妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

LOVE×13(5th Anniversary)

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IS THIS LOVE

最初に「キラキラしたもの、いっぱい落ちてるよ」と言いながらそれを宿舎に持ち帰ってきたのはボノニで、「なんでも拾ってくるなよ」とハニから怒られていた。

でもその手の中にあるものを覗き込んでみたら、それは本当にキラキラしてて、キレイで、でもしばらくしたらふっと消えてしまった。冷たくはないけれど、「雪?」って誰かが言っていた。

宿舎の前でも、事務所の前でも、スタジオに向かう道にも、テレビ局の前にも、それがいっぱい落ちていた。

「あ、ほら、あそこにも。あっちにも」

車の中でそんなことを言いながら話していたら、マンネなディノが普通の顔で声で、「ヒョンたち、何言ってんの? あれは愛だよ」と言うもんだから、一緒に車に乗っていたメンバーは全員驚いていた。

言われれば愛っぽい。でもなんでそれをディノが知っているのか。それも当然って顔で。
でも聞けば平然と、「マンネだからじゃない? ヒョンたちからの愛も、俺には見えてるけど」とか言うもんだから、ウォヌが「じゃぁ俺がからかってるのも、意地悪言ってるのも、時々無視しようとしてるのも、全然意味ないってことじゃん」と驚いていた。

「うん、まぁ。愛はだだ漏れだからね」

どんな意地悪なことを言われたって、無茶ぶりされたって、からかわれたって、ヒョンたちからはキラキラした愛が次から次へとディノに向けられてくるから。一人で練習室に行くことにしたって、誰かの愛があちこちに落ちている。誰かが様子をこっそり見にきてたって、ディノにはすぐに判るから。

たまたま余ったからという理由で貰えるものにも、愛がいっぱいまとわりつくようについていて、明らかにディノのために用意されたものだってことが判る。

「お前............凄いな」

ウォヌが言葉を失っていた。
でも実はディノも言葉を失っていた。ヒョンたちに、愛が見えてなかったのか.........と知って。

クプスヒョンの愛は大きいのに。
ハニヒョンの愛は深いのに。
シュアヒョンの愛は優しいのに。

ホシヒョンの愛は激しく見えて寄り添ってくるような愛。
ウォヌヒョンの愛は照れ隠しのような愛。
ジュニヒョンの愛は気づけば世界を埋め尽くすような愛。
ウジヒョンの愛はぶっきらぼうな愛。

ディエイヒョンの愛は優しく見えてぶつかってくるような愛。
ミンギュヒョンの愛は笑いが絶えない愛。
ドギョミヒョンの愛は笑えて、でも時々泣けるぐらいの愛。

スングァニの愛はキレイな愛で。
ボノニヒョンの愛はキラキラした愛。

楽しい時も辛い時も、忙しい時も眠れない時も、息苦しい時も体調不良な時も、ディノの廻りにはヒョンたちの愛で埋め尽くされている。

あぁでもなんで愛が見えていないのに、ウジヒョンは、あんなにステキな愛の歌が書けるのか。

 

 

明後日には五年目を迎える日。ディノは愛が見えるっていう不思議な夢を見た。
とりあえず朝から窓の外を見て、現実にも起きてないか確認して、もしかして自分以外は見えてたら困るからと、朝から同じ部屋のジュンとスングァンを起こして、「ねぇ、愛とか見えてないよね?」と確認して嫌がられていた。

「俺には見えてるけど? 当然じゃん」

そんなことを言うハニヒョンとの戦いもあったりして。
でもやっぱりヒョンたちは全員、ディノの話を楽しそうに聞いてくれて、笑ってくれて、ツッコんでくれて。
愛は目に見えなくても、やっぱり同じようにそこここにあった。

The END
1401moji
This is DINO's story......

 

 

LOVE LOVE LOVE

宿舎のリビングで一人ラーメンを食べていたら、玄関があいた音がして、ドタドタドタっていう足音。
一瞬見えたのはウジの後ろ姿。珍しく部屋のドアを乱暴に開けて閉めて消えてったから、機嫌が悪いのかと思ったら、後を追ってきたホシもまた怒ってた。

「なんだよッ。もう誘ってやらないからなッ。ジフニのバーカバーカバーカッ」

丸っきりコドモみたいな言い草。きっとウジはふる無視だろうなと思っていたというのに、部屋のドアがバタンと勢いよく開いたと思ったら、「バカっていう方がバカなんだよ。バーカバーカバーカ」と言い返してた。

いやもう二人ともコドモじゃんって思ってたら、二人ともほんとに小さなコドモだった。
なんだ夢かと気づいたけれど、ケンカする二人なんて滅多と見れないから、コドモな二人を堪能しようと思ったのに、「俺はバカだもん」とホシが言えば、「お前はバカだ」とウジが言う。もっと揉めるんじゃないかと思ってたら、言葉以上の会話が成立したのか、二人して何に怒ってたのか不思議なぐらいに収束して、仲良くどこかへ消えてった。
いつだって、ホシとウジは言葉以上の何かで話してる。

「お前はバカだ」

ウジにそう言われると、いつだってホシは誇らしく思う。何故か。
はじめてウジが曲を作った時、それはホシの前に差し出された時にはすでに驚くほどに輝いていて、ほんとにキラキラして見えた。本人はそれを全然ダメだと言ったけど。クソミソみないな曲なんだと言ったけど......。ホシが本気で「じゃぁそれ、俺にちょうだい。俺のタカラモノにするから」と言えば、「お前はバカだ」とウジが言った。

