妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Seventeen's Story 13

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

sevmin.hateblo.jp

No War! Seventeen's Story 13

「ドギョマ?」

突然の展開に誰が一番驚いていたかと言えば、そりゃドギョムかもしれない。
意気揚々と戻って来て、ミンギュとウォヌには会えるだろうと思っていたら、やたらと人が多いなって感じで、近づいていけば見慣れた姿形をした人たちで。
色んな意味で焦ってた気持ちを忘れて、素直に驚きの声をあげた。

「みんな? なに? なんでみんないるの? もしかしなくても、俺が最後じゃん」

そこには会いたかったジョンハンもいて、ポカンって顔で「ドギョマ?」って名前を呼んでくれて、でも気づけばみんな泣いていた。

本当なら、事情を聴きたかったし、抱きしめあいたかったし、ただいまとお帰りと、それから久しぶりと、頭の中には色んな気持ちと言葉があふれてた。でも、そんなことより............。

「みんながいて良かった。これもそれも、運命だったんだよ。俺、慌てて帰ってきたんだけど、よりによって長雨で橋が流されてて」

そう、真っ直ぐに帰ってこれていれば、あと7日は早く帰り着いていただろう。
橋が流されて渡れない場所があって、でも少しだけ上流に歩けば別の橋があるはずと歩いたのに、その橋はもう2年も前に流されなくなってて。だいぶ上流に行けば子どもだましな吊り橋があるとも聞いたけど、体力も気力もなくて、水が収まれば渡る手段はほかにもあると聞いて、諦めた数日。

ミンギュとウォヌに伝えて、それからあちこちのメンバーに話さなきゃならなくて。
全員にその事実が伝わるまでに、どれぐらいの時間がかかるだろうって考えてた。
それなのに、帰り着いてみれば全員がいて、そこにはもう2度と会えないかもしれないと思ってたジュンやディエイトがいて、ジョシュアとバーノンまでいて。

思わず泣きそうになったドギョムだったけど、泣いてる場合なんかじゃない。

「俺のはなしを聞いて欲しい」

そう言いながらも深呼吸をしたドギョムは、何から言っていいのか一瞬だけ迷った。
キュウリを売りつけられた話からするべきか、違う名前で呼ばれてた話からするべきか、でも見つけたんだって言うべきか。

その一瞬の躊躇がまずかったのか、ウジが「ヒョン、ごめん、ごめんなさい」ってジョシュアに謝って、ジョシュアが「お前が謝る必要はないよ」と答えて、ディノが「でも、でもやっぱりダメだよ。お願いだよヒョン」って言いながらバーノンに抱き着いて。
バーノンが「うん。わかってる」って答えてた。

当然状況が理解できてなかったドギョムは、「え? なに? どうしたの?」って言うしかなくて、そんなドギョムにはミンギュが近づいてきて、「スングァニを、もう一回真剣に探そうって話になっただけだよ」って教えてくれた。

「いや、だからみんな、俺のはなしを聞いて欲しい」

当然ドギョムはもう一度そう言った。それなら自分の話を聞いてくれたらすべては解決するし、いやでも、正直なところ住んでる場所までは特定できてないから、やっぱり探さなきゃいけないのは一緒なんだけど......とか、考えたのが今度もまずかったのか、ウォヌが「やっと会えたのに、俺たち、別れるために会ったんじゃないのに」って言いながらその場にしゃがみ込んで、目の前にいたミンギュが当然のようにウォヌに近づいていく。

なんだかドラマの中の主人公が言いそうな発言をしてるのに誰もツッコまないし、ドギョムの帰りに喜んでくれる人はいないし、いやそれよりも、ドギョムの話を聞いてくれる風でもなくて............。

「ねぇ、ちょっと、みんな。どうでもいいから俺のはなしを聞けって」

結構必死な感じで皆の意識を引こうとしたのに、「ドギョマ、お前のはなしは後で聞いてやるから」とハニヒョンに諭される始末。それからホシヒョンが近づいてきて、「今ちょっと、大事な話してたから。後でちゃんと話してやるけど」って囁いてくる。

2人に諭されて、一瞬黙ったドギョムだったけど、どんな話の内容だったとしても、自分の話が一番大事で誰にも負けはしないと考え直した。

「どんな話だろうと関係ないよ。俺の話を聞かなきゃみんなッ」

そう結構な声の大きさで叫んだのに、ドギョムがまるで帰ってくるまでの旅の途中に見聞きした四方山話でもするとでも思っているのか、「今は、命の話をしてるんだよ。俺たち」って不意にまじめな顔をしたホシにさえぎられた。

「ボノニヒョンが、スングァニのところに逝くって。シュアヒョンは、それにつきあうって言ってるんだよ。今はドギョミヒョンの話なんて聞いてる場合じゃないんだって」

ディノが叫ぶように言うけれど、その言葉の意味も理解する前に「そんなことより、俺の話を聞けよッ」とドギョムが叫び返す。

「そんなことよりってなんだよ。何言ってんだよッ」

そんなことより......って言葉に、思わずミンギュがイラっとしたのか怒鳴りだす。

「聞けよ。聞けってッ。聞いてくれってッ」

いつもならどこかで押し負けるドギョムが譲らないから、「聞こう」と言ったのはジョンハンだった。全員の視線を受けながら、ドギョムは唾を飲み込んだ。それから一回大きく息を吐いて、よくやくその時が来た。

「俺、スングァニに会ったよ」

ドギョムの予想でいうと、全員が驚いて、それから喜んで、きっと「どこで?」「いつ?」とかたくさん聞かれて、問い詰められながらも順番に出来事を話す自分を想像してた。

本当ならキュウリだって持って帰ってきたかったけど、さすがに日にちがかかりすぎて、持ち帰ることは難しかったのが悔やまれる。

でもドギョムの予想に反して、誰も驚いていなかった。喜んでもなくて、ちょっとだけ悲し気で、なんでかジョンハンに抱きしめられて、背中をさすってもらったドギョムだった。

「な、なんだよ、みんな。スングァニが生きてたんだぞ」

それが真実なら飛び上がらんばかりに喜んでるはずの情報に、皆が悲しそうな顔をする。
絶対に探しだすつもりのウジだって、ホシだって。
戻って来てはじめてスングァンの不在をしったジュンだって、ディエイトだって。

「ほら、やっぱり。俺が言った通りじゃん。スングァニが帰ってきたって、俺が言った通りだ。な? ほら、な?」

ほらやっぱり......って言いながら、ウォヌが嬉しそうに言う。
その言葉に、「そうだな」って言いながら、ミンギュがウォヌを抱きしめた。

 

The END
2577moji