの仕事の大半を支えてるのはウジだったりするから。
「じゃぁハニヒョンはとりあえず、邪魔だけしないでくれたらいいよ」
ホシが妥協する。
テンション高いホシと、大人しく見られがちなウジだけど、2人は良く似てる。
誰でもオッケーに見えて人見知りなホシと、仕事なら何でも平気そうに見えてやっぱり人見知りなウジは、どちらも大勢で騒ぐよりも静かにいる方が好きだし、浴びるほどに飲みそうに見えてすぐに酔うホシと、一口半も口にすれば真っ赤になるウジは酒を楽しむよりも純粋に食べることを楽しむ方が好きなとことか。
ふざけて見えて真面目なホシに、ルールを決めてそれを守るのが気に入ってるウジの仕事への取組み方も実は似てるとこがある。
雑に見えるホシと知略をめぐらせているように見えるウジだけれど、どんな仕事でも楽しむホシに、どんな仕事でも自分のやり方に落とし込んで攻めて行くのが好きなウジは、やっぱり働くことそのものを楽しんでいる。
そして案外2人は負けず嫌いで。できることに比例して評価は思った以上に低い。いずれ2人の凄さが知れ渡った時には誰もが認めざるを得ない人間になっていそうとは思う。
ジョンハンがそんなことを思いながらも2人の前にいたなんて、当然ホシは知らないし、ウジは仕事の邪魔されるのが嫌そうだから考えてもいないだろう。
「でもヒョンはさ。恋はもっと楽しむものって気がするんだけどさ」
自分がエスクプスと社内恋愛を突然楽しみはじめたことを棚にあげ、「もう少しゆっくり、恋が成熟していくのを楽しめばいいじゃん」と言ってみた。
何故なら2人は明日、2人で暮らす家を探しに行くというから............。
ウジが釜山に帰るかもしれないと聞いたホシは、素直に「好きだ」と告ったらしい。なかなかの勇気だ。そして「遠距離恋愛どころか近距離恋愛もしたことないけど、俺、いけると思う」と、何故かつきあうことを勝手に前提としてはなしを進めたらしい。
勢いってのは、やっぱり大事だなと思うのは、ウジは釜山に帰らないと決めたこと。それから、2人で一緒に暮らしてもいいと言ったこと。
ホシはそれを同棲だと思っていて、ウジはそれをシャアハウスみたいなもんだと言ったけど。
「お前ら、ほんとに大丈夫?」
先輩としてヒョンとして、本気で心配してたジョンハンだったけど、恋愛はそれぞれ、自分たちのやり方があってペースがあるから。
「手は繋いでくれないけど、ポッポは許してくれるから」
時折謎にホシから報告があった。聞く限りは、ちゃんとした恋愛をしてるっぽい。
そしてウジは2人で暮らす家を、しっかりと会社の借り上げ制度でゲットしてたから、やっぱりどんな状況になってもウジはウジだろう。
ホシと暮らし始めてからも、ウジは会社に泊ることの方が多かったかもしれない。忙しすぎてホシのことなんて気づいてもいない時もあったけど、家から着替えを持って行けば「悪い」とか「ありがと」と言ってくれて、それだけでホシは喜んでいて、やっぱりジョンハンに呆れられていた。
2人の仲は順調だとホシは自負してたのに、ウジが釜山に戻るという。一瞬「へ?」って言ってしまったけれど、「そろそろ部屋の荷物を片付けなきゃな」と言ったから、釜山で暮らした部屋の荷物をどうにかするってことらしかった。
「まぁ確かに、ウジの服とかあったって、他の人に使ってとかは無理だもんな」
思わずホシは余計なことを言って、「スーツ以外は大きめの服ばかりだからウォヌだって着れる」と言い換えされたけど。
ホシは何も考えずに、「へー」って言ったけど、しばらくしてからはたと気づいた。ウジは釜山でも誰かと暮らしてた。支社近くに借りた部屋をシェアしてたらしい。だから今、ホシともあまり深く考えずに同じ家に暮らしてくれてるだけじゃないか......と。ホシにしてみれば結構まともなことを考えた方だと、後から聞いてジョンハンは言ったけど。
でもそれからの考えが、ホシは特殊だったかもしれない。
たった1日で、行って帰ってするつもりだとウジは言っていたのに、「俺も行く」とホシは言った。
「いやだから、行って帰ってだし、荷物をまとめるのはウォヌが、いやミンギュがもうしてくれてるらしいから、秒で帰ってくる感じなんだって」
ウジがそう言ったって、「でも俺も行く」とホシが言えば、「まぁ好きにすればいいけど」とウジがあっさりと諦めた。
「よしッ、俺、気合入れるッ」
ホシの謎な宣言に、ウジは「ぉ? おぉ」と言っていたけれど、『なんでお前気合入れるの?』と聞けば良かったと、思ったのは釜山に向かう前日のことだった。
そりゃそうだろう。なんでか新しいスーツを買ってきて、ビシッと決めたホシが目の前にいて、「明日の釜山緊張するな」とかホシが言えば、「いやなんで? 緊張?」とウジだって聞くだろう。
自分の荷物を取りに行くだけで、ついでに仕事の書類も持っていくから交通費を経費で落とすことにも成功してホクホクなウジだって、ホシの謎な言動についていけないことがある。