その時にはすでに、嬉しかったから。
きっとウジが自分に向けてくれる言葉はすべて、嬉しいのかもしれない。

二人の間にあるものは、数えきれないほどの約束。いつか一緒に一位を獲って泣くぞっていう約束は、すでに果たされたけど、同じようにすでに叶った約束もあれば、まだまだ先が見えない約束もある。約束とは別に、お互い勝手に誓ったこともある。それぞれがボカチとパフォチのリーダーになると決まった時。クプスヒョンを俺たちで支えようと話し合った時。誰かがケガした時、誰かが離脱した時、誰かが活躍した時、誰かが新しく何かをはじめた時。

もちろん二人の間には、二人にしか判らない愛がある............。
時々メンバーたちは笑って、ホシの愛が八割、ウジは二割あるかどうか......と言うけれど、それは何も、問題ないんじゃないかと結構真剣に思ってる。

だって二人の間には、二人の愛があって、どっちがどれだけ出してるなんて関係なく、二人の愛で満たされた愛があるんだから。
きっとLOVEって文字だとしたら、九割以上はホシが描いてる。
それでも最後の一文字、もしかしたら一筆分かもしれないけれど、それで二人の愛ができているのなら、何も問題ない。

真剣にそう言えば、やっぱり「お前はバカだ」とウジが言う。
「俺はバカだもん。でも、幸せだもん」
そう。ホシは幸せだったから。愛してるってだけで、幸せだったから。
愛してる分だけ愛して欲しいなんて思ったこともないぐらい、幸せだったから。
ずっとずっと作業室に籠ってセブチの世界を作ってるウジの背中を見るだけで、幸せだったから。
時々振り返って、「運動行く」って無表情でウジが言うだけでも幸せなのに。

今日もウジは急に立ち上がったと思ったら、振り返った。
それからホシのことをじぃぃぃぃぃって見てきたと思ったら、「愛してる」って口にした。
「ほへ?」
ちょっとバカみたいな声が出てしまった。
ウジが歌詞以外で「愛してる」なんて口にしたのを見るのは、もしかしたらはじめてかもしれないから。
「あ、そうか。これは夢か」と思ったけれど、愛の言葉を口にしたウジが笑って両手を広げてくれたから、「夢でもいいから醒めないで欲しい」とか思ってたら、ほんとに夢だった。

目覚めた時はウジの作業室で、そこには徹夜したのか作業を続けてるウジがいて、振り返らないかなってじっと見てたけど、全然振り返る素振りはなかった。
なんとなくその日は期待して待ってみたけど、当然ウジの口から「愛してる」なんて言葉が零れることは、歌詞ですらなかった......。

宿舎に戻ったらリビングにハニヒョンがいたから、思わず夢の話をしてグチってしまった。通りかかったミョンホが「夢って口にすると正夢にならないんだよ」とか言っていて、「わぁぁぁぁぁぁ。ハニヒョン今のは聞かなかったことにして」と叫んだけれど、間に合わなかったかもしれない。

「お前はバカだ」

そういうウジの声が、聞こえた気がした............。

 

The END
1909moji
This is HOSHI's story......

 

 

LOVE ATTACK

リビングのベッドで寝ようとしたら、何故かそこにスングァンのバレーボールがあった。誕生日の時にミンギュに貰ったやつだと思うけど、宿舎のフロアも違うのに......と思っていたら通りかかったシュアが、宿舎で遊んで怒られてマネヒョンに取り上げられてたよと教えてくれた。 

「なんかね。スングァニのアタックを受けたらね、その人はスングァニのことが好きになるんだって」
「は?」
「あっちの宿舎は今や、スングァニのせいで、火事になりそうなぐらいだってよ」
「..................」

物凄く謎な情報を耳にして、「いや、じゃぁ俺のハニは?」と思わず口にしてしまった。

「ラァァァァブ、アタァァァァァック!」

もしかしたら仕事してる時よりも、テンション高めなスングァンだったかもしれない。手には、キムミンギュから貰ったバレーボール。しかも結構高めのプロ仕様のもの。
誕生日の時にケーキ運がなさ過ぎて泣きそうになってたら、基本誰にでも甘いキムミンギュが、「一番たっかいバレーボールを買ってやるから、な」と言ってくれて、思わずニヤってしてしまったのは内緒だ。

買ってもらったボールでラブアタックを決めている。
ラブアタックと叫びながらボールをアタックして誰かに当てれば、不思議とその人は自分のことを好きになる......って、ボールの取り扱い説明書に注意事項としてラブアタックを決めすぎないようにと書いてあったから。

摩訶不思議なラブパワーなのか、プロ仕様のバレーボールは特別なのか、それともキムミンギュが買った店が特別だったのか。
とりあえず同室のムンジュンフィに試してみたところ、あまり効果はなかった。
まぁ、ムンジュンフィだしな………と、諦めたというか、納得したというか。
次にミョンホヒョンに当ててみて、「部屋の中でボール遊びは危ないだろ」と普通に注意された。

「ヒョン、俺のこと好き?」

しょうがないから自分から聞いて確認したら、「当然じゃん」と返事しながら去ってった。
まぁ、中華ラインはね、そういうとこあるよね……と、釈然としないながらも、納得。

ディノにはブロックされたから、結果は判らず。

ホシヒョンは、「ヤー、外行け外」と言っていたけれど、自分の方こそリビングで扇風機を使ってカイトをあげようとしていて、マネヒョンに怒られていた。

ハニヒョンにはビビって当てられず。そこはさすがのスングァンも試せなかった。

後は肝心のボノニ。なんてったって、今までは練習みたいなものだったから。なんだか全体微妙で、ラブアタックちょっと嘘臭いかも……とは思っていたけれど、結構真剣に気持ちを込めて。

