マイナス2度なのに、半袖マフラーの男が目の前にいた。
ウジは思わず目が点になって、ミンギュのことをマジマジと見てしまったほど。
本気か?と聞きかけたけど、本気なんだろう。だって今まさにその恰好で目の前にいるから。
「いや、お前の男なんなん?」
思わずウジはそう、ウォヌに話しかけていた。
マスクをしてたし小声だったけど、そこは外で飛行場でカメラも山ほどあるっていうのに。
「俺だって止めたって」
ボソボソとウォヌが言う。
そりゃそうだろう。ホシだってバカだけど、さすがにマイナス2度で雪もちらつく中、半袖を着ようとはしない。今から幾ら暑い場所に行くからって。
「な? だから言っただろ? ミンギュがWeverseでカラットたちに相談してたって」
ホシが嬉しそうに「な?」とか言ってきたけれど、その時は何の相談をしてるかまではちゃんと聞いてなかった。
何せ目の前に、目をひどく腫らせたホシがいて、ひっきりなしに目薬をささなきゃいけなくて、ボーっとしてたら時間なんて一瞬で経過して、そっちの方に意識が向いてしまったから。
ミンギュが寒いからか、いや、寒いのは当然だろうけど、先頭を小走りに行く。
そして何故かカメラに向かってグーサインとかを出していた。腕筋だって半袖だから良く見える。
「いや、お前の男、ほんとなんなん?」
思わずウジはまたそう言ってしまった。
でもウォヌからは、「いや、お前らんとこのグループ、なんなん?って、俺ら思われてると思うけど」とボソリと言われて、ゲフってなったウジだった。
確かに。
いやしかしそれを言うなら「いや、あんたの推しんとこのグループ、なんなん?」って世界中のカラットたちが言われてそうな気もする。
The END
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