テレビの企画でみんなで幼稚園に来て子どもたちの相手をした時のこと。
デッカくてカッコよくてってのは、小さい子どもたちにもわかるのか、ミンギュは当然のように人気だったし、美しいってことにも気づく子どもは気づくのか、ジョンハンも人気だった。子ども好きのスングァンも当然人気者。
踊って見せるホシに、ピアノを弾いてみせるウジに、不思議な動きをするジュンに、なんでか寡黙なウォヌだって人気で、セブチの面々はみんなそれぞれ人気者の中、子どもたちとの距離を測りかねたドギョムはちょっとだけ出遅れた。
それはほんとにちょっとだけだっていうのに、自分のそういうところが苦手だなって、外には出さないようにして凹んでたドギョムのことを、たぶんジョンハンは気づいたんだろう。
子どもたちを集めて、「は~い。ヒョンがおはなしをきかせてやるよ~」って言い出したジョンハンが語るおはなしのタイトルは、「北風と太陽とドギョム」だった。
子どもたちはあちこちから「違うよ。それは北風と太陽だよ」「知ってるよ旅人に風をビュービューするおはなしだよ」「ドギョムってなんだよッ」って、騒いでる。
まぁドギョムだって、「とドギョム」ってなんだよって思ったから、それは一緒だっただろう。
でも子どもたちに混ざってセブチの面々が、ウジ以外はデカイ図体で体育座りなんかして、そのおはなしはどんなんなんだとワクワクした顏で楽しもうとしてたから、ドギョムはとりあえず、そこにツッコむことは我慢した。
「違うよ。旅人のはなしじゃないよ。それは『北風と太陽』だろ? 今回のおはなしは『北風と太陽トドギョム』じゃん。だから旅人は出てこないんだよ」
そうジョンハンが言えば、子どもたちは素直に「へ~」って顔。
それは子どもがたくさん出てくるおはなしだった。
みんながお外で楽しそうに遊んでて、でも一人でずっとブランコに乗ってる子がいて。
なかなか順番が回ってこないと子どもたちが哀しんでいたら、北風が「私に任せて」ってしゃしゃり出てくる。
でもビュ~~~~って強めの風を拭いたら、ブランコだってガタガタ揺れちゃって、残念、子どもたちは全員危ないからってお外で遊べなくなっちゃった。
そうしたら次は太陽が、「それじゃぁ俺が」ってこれまたしゃしゃり出てきた。
それから強めの太陽光線を出したらあら残念、ブランコもあちこち熱くなっちゃって、やっぱり子どもたちは全員お外でブランコでも滑り台でも火傷しちゃうからって遊べなくなっちゃった。
あちこちから、「そうだよ。旅人じゃないんだもん。北風さんだって太陽さんだってダメだよ」って声があがる。それから「ドギョムは何ができるの?」って声も。
ジョンハンが、「ドギョムは何もできないよ」って普通に答えてて、あちこちから「何もできないの?」って驚きの声が。
「うん。ドギョムは何もできないんだけど、でもね、ちゃんとお願いができるんだよ」
ブランコを独り占めしてるお友達のところにいって、「僕にも乗らせて」ってドギョムはお願いをした。
それから「一緒に遊んだほうが楽しいよ。押してあげるよ」ってブランコに乗るお友達の背中を優しく押してあげた。
北風みたいな強い風も、太陽みたいな強い光も持ってなかったけれど、おはなしの中のドギョムは「いいよ。一緒に遊ぼう」って言ってくれたお友達と順番に、ブランコに乗って遊べてた。
それじゃぁと、「みんなもちゃんと、順番守ってお友達にちゃんとお願いしてね。それからお願いされた子は、いいよって言ってあげなきゃダメだからね」っておはなしをキレイにまとめてたジョンハンがいた。
それから何故か、「お兄ちゃん凄いね」ってドギョムは子どもたちに大人気になっていた。別段、何もしてないっていうのに。
少しぐらい出遅れたって、ドギョムの優しさは何よりも強いんだって、なんだか慰められたような、励まされたような。
せっかくドギョムがそんなことを思って一人ジーンってしてるっていうのに。
「そうだよ。ドギョミヒョンはお願いが上手だから、財布とか持たずにウロウロするんだよ」とスングァンが。
「でも俺お願いなんてされた記憶ないけど、勝手に俺の服は着られてるけど?」ってバーノンが。
そうしたら次にはジュンが「あ、こないだ貸した充電器返してもらってないかも」とか、ホシが「練習室で俺の弁当食べたのもドギョミだった」とか、The8が「俺のシャツ」とか、エスクプスが「俺の靴もじゃぁドギョミが?」とかとかとか。なにやらあらぬ疑いまで混ざってたけど、案外出るわ出るわ。
ドギョムが「後で聞くから今は黙っててッ」って慌ててた。
The END
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