「ラァァァァブ、アタァァァァァック!」

ボノニは普段通りボーッとしてたからか、右肩ぐらいに大ヒットした。跳ね返ったボールはリビングでバシャバシャバシャバシャうるさいカイトにも当たって、ホシヒョンのカイトは糸が切れたのかリビングからキッチンに向かって飛んでって、ムンジュンフィが作ってたラーメンの鍋の中に突っ込んでいた。

そして鍋の火が燃え移ってカイトが燃え出して、「わー、火事だッ」って叫んだら目が覚めた。

とりあえず、キッチンに走って火事じゃないことを確かめた。ラーメンを食べてるムンジュンフィはいたけど、特に問題は起きてなかった。

キムミンギュ から貰ったプロ仕様のバレーボールの取り扱い説明書も見たけれど、それは普通のボールだった。まぁそうだろうけど。

ちょっとだけ残念……って思いながらもボノニに夢の話をすれば、「それきっと、俺も大して変わらなかっただろうな」って言われて首を傾げれば……。

「だって俺もヒョン達も、もうスングァニのこと、好きに決まってるじゃん」

真正面から当然って顔で言われて、照れて言葉を失いながらも、物凄い幸せになったスングァンだった。

 

The END
1568moji
This is SEUNGKWAN's story......

 

 

LOVE CONTROL

朝も昼も夜も、とにかくずっとゲームをしてたら、コントローラーが壊れてしまった。強く握りしめたらグシャって感じで。

「ウォヌや。ごめん。コントローラー握り潰しちゃった」

謝ったらウォヌが言葉を失っていた。
そして珍しく今回はウォヌが、「ヒョン。これは夢だよね?」と言ってきたから、「あぁ、夢か......」と思ったけれど、ゲームが続けられなくなったのは事実だった。

「このコントローラー、壊れてるじゃん」

自分の手の中にあるソレを見ながら、ムスっとしてたのはミョンホだった。
電池が切れたのかと交換してみても、全然役にはたたなかった。
目の前ではコントロール不能になったムンジュンフィが勝手なことをしまくっている。とりあえず誰かにイタズラするべく、部屋の隙間を探して隠れようとしてるし、お茶のためのお湯の中に砂糖をいれようとしたりもして............。

さっきまではちゃんとコントロールできていた。コントロールがきいてる時のムンジュンフィは落ち着いていて、頼りがいのあるヒョンで、静かで、時折カッコイイ。
なのにコントロールがきかなくなると、途端に騒がしい。それから落ち着きがなくなって、時折不機嫌にもなって、それから謎に「我爱你」って言ってくる。油断すると勝手に人を抱きしめてくるし............。

でもなにがムカつくって、ムンジュンフィは同室のスングァンにもディノにも、「我爱你」って言うから。優しい感じの笑顔を見せるから。無限大な感じの気持ちも簡単に差し出してしまうから。
そんなムンジュンフィの特別なものを、皆はただ笑って、「もうジュニヒョンたらまた」って感じで笑ってるだけだから。

ミョンホの特別なものは、皆にとっては特別じゃない。
世界で一番ステキなはずの人は、誰かにとっては世界で五百番目にも入らない。
それが普通で、それは当然で、その方がいいんだとは判ってる。
ただ問題はいつだって、ムンジュンフィが自分の中にあるものを平然とすべて、誰にでも差し出してしまうから。

ムスってしてたら、「どうした?」って人の顔を覗き込んでくる。
「心配なんてしないでよ」
文句を言えば、ちょっとだけ哀しいって顔をして、困ったって顔をして、強くは言ってこない。

まるで子どものような人。
コントロールなんて全然できない人。
しばりつけてしまっては、きっといけない人。
気づけば自分の気持ちの方がコントロールできなくなっていたミョンホだった。

「我爱你って簡単に言うくせに、多分俺が、我爱你って言ったら困るくせにッ」

叫んだら目覚めた。
あぁ、夢だったんだ......って感じ。
ちょっとだけ哀しい気がしないでもない夢だったけど、起きたらミョンホのベッドには、ムンジュンフィが潜り込んできていた。
やっぱりコントロールなんて無理だと、思わず笑ってしまったミョンホだった。

 

The END
1180moji
This is THE8's story......

 

 

FALL IN LOVE

「なんだよまったく」

そんな文句を言いながら、エスクプスがジョンハンの部屋に入る。
予想としては「どうした?」とか、「なに?」とか、まぁ寝てたらそんなリアクションもないだろうけど、とりあえずは無難な返事があると思ったのに、ジョンハンがベッドの中からこっちを見て、物凄く驚いた顔をしてた。

「どうした?」

だから思わず聞いてしまった。そうしたらハニが、「ど、どうしたじゃないよ。なんでノックもしないで勝手に入ってくるんだよ」と文句を言う。
いつだって、ノックなんてしたことないってのに。
そう言えば、「部屋にじゃないよ。俺の夢の中にだよッ」って怒られた。

どうやら、今回も夢の中にいるらしい。
最近、自分が見てる夢なのに、全部途中から持っていかれる。最初は自分の夢だったはずなのに、途中からは誰かの夢になって、結局は押し出されるように目覚めて、スッキリしない。

そう訴えれば、「違うよ。お前が勝手に人の夢の中に入り込んでるんだよ。だってコレは、俺の夢だもん」とハニが言う。
でもどうやって、この夢が自分のものだと言い張るんだ......って問えば、「だっていつも見てる夢だもん」と言う。

