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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Seventeen's Story 12

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Seventeen's Story 12

混沌としてきたかもしれない。
スングァンのもとに行くというバーノンを止めるはずが、そんなバーノンと一緒に行くというジョシュアがいて。

「大丈夫。もしもの時には、俺が一緒に行くから」

ジョシュアが捨て身の覚悟でバーノンのことを止めにかかってるんだと少なからず誰かは思ったかもしれないけれど、ジョンハンにはそれが本気だって判ってた。

「ごめんな」

ジョシュアがバーノンに謝って、「意味が判らないよヒョン」ってバーノンはジョシュアの言葉の意味を問う。

「ずっと一緒にいたのに、お前のことを癒してやれなかったよな。俺は自分のことに必死で、ただ一緒にいただけで、何もしてやれなかった」

アメリカに行けば、どうにかなると信じて送り出したけど、それはただその時を少しだけ先にしただけだったのかもしれない。
それでもアメリカにはジョシュアがいて、それだけが救いだった。それはバーノンにとっても、ジョシュアにとっても、それから送り出したジョンハンにとっても。

「お前が、スングァニに会いたいって。だからもう一度探してみるって。でもそれでもやっぱり見つからなかったら、俺があいつのところに行くよって言った時に、俺も覚悟を決めたんだよ。お前だけを送り出せないって」

遠く遠く離れていたって、忘れられない人がいて。
思い出だけを大切に生きて行けばいいじゃないかなんて、何年経っても癒えない傷口からは血が流れ続けてるのが判ってるのに、言えるはずもない。

エスクプスとずっと一緒にいたジョンハンだって、いつだってジョシュアのことを思ってた。遠く離れ離れになってしまったけれど、きっと幸せに生きてるだろうって信じることで、どうにか生きてこれたっていうのに。

誰よりも頑張り屋で、笑いに貪欲で、でも案外繊細で。
魅力的って言葉が良く似合って。いつだって物凄く頑張ってるのに、まだまだだって本気で思ってて。
色んな歌や歌手や、音楽そのものが大好きで。
自慢の弟で。仲間で。もう家族で。

13人もいたのに。たった1人では、どうしたって寂しいはずで。

「ダメだよ。ヒョン。やめてよ。俺、あいつのとこに行かなきゃいけないのに、そんなこと言われたら、行けなくなるよ。あいつは、きっと俺のこと、待ってるのに」

バーノンがそう言って泣くから。
ディノも、ウォヌも、ミンギュも。エスクプスもジョンハンも。ウジだってホシだって。泣くのを耐えようとしても、耐えられるはずがなくて。

「俺だってダメだよ。だってもしもそれでスングァニに会えなかったら、今度はお前が1人になっちゃうじゃん。そんなの、俺は絶対耐えられないよ」

誰も何が正解なのかが判らなくなっていた。
そんな中、「絶対嫌だ」って口にしたのはウジで、流れる涙なんてそのままに、でも視線も口調も強くて、必死に睨んでた。

だってジョシュアの発言に困って戸惑っているバーノンがそれに納得してしまえば、自分たちは2人とも失ってしまうから。

「絶対、絶対、俺がスングァニを見つけるから............」

強気な発言をしたウジの、握りしめた手がブルブルと震えてた。

あぁあれから、何年経っただろう。
あちこちの土地で、町で、瓦礫の撤去をしながらエスクプスと2人、スングァンの行方を探し続けたこの数年。
もう諦めてやらなきゃ、やすらかな眠りにつけないんじゃないかと思いながらも、亡くなった方の特徴がかかれたリストがあると聞けば確認しに行き、かつて避難所だった場所を訪ね、当時のことを知る役所や病院の関係者を探し話を聞いた。

もしかしたらって何度も期待して、奇跡を願って、夢にも見て。それから何度も諦めかけて、もうそろそろいいじゃないかって口にしかけては何度それを飲み込んだだろう。

「俺もまだ、諦めてない」

失う訳にはいかない。それだけは確かだから。
耐え続けてきただろうバーノンとジョシュアの苦しみだって判るけど、それでも今は、自分たちがいるから。
そんな気持ちを込めてジョンハンは、ジョシュアを抱きしめた。

改めて「おかえり」って気持ちと、「ありがとう」って気持ちを込めて。
当然そこには「愛してる」って気持ちと、「お前1人じゃないよ」って気持ちも込めて。

ずっと笑ってたジョシュアが、ジョンハンに抱かれて涙を零していたけれど、それは酷く静かで、泣きなれてしまった人にも見えて、誰もが何も言えなくなっていた。

「みんな? なに? なんでみんないるの? もしかしなくても、俺が最後じゃん」

もしかしたら時間は本当に止まっていたかもしれない。
驚きが声の大きさと比例したのか、ドギョムの声がその場に響き渡るまで。

 

The END
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