カラットへの感謝の言葉を載せたのはエスクプスで、ジョンハンはそれを横目に見ながら、胃が痛くてさっきから鳩尾を抑えてた。
「なに? なんでクプスヒョンは喜んでて、ハニヒョンは調子崩してるの?」
それを見て、ウォヌが笑ってる。
ホシが真剣に欲しがってた賞を手に入れたことには本当に感謝しかなくて、でもそれは遅すぎたかもしれない。
無駄にしたとは言わないが、世界中が止まってたこの2年弱。
たったの7年で終わっていたかもしれない活動期間のうちの2年は痛すぎて、悔しすぎて、クプスが言ったように多くのカラットたちが離れていってしまう不安は拭えなかった。なのに気づけば貰えたものは驚くほどの愛ばかりで。
だから余計に思う。もしもその2年がなければ、もっと自分たちは愛を貰えてて、結果を残せてて、カラットたちを喜ばせてあげられたかもしれない。そんな気持ちが拭えない。
それに喜んではいるけれど、ホシはもうとっくの昔にそんなものは通り過ぎていて、「いい。俺らはもう、前を向こう。結果は後からついてくる」と男前な発言をしたのはいつだっただろう。
「俺たちは俺たちにしかできないことをやって、見せつけてやろう」
そう言って走り続けるホシの勢いは衰えず、当然のように7年は超えた。
そしてホシは7年を超えた今も、もっと売れたいと思っていて、もっと頂点に登りつめたいと思っていて、そしてそれを、自分たちのやり方で叶えようと思ってる。
鳩尾を抑えながらもジョンハンは立ち上がる。
「ウォヌや、ホシが先にスタジオに行ってるって」
そう伝えてやれば、ウォヌだってウゲって顔をして、「嘘でしょ? 今から? 何を?」って焦りはじめた。
本当ならすでに手に入れていたはずの賞を手に入れて、ホシの熱量はさらに増えたんだろう。
新しいパフォーマンスを閃いたのか、それとも別バージョンでもやるつもりなのか。
でも感動してるエスクプスは流されてるし、弟たちだってヤル気でホシと同じ気持ちなのか、反対意見なんて出ない。
唯一ウジだけは文句を言ってくれると信じてたというのに、案外ホシに甘いウジは、ホシが壮大なことを言いだしてもへいへいと頷いている。
スタッフヌナたちだって、マネヒョンたちだって、まだやるの?って視線を隠しもしないのに......。
「ハニヒョンもウォヌも遅いよッ」
そしてスタジオに行けば、当然のようにビリな2人だった。
すでにホシに感化されたのかパフォチの面々は身体から湯気も立ち上りそうな勢いで。
「ウゲ」
そう本気で口にしたジョンハンだったけど。
結局踊るはめになる。鏡の前に13人で立てば無敵に思えて、ジョンハンだってその姿に興奮するんだから。
そして刻みつけるから。
The END
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