自分の部屋の中で、ただ寝てるだけの夢だなんて、夢とも言えない夢じゃないかと反論したら、「そうだよ。俺はいつも夢の中で、お前が来ないかなって思いながらずっと待ってる夢を見てるんだよ」と言うもんだから、言葉を失ってしまったクプスだった。

何度、恋に落ちるんだろう。
ずっと一緒にいる同じ相手に。
ほぼほぼ毎日一緒にいるのに、いつでも会いたいと思ってる。思われてる。
今日もお疲れ様って別々のフロアの部屋に帰る。それすらも寂しいと思ってる自分がいて、同じだけ寂しいと思ってくれてる相手がいるなんて.........。

「じゃぁ、今日は来たじゃん」

そう言えば、「そうだな。夢の中だけど」と言いながら、一人分ベッドの上でズレてくれる。横に忍び込めば、ハニの匂いがした。すぐにハニが、「クプスの匂いがする」っていうもんだから、やっぱり嬉しくなる。
でもそれ以上に驚いたのは、ハニがベッドの中で素っ裸だったこと。

「いや、なんでお前、何も着てないの?」
「だから、お前のこといつも待ってるからじゃん」
「..................」

ちょっとだけ動揺するけれど、「夢でもやれるの?」と聞けば、「試してみよう」とハニが言うから............。

果敢にも試してみたけれど、結果、どうなったかは覚えてない。
起きた瞬間には、なんだかモヤってした夢になっていたから。いや思わず自分のパンツの中は見たけれど......。

それから慌てて二階分を駆けあがって、ハニの部屋に飛び込んで、寝てるハニの布団をめくって、何も着てないのか、何か着てるのかを確認したのは言うまでもない。
確認した結果は、秘密だけど............。

 

The END
1196moji
This is S.COUPS's story......

 

 

LOVE SICK

宿舎の中で、ドギョムが歌ってた。それはいつものことだから、今日も平和。
楽屋の中や車の中では本気で歌うドギョムだけれど、さすがの宿舎では多少控えめに歌うから、迷惑でもない。ただ、ただただ、ドギョムは同じ曲をずっと繰り返し繰り返し繰り返し、自分が納得するまで歌うから、誰もがドギョムのパートを覚えてしまうってだけ。

「ヒョン、愛ってなに? どれぐらいの愛をこめれば、俺の歌は愛の歌になるの?」

目の前ではドギョムが泣いていた。あぁ、いつもの夢か......って思ったものの、泣いてる弟は無視できない。

「いつも歌ってるのに、お前は夢の中でも歌ってるのかよ」

そう言えば、ドギョムが「だって、愛の歌が、俺にはちゃんと歌えないんだもん」と泣いていた。

「どんなに心を込めても、愛の歌が完璧に歌えないんだよ。同じメインボーカルのスングァニは、いとも簡単にはじめて聞いた曲にも、愛をちゃんとのせてみせるのに」

最初はここが夢の中だとは気づかなかった。いつもの宿舎で、いつもの部屋で、リビングにはクプスヒョンがいて、ウォヌヒョンはゲームをしてて、シュアヒョンは時折部屋を覗いてくるけどニコニコ笑ってて。ウジヒョンは当然のようにいなかった。多分夢の中だって作業室にいるんだろう。それからミンギュはキッチンにいて、時折「ソクミナ~飯~」っていつもみたいに声をかけてくる。

でも夢なんだと気づいたのは、愛の歌がうまく歌えなくて泣いていたのに、誰も慰めてもくれなければ、抱き締めてもくれなかったから。
いつだって誰かは、歌い過ぎだと声をかけてきてくれて、グズグズしてたら絶対に呆れながらもそばにきてくれるシュアヒョンとかがいて、バカにしながらも様子を見に来てくれるミンギュがいて。

なのに誰もが好き勝手に過ごしてるだけで、どんなに泣きながら歌っても、歌っても、歌っても。愛の歌は歌えなくて。

「またお前は何をそんなに悩んでんだよ」

いつもなら、最終的にはハニヒョンがそう言いながらやってきて、「どんなに心を込めても、愛の歌が完璧に歌えない」と言えば、「お前が歌うだけで、それは愛の歌に決まってるじゃん」と力強い言葉をくれたりするはずなのに。

愛は知ってる。
メンバーたちに愛されているから。メンバーたちを愛しているから。
これまでだって愛の歌は歌ってきたはずなのに。ウジヒョンにだって、誉められながら歌ってきたはずなのに。

きっと貰う愛が多すぎるんだと思う。

次から次へと、メンバーは当然のことながら、スタッフヌナたちや、カラットたちから供給される愛があって、それだけでもありがたいのに、ちょっとだけ一緒に仕事をしたことがあるテレビ局の人たちからも、当然のように優しさが向けられる。
なんで見知らぬスタッフさんたちからも愛を貰えるのかと思ったら、なんてことはない。マネヒョンや、メンバーたちが、いつだって色んなスタッフたちと仲良くしてるからだった。

普段はメンバー全員でいるからなかなか気づけない愛情も、一人の仕事をしたらよく判る。全然知らない場所なのに誰もが優しくて親切なのは、誰かがドギョムのことを思って優しさをバラまいてるからだって。

たくさんの愛があって、たくさんの愛があって、たくさんの愛があって。
返しきれないよと、涙が出てしまう。
それすらも、「バカだなお前はもう」って、愛情たっぷりに、メンバーが慰めてくれたり笑ってくれたり抱きしめてくれたりするってのに。

