BitterSweet
ビタスイのミーニーの続きが書きたくて、でも長いのは書けそうになくて、ミニマムで時々、ビタスイの2人を書こうと思う............。えへへ。
ウォヌヨンが終わってる
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
店の中、あちこちで「あ」っていう声があがる。
最初の一言目はウォヌで、後はそれを見たお客さんが次々と口にした「あ」だったけれど、バレンタインの季節だったから、店では特別な感じのデコレーションが綺麗なチョコのケーキを出していた。
皿の上にすでにチョコのケーキが乗っていて、それを冷蔵ケースから出すだけなのに、出すケーキ出すケーキ全部倒れる。そのたびにウォヌが「あ」っていう。
「大丈夫です大丈夫です。それでいいです」
ほぼほぼすべてのお客さんがそう言ってくれるのをいいことに、謎にチャレンジでも続けるかのごとくウォヌがケーキを出すけれど、そのたびにやっぱりウォヌは小さく「あ」と言う。当然お客さんたちの視線も集まっているから、店のあちこちから「あ」って声も聞こえる。
珍しくミンギュが店をちょっとだけ開けた時の出来事。
戻って来たミンギュは当然状況をすぐに把握して、「すみませ~ん。チョコホイップサービスしますねぇ」と、店の中をまわってケーキが倒れた人にも倒れてない人にも、オマケでチョコホイップを絞ってまわってた。
最近ウォヌは、店の中で色んなことにチャレンジしてる。
例えばアイスコーヒーの注文が入ったら、グラスに氷を入れるとか。
え、それだけ............。みたいなことだけど、ミンギュが「ありがと。助かる」と都度言うものだから、ウォヌは満足そうだった。
黒いエプロンをカッコ良くつけて、まるでバリスタのような風情で立っているけれど、コーヒーを入れられたりはしない。ミンギュがまた甘やかして「ウォヌヒョンは下がってて」とか言うと、素直に下がってる。
クリームソーダーとか言われても配分が微妙そうだし、アイスはキレイに丸くならないし、最後にちょこんと乗せるだけのチェリーは、ウォヌが乗せると何故か沈む......。
ピンクレモネードとか言われると、もはや何をどうしていいかも判らない。
カフェで働くには、ウォヌは結構終わってる。致命的と言ってもいい。でもサービス精神は元からあまりないし、ミンギュも最初から「ウォヌヒョンは何もしなくていい」と言っていたほどだから、何も問題はない。
ただ頑張る姿も失敗して口をちょっとだけすぼめて困った顔をする姿も、ただただミンギュが愛でているけど。
「お客さん、減りそうだな」
ウォヌはそう言ったけど、「いや、逆に増えてる気がするけど、最近」とミンギュが言う。
事実増えている。不愛想な感じでただ座ってるだけだったウォヌもそれはそれでカッコ良かったけれど、動いてみれば颯爽って感じでもキビキビでもなくて、どちらかというとテトテトって感じ。そして失敗すると自分がやらかしておいて困った顔をする。その姿がきっとギャップ萌えってやつだったんだろう。
2月限定のちょっとお値段高め設定のチョコケーキが、ウォヌしかいないと飛ぶように出るんだから......。
The END
1220moji