作業室の中で、過ごす時間が一番多いのはやっぱりウジだろう。まぁウジの部屋だから当然だけど。
次に多いのはホシだろう。
入り浸ってるから、これまた当然かもしれない。
いつだって音楽が流れてて、時折ウジが歌ってる。
それは歌詞なんてまだなくて、ただの「リルリラララ」って感じだったけど、それでもホシにとっては最高の音楽だったりする。
ソファに寝っ転がって、ウジの邪魔をしないようにしてるけど、ホシだって勝手に歌ってる。
『好きでいられたら、他には何もいらない』
『その声が聞けたら、他には何もいらない』
『笑ってくれるなら、他には何もいらない』
『遊んでくれたら、他には何もいらなくて』
『一緒にいれたら、他には何もいらなくて』
『時々は、美味しいものを食べにいけたら、他には何にもいらないし』
なんて、適当なもの。
ヘッドホンをつけて仕事してるウジには全然聞こえてないだろうと思ってたのに、実は勝手に録音されてるなんてホシは知らないし、後からそれを聞いてウジが、「いや、他には何もいらないって割には、要求多すぎだろ?」とか笑いながら呟いていることも、当然ホシは知らなかった。
一緒に笑ってることもあれば、全然別のことを楽しんでる時もある。ホシがやたらとウジに構いたがる時にはウジは鬱陶しそうにしてるけど、時折ウジはホシに異様に執着を見せる時もある。
そんな二人の気持ちがピッタリお互いを向けば、きっととっても素敵なことが起きるか、物凄い愛が生まれるか、奇跡みたいな曲だってできちゃうんじゃない?ってウォヌが一度、ウジに言ってきたけれど............。
首を傾げながらウジは少しだけ考えて、「今の方が、曲はできる気がするけど」とか言ってきて。意味が判らないとウォヌもまた首を傾げれば、「だって俺ら、両片想いだもん」とウジが自慢げに笑ってみせた。
当然ウォヌが言葉を失って、なんとなく負けた気になったのは言うまでもなくて。
両想いも片想いも聞いたことはあるけれど、両片想いなんて言葉ははじめて聞いた。でもなんだか、それは凄いステキな感じだったりもして.........。
ウォヌが謎に凹まされて作業室を出て行くのをよそに、ウジが自撮り写真をSNSにUPする。ホシと同じ服だと騒がれることも多いけど、大抵それはホシの服だ。
誰に対してのマウントかは謎だけど、そんな時いつだってウジはフフンって思ってる。
そんな時、ウジが楽しげに「リルリラララ」とか歌ってたりするのだが、それは誰も知らない。
そんなウジのことを隠し撮りして、こんなの撮れるの俺だけだしフフンってSNSにあげてるホシもいるから、二人は似てるのかもしれない。
まぁその後、本気で二人でケンカしてたりもするけど............。
The END
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