どうしたって愛の歌が、歌えなかった。ちょっとだけ哀しい気落ちのまま目覚めたドギョムだったけれど、何故か目覚めたら、自分のベッドの真横でジョシュアが寝てた。

「な、なにしてんの? ヒョン」

思わずそう言えば、「寝てんだから静かに」って人の部屋の人のベッドで何言ってんだかこの人は......って感じだけれど、どうしてだかジョシュアはいつだって、ドギョムが落ち込んでたら、いくら上手に隠してたって部屋に押しかけてきて居座る人だから、夢の中でドギョムが泣いてたのにも気づいたのかもしれない。

「お? 起きた? 飯食うだろ?」

部屋を覗きにきたのはミンギュで、「ついでだから」って言いながら、ついでなんかじゃない感じの量のご飯を作ってたりして、ドギョムを呼びにきてくれる。

愛され過ぎている。でも、今ならきっと、歌えそうな気がする。朝から大量の冷麺とサンドイッチと蒸しパンと、謎な食べ合わせに笑いながらも、嬉しすぎてやっぱりちょっとだけ泣けてきたドギョムだった。

 

The END
1867moji
This is DK's story......

 

 

これが愛じゃなければ

珍しくミンギュが不機嫌で、リビングで洗濯物を畳んだり、掃除をしたり、無言で働いていた。いつもならリズムを刻みながらだったり、歌いながらだったり、勝手な歌詞をつけてたりするミンギュなのに。そもそも、不機嫌になることの方が少ない。多少は凹んだりムクれたりすることはあっても、ミンギュはそれが長く続くことはほとんどないから。

リビングのベッドで音楽を聴きながら昼寝しようとしてたら、「ヒョン、邪魔なんだけど」って邪見にされてしまった。
首を傾げてたら、自分たちの部屋からウォヌが出てきて、冷蔵庫から水を取り出してまた部屋に戻っていった。
いつもならミンギュもウォヌも、お互いを見つけたらとりあえずは謎にハグしたりハイタッチしたり、そこまでテンション高くなくても笑いあったりしてるはずなのに。
「ヤー。お前ら、ケンカしたのかよ」
ヒョンらしく話しかけたのに、ミンギュからはふる無視されてしまった.........。

飲みたい訳でもないのにわざわざ冷蔵庫から取って来たペットボトルの水を前に、ウォヌはため息を零していた。
クプスヒョンの、「お前ら、ケンカしたのかよ」って声が、部屋に入りかけの時に聞こえてきたけれど、ミンギュがそれにどう答えたかまでは聞こえなかった。
ケンカ............では、ないと思う。
最初は楽しそうにミンギュが、「もしも俺たち、セブチじゃなかったら」って言い出したのが最初だったかもしれない。それでも、歌手に、アイドルに、なってただろうかってはなし。

「セブチじゃなかったら、俺は芸能界にはいなかったか、いたとしても、こんなに長くはいなかっただろうな」

それが素直な気持ちだった。「じゃぁ俺ら、どこで出会ってたんだろう」ってミンギュが言い出して、どんな世界、どんな自分たちだったとしても、俺たちは出会ってたはずっていう強気の考えに笑ってしまった。
でももしもセブチじゃなかったら......なんて、全然違う世界のもしもじゃなかったとしても、出会う時期のタイミング次第で、今と同じセブチだったとしても、きっとこんな関係にはなってなかったと思うとそう口にしたら、「なんでそんなこと言うんだよ」ってミンギュがムッとしてた。

「きっとそれでも、お前は自慢の弟だったって」

いつだって自慢のキムミンギュだからと褒めたつもりだったのに、ミンギュが「弟だけだなんて絶対ムリッ」とさらにムッとしてた。それからミンギュが「生まれ変わったって出会う気でいるのに」なんて言うから、ちょっとだけ想像した。

全然違う人生を生きる自分と、街中ですれ違うだけのミンギュと。

きっとドラマや映画の中のように、すれ違った後に振り返ったりは絶対にしなさそう。頭の中に変な音楽も流れたりはしないだろうし、出会った瞬間に恋に落ちることなんて、絶対になさそう。
素直にそう言えば、さらにミンギュが不機嫌になっていた。
宿舎の中、そこはリビングだというのに、ミンギュが抱きしめてきて、キスされた。

「ウォヌヒョン。俺、謝らないからね」

そう言って、それ以来ミンギュが怒ってる。まだ半日も経ってないけど。
ミンギュはウォヌも怒ってると思ってる。
でも実は、怒ってないんだけど、それは秘密。
だからこれはケンカじゃないんだけど、やっぱりそれは秘密。
だって、ミンギュはたくさんのもしもを楽しそうに話すけど、どんなもしもだって考えたくないと思ってる自分がいるから。
もしも、これが愛じゃなければ......、きっと耐えられないのは自分の方だから。
気づけばウォヌは、リビングのベッドで寝てた。
怒ってるミンギュとのやりとりの、どこからが夢だったのか、全部なのかが今いち判ってなかったけれど、「リビングはみんなのものだからね」とミンギュがシュアヒョンに怒られていたから、やっぱり夢じゃないのかもしれない。
でもミンギュはいつも通りに笑いかけてきたし、怒ってる様子は微塵もなかったんだけど............。

 
The END
1657moji
This is WONWOO's story......