「だって俺、ジフニの両親に会うのはじめてだし」
「................?」
ウジだって両親に会う予定なんてないのに、ホシは何故か会うつもりでいるようで、「いや俺、行って帰ってだって」って何度目かのそれを口にしたのに、ホシは全然気にした風でもなく。
「大丈夫。俺一人でも上手くやるから」と言った。
どうやらホシはウジの両親に、一人で会いに行くらしい。
家の住所なんて知ってるのかって疑問は、何度かウジの代わりに荷物のやりとりをしたから当然知っていて。
一緒に暮らすって話をした時に、母親からは一度会いたいわって言われたのも思い出す。そしてそれをホシに言ったことも......。
「別に、一緒に暮らしてるからって挨拶なんていらないって」
ウジは当然のようにそう言ったのに、「何言ってんだよ。こういうのは最初が肝心だし、中途半端な気持ちじゃないって、ちゃんと伝えないと」と、何やらもしかしなくても、ホシは正式な挨拶とやらをしに行くつもりでいるらしい。
「........................」
いや、バカじゃないのって言おうか。何言ってんのお前って言おうか。そんなことしに行くな言うなって言おうか。色んな思いがウジの頭の中を駆け回ってグルグルしていたけれど、結局ウジはホシのことを止めなかった。
ちょっとだけ天気は良くなかったけど、普通の日。荷物の受け渡しも順調だったと、そっけないカトクがホシに届いた。
お前今どこ?とも、どうなってる?ともウジは言ってこない。
「予定通り先に帰る」
電話して今どこって聞けば、もうすぐ駅って言葉と、帰るってことだけを教えてくれた。
多分戻ってまた仕事をするんだろう。
ウジの母親は、ウジに似ずにニコニコしてた。いやでもやっぱり似てたかも。ウジの父親は、ウジに似て寡黙に見えた。でも話し始めると案外止まらないところは、やっぱりよく似てた。
普通の挨拶をして、お土産を渡して、一緒に暮らしてる部屋の写真を見せて、それから、ホシにしてみればちゃんとした挨拶だってした。
驚かれたけど、やっぱりウジの両親らしく反対も賛成もしなかったし、息子のことを信じてるからひとまず静観すると言った。
そしてそのまま、一緒に夕飯まで食べた。
言うこと言って緊張したって言いながらも楽しそうにウジとの日常を話すホシに、呆れたのか諦めたのか、息子の友人として接してくれた。
それからホシは、持ってきたお土産の倍以上の土産を持たされて釜山を後にした。
戻ったら、ウジは当然のように会社で働いていて、ジョンハンもそこにはいた。
だから釜山土産をわけてやりつつも、「どうだった?」と聞いたのはホシで、それは両親から何か連絡あった?って意味だったのに、「どうもしない」ってウジはやっぱり素っ気ない。
まぁそれで大騒ぎするような両親なら、ウジだってさすがにホシのことを止めただろうから、自分の両親のことをちゃんと理解してるってことだろう。
ホシの両親なんて、多分言ったら大騒ぎだ。
でも2人して大慌てで釜山に向かって、ウジの両親に頭を下げに行くだろう。ホシのために。
「なに? お前ら何かあったの? 釜山で」
ジョンハンがそう聞いてくるから、ホシはちょっとだけ胸を張り、「うん。今日俺、ジフニの両親に正式に挨拶してきた」と言ったら、大抵のことでは動じないジョンハンが腰を抜かしそうになっていた。
「は? なにお前ら、結婚を前提にしたお付き合いってやつに突入したの? いつのまに?」
話の展開が早すぎるとジョンハンは狼狽えていたけれど、絶対ツッコみどころはそこじゃないはず。
でもホシはふふんって顔をしてるし、ウジは仕事に夢中で聞いちゃいないし......だった。
それから2人の関係が変わったってこともないし、2人の暮らす部屋の中に華やかなものが増えたってこともないし、仕事中の2人にアイコンタクトが増えたなんてことも、全くなかった。
逆にこれからどうなるんだ......と、ちょっとドキドキしつつもワクワクもしてたジョンハンが、「何も変わらないっていうか、何も起きないじゃん」と文句を言ったほど。
「でも付き合ったら責任取ろうとするタイプだったんだな、お前」
と、ジョンハンの中でホシの株はあがったようだった。
ホシもそれにエヘヘと照れて笑ってる。
まぁだからって、やっぱり2人は全然変わらなかったけど。
「率直に聞くけど、お前らって今、どんな関係なの?」
その質問に、ホシは当然のような顔で「ラブラブな感じ?」と言ったけど、ウジは仕事しつつも「恋愛未満」と言い切った。
当然ホシは慌てたし、「やー、なんでだよ」と文句も言ったけど、「まぁそうだよな。恋愛って、前に進むだけじゃないんだよ。お前もしかして、釣った魚にエサやらないタイプなのかよ」とジョンハンに言われ、慌ててご飯を買いに行くことにしたホシだった。

The END