 

 

LOVE IS POWER

エスクプスは寝てた。うん、多分寝てた。
リビングのフローリングで大の字になって寝てた。
ミンギュが掃除機をかけてても、どくこともなく寝てた。洗濯物を畳んでるミンギュがエスクプスを邪魔だ邪魔だと文句を言っても、聞こえないふりして寝てた。
そこに、ジュンがやってきて、俺が片付けてあげるよ......という声が。
無理やり起こされるのか、それとも部屋のすみに押しやられるのか。ちょっと身構えつつも寝てたというのに、気づけば浮いていた。
あぁ、これは本格的に夢だな......と、夢の中でも寝てる夢を見るという謎な感覚の中、空中を浮いた状態で運ばれてリビングのベッドに移動させられるという、謎な、でも案外気持ちいい夢を見ていた。

「愛は力だ」

と、謎に不思議な力を使えるというジュンがいた。
ジュンが、ちょっとだけど、少しだけ先が見通せる。そう言っても、「はいはい」と誰も信じない。
世界は、変えられないこともあるけど、でも実はこの手の中にある。そう言っても、「へ~」とマンネなディノすら適当な返事をする始末。
誰も信じないが、愛が極まると不思議な力を使えるようになる。
でも誰も愛の力を信じない世の中だから、そんな力を使えるようになる人間が少ないから、誰もその不思議な力を信じない。

でも愛は力だ。

愛するってことは、何よりも力になる。親が子を。子が親を。友を。仲間を。見知らぬ誰かを。見知った誰かを。自然を。雲を。空を。宇宙を。世界を。
少しだけ先が見える。仲間たちが、笑ってる世界が。
俺たちは成功するよ。いつだってそう断言してきたのに、遠い夢だと笑うやつもいれば、信じたいとばかりに頷くやつもいた。ディエイトはいつだって、「そうだね」と言ってくれたけど。

愛は力だけど。

自由に、気ままに、勝手にはできない。その手の中に世界があったとしても、愛してる人たちがいる世界だから余計に、好き勝手にはできない。ただただ大切に大切に大切に、慈しむことしかできない。
ジュンのように力を得た人たちがこの世界に何人、何十人いるのかは判らない。でもきっと誰もがジュンと同じように、手の中の世界を大切にすることしかできなかっただろう。

愛するが故に力を得たはずだから。

夢を見る。仲間たちが好き勝手に夢の中でも暮らしてる。
ホシは夢の中だからとリビングでカイトを飛ばすし、スングァンはバレーボールでアタックするし、ドギョマは夢の中でも歌ってるし、ウジは夢の中でも働いてるし、ミンギュはいつだって掃除してる。仲間を愛してやまないエスクプスはいつだってリビングにいるし、ジョシュアはいつだって仲間たちのことを気にしてる。ジョンハンは夢の中でも人一倍自由。ディノはキラキラした世界を見てて、ディエイトは夢の中でも静か。それから夢の中のウォヌは素直。
そこまで夢の中を見回して、バーノンが見つからなくてちょっと慌てる。

ちょっとボーっとしたバーノンは、夢の中でも行方不明で、夢の中だというのに落ち着かない気持ちにさせられる。

パチリと目覚めたジュンが、そのまますくっと起き上がったものだから、それを見てたスングァンが驚いていたけれど、ジュンはそのままバーノンを探しに出た。
自分の部屋にも、リビングにも、もう一つ宿舎にもいなくて、とりあえず電話をかけても反応がないから、メンバー全員が見てるカトクに「ボノニどこ?」とメッセージを書き込んだ。

部屋じゃない? スングァニと一緒じゃないの? いないけど? 俺と一緒じゃないよ。今朝も見てないそういえば。いや、昨日の夜も部屋には帰ってこなかったけど?
次々とメッセージが流れてく。
結局誰も見てないバーノンは、気になりはじめたメンバー全員に探された結果、会社の会議室に籠って一人で音を作ってた。

夢中になりすぎたのか、何時間と、何十時間と作業を続けていたらしい。
どうりで一人、夢の世界にいないはずだった。

ジュンの不思議な力は、ジュンが公言してるというのに誰も信じないから誰にもバレてないけれど、それでもこうしてちゃんと、メンバー全員のことを守るために使われている。

やっぱりだから、愛は力だ............。

 

The END
1729moji
This is JUN's story......

 

 

SILENT LOVE

大切な人たちが、見える場所で幸せそうに笑ってること。それが自分の幸せだと、ホンジスと言う男は言う。
チングだからか、みんなには優しい笑顔を向けるのに、エスクプスには時々意地悪なことを言う。そしてジョンハンと本気でケンカする。
韓国語より英語が得意で、時々、子どもには聞かせられない言葉を発してるんじゃないかってほど、不機嫌そうに英語で文句を呟いていることがあるけれど、英語が判らないので真実は不明だ。

一番大人で、一番優しくて、一番愛を知ってる男だと、勝手に思ってる。
だって誰かが泣いたらジョンハンが飛んでいくけど、泣かずに耐えてる誰かの傍には、いつだってジョシュアがいてくれるから。
セブチの中で起きる出来事の、大きな何かはジョンハンが抑えてる。全体をエスクプスが見てる。そして綻びないようにあちこちを気遣っているのが、ジョシュアかもしれない。

それに気づかいの人だけど、言わなきゃいけないことは絶対に言うし、気になることはそのままにしない。
男らしいと思うのは、間違ってたとしても、失敗する可能性が高かったとしても、気にせず弟たちのことを放置するとこ。大きなケガに繋がるっていうなら確実に止めるだろうけど、それ以外は案外放っておいて、何事も経験だよって笑ってるとこ。

エスクプスはジョシュアを信じてる。色んな意味で、信じてる。
それなのに、あぁ、それなのに......。

何故かジョシュアがエスクプスのことを売り飛ばそうとしていた。
あぁ、いつもの夢か......とすぐに気づいたけれど、ジョシュアがカードゲームを誰かとしてた。

「13人もいるからね」

ジョシュアが不敵に笑う。
ポーカーとか、ブラックジャックとか、その手のカッコいいカードゲームじゃなくて、カードにヒーロー的なキャラが書いてあって、出したカードの攻撃力とか防御力とかで戦う、小学生ぐらいの男の子なら一度はハマったことがある、あれ系のカードゲームだった。

ジョシュアは負け知らず。
何せジョシュアの手元には、いつだって13枚のカードがあって、それぞれに結構な攻撃力を持ってるし、裏技もあるし、96ライン4枚出しときゃ、大抵は勝てる。
時々は相手のカードの枚数にあわせて戦わせる枚数を減らすことはあるけれど、13枚の中から厳選できるんだから、負けるはずがない。

それに、1枚ずつの対戦でも、ジュンとミンギュとウォヌのカードがあれば、負けることの方が珍しいし、困った時にはチャイナラインが役に立つし、弱そうに見えて案外戦ってくれるのがメインボーカルな二人。

まぁ密かにマンネラインのカードだけは案外大切にとってあったりするし、負けたら落ち込みそうだから、エスクプスのカードもあまり使うことはない。
だけど時々どうしたってゲームの途中でカードが奪われることがあって、そんな時にはいつだってエスクプスのカードを差し出していた。

大抵は「大将出していいの?」と相手が驚くけれど、残念、セブチの本当の大将はウジだ......とジョシュアのカードゲームの中ではそうなっている。もちろんジョシュアは心の中で、「チングや、ミヤネ」と謝っている。

時々は本気で負けそうなこともあるけれど、ジョシュアが負けることは、ほとんどない。だって、ジョーカー的なジョンハンがいるから。
負けそうになったらカード全部を蹴散らかすぐらいのことはしてくれるジョンハンのカードで、ゲームがご破算になったことはあれど、負けた記憶はない。

最後にはいつだって、取り上げられてたエスクプスのカードを取り返してくれるジョンハンだった。

謎に戦っている。夢の中だと判るのは、出したカードからそれぞれが出てきて、本気で戦うポーズとかまで取ってくれるから。
でも時々カードが13枚なくて、夢の中だって判ってるのに慌てることがある。
マンネラインのカードなんて、絶対に無くすはずがないのに......とか。

そんな時はいつだって、目覚めた後になかったカードのメンバーたちを探すことになる。各自の部屋を訪れて、練習室を、作業室を、宿舎の中を探して。

いつも通りに笑ってる姿を探してしまう。
夢の中にまで出てくるメンバーたちに呆れればいいのか、そんな夢の後にメンバーたちを探す自分に呆れればいいのかは、ちょっとだけ謎だけど。

「やー、なんでいつも俺のこと大切に扱わないんだよ」

時々エスクプスがタイミングよく文句を言ってくる。それに対しては、意地悪な顔で笑っておく。

 

The END
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This is JOSHUA's story......

 

 

TRUE LOVE

エスクプスが邪魔だった。
いつだって、リビングでゴロゴロしてるから。
掃除してたり、洗濯物を畳んでたり、料理してたり。届いた荷物を開くにしても、大抵はリビングでするのに、そこにはいつだってエスクプスがいたから。

「ヒョン邪魔」

そう言ったら哀しそうな顔をするのが、さらに鬱陶しい。何せ手伝うことはなく、ちょっとズレてくれるだけだから。哀しそうな顔をしながら。
まるでこっちが悪いみたいな感じになるからイヤだった。
その点他のメンバーは、なんら悪びれることもない。
ウジは「おぉ~ん」って感じの返事だけで、身体一つ分横にズレるだけ。
シュアは「ここは後でいいよ」と勝手なことを笑顔で返してくる。
ドギョムは「なんで俺がいる時にわざわざするんだよ」と文句を言ってくる。
それからウォヌは、黙って見上げてくるだけ..................。

くそぉ......。

最近ずっと夢を見るたびに、リアルな夢を見る。でも大抵はエスクプスはじまりで、誰か終わりの夢。それをずっと横から見てるのが、最近のミンギュの夢。
まぁどうしたって所詮は夢だから、案外自由だったり、夢だからこそ本心が垣間見えたり、夢だからこそ希望が叶うようで叶わなかったり。

誰かが叫んでたり暴れてたり怒ってたり泣いてたり笑ってたり。
それを全部見て、一緒に笑って心配して、おぉ?ってなってるエスクプスを、ミンギュが見てるってだけの夢。

何が気になってのこの夢なのかは、ちょっとだけ謎。
起きるたびに、なんとなくエスクプスの様子を伺ってしまう。
同じ夢を見てる夢ってだけで、本当に同じ夢を見てる訳でもないだろうに、でも見てたら、夢とは関係なく、エスクプスがメンバー全員を気にしてるのがよく判る。

いつでも歌ってるドギョムを捕まえて、「お前の声が俺は好きだぞ」って言ってみたり。いつも飄々としてるジョシュアにも、「頼りにしてる」って言ってみたり。
もちろん突然ミンギュの前にもやってきたと思ったら、「お前がきっと、この宿舎を守ってるんだと思う」とか言ってくれる。

ちょっとだけこそばゆいけれど、嬉しくもある。
あぁでもそんなことを言ってくれるなら、「ヒョン邪魔」って言った時に、哀しい顔なんてせずにどいてくれるか、ちょっとだけでも手伝ってくれればいいのに......。

「でもさ。俺たちのヒョンが、スンチョリヒョンで良かったよな」

そうウォヌがしみじみ言うから、横で頷いた。
二人が誰にも言わずにケンカした時にも、二人が誰にも言わずに新しい一歩を踏み出した時にも、エスクプスだけは知っていたから。
ウォヌと同じ部屋だからってだけでは、きっとないだろう。
いつだって自分のことのように、メンバーたちを見てるからだろう。
セブチのことを、一番愛してるからだろう。

 

The END
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This is MINGYU's story......

 

 

FIRST LOVE

「ボノニの初恋は俺だよね」

スングァンが、そんなことを言いながらドヤってた。
エスクプスはそれが夢の中だと、すぐに気づいた。だってスングァンが話すたびに、廻りに色とりどりのハートが飛びまくっているから。

「おぉ? んー、まぁ、そうかも」

頭の中に一瞬、金髪のカワイイ女の子の顔が浮かんだけれど、目の前でハートがあんまりにも派手に飛びまくってるから、とりあえずバーノンは頷いた。
そうしたら、「ほらね」ってスングァンが笑ってて、廻りは色とりどりのハートだらけ。これだけ喜ばれたら、別に初恋がスングァンでもいい気がする。

クプスヒョンもハニヒョンも、ウォヌヒョンもミンギュヒョンも、結構ラブラブっぽいけど、これだけ盛大にハートが飛ぶことってない気がする。
謎にホシヒョンはやたらとハートは飛ばしてるけど、ウジヒョンはそれをふる無視してる。それはそれで凄いけど。

あぁでも、スングァンが一番、気持ちが素直だと思うのは、惚れた欲目かもしれないけれど、なんだって楽しそうに頑張ってるし、ちょっとの良いことも、大切に感じることができるし、誰にでも「ありがとうございます」って言えるし。

「ボノナボノナッ。今、俺のこと考えてたでしょ」

スングァンのことを考えてると、大抵どこからともなくやってきて、スングァンはそういう。まぁ事実だから「おぉ」って返事をすれば、「ほらね。やっぱりね。俺にはお見通しなんだよ」とこれまた嬉しそうに笑ってる。

時々は鬱陶しいから、「あっちいってよ」って言っちゃうこともあるけれど、それは多分、大盤振る舞いのハートで前が見えにくかったりするからかもしれない。それでもスングァンは気にせずに、眠るのを忘れて作業してるバーノンに注意しに来るし、明日のスケジュールの確認にくるし、楽しいことや面白いことがあったら伝えに来てくれる。大抵が、色とりどりのハートを飛ばしながら。
それなのに、それなのに......。

「あぁ、俺も初恋が、ボノニだったら良かったのに」

なんて言うから、ビックリというか、酷いというか、なんてこったいというか。
思わず「は?」って言ってしまったし、ちょっとだけムっとしたかも。
それなのに、それなのに?

「でも、初恋以外は全部ボノニだって」

なんて言うから、ちょっとフリーズして言葉を失って、それから思わずキョロキョロと誰かに聞かれてないか、廻りを見回してしまったほど。
あぁでも、毎日毎日これだけハートが飛びまくっていたら、どんなに隠そうとしたって色んなことはバレバレだろう。

ヒョンたちは、いったいぜんたい、どうやって隠してるんだろう......と、今度こっそり聞いてみようと思ったバーノンだった。

もちろん、当然それは夢だった。起きて、「あ、夢か」とちょっとだけ安心したけれど、その後にスングァンに宿舎の中で会えば、朝から「おはよう」っていうだけでニッコニコで、ハートなんて飛ばなくてもバレバレかも......と思ったバーノンだった。

 

The END
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This is VERNON's story......

 

 

LOVE IS

エスクプスは夢を見ていた。

最初から夢と判っていたのは、自分が浮いていたからだろう。少しだけ。
目の前にはハニがいて、でも軽々と浮いている。背中に羽根があるかのように。
悔しいのはシュアも浮いていて、ハニほどでもないけど、自分よりは高い場所にいるこも。
でもふと気づけば、十三人全員いた。
リビングの中で、あちこちで、十三人が浮いていた。

「いや、13人もいたら、さすがに浮いてても邪魔だわ」

天使な自分はいつだって空が飛べるけれども、メンバーたちはそうはいかない。でも「一度でいいからヒョンみたいに飛んでみたい」と弟たちが言うもんだから、とりあえず全員を浮かせてみた......。
でも邪魔だった。
まぁ13人もいるから、しかもウジ以外はデカイから。そりゃ浮いてても邪魔だろう。
おかげでクプスは大分低空にいて、「ヤー、俺だけ低すぎじゃん。なんだよこれ。このままならベッドにものれないじゃん」とさっきから文句ばかり言う。まぁ確かにリビングにあるベッドにすら乗れない高さで浮いているのは事実だったけど......。

逆に結構高いところで喜んでるのはマンネラインの三人。
ミンギュとウォヌはそれぞれ腰ぐらいの高さで浮いている。何せ全員を同じ高さだとやっぱり邪魔だから。

「いやでもヒョン。俺、浮いてる方がしんどいわ」

そう言ってミンギュが足を下ろして立ち上がってしまった。
まぁ浮いてるっていったって、多少は自分で足をあげとかなきゃ床についてしまうぐらいの高さだったからだろう。

「ヒョン、俺ももういい。ありがと。想像は越えなかった」

冷静にひどいことを言いつつ次に離脱してったのはウォヌで、ゲームするために部屋に戻ってった。
ジュンとディエイトは浮いてても落ち着いてる。ジュンは眠たくて、ディエイトは瞑想してるからだろう。
ホシは浮いてても浮いてなくてもテンションが高くて、ウジに鬱陶しがられてる。
ウジは浮いた状態で曲を考えればいつもと違うかも......とでも思ってるのか、さっきから指で音を紡いでた。
ドギョムも浮かびながら歌ってみたら、良い声が出るかもと謳ってばかりいる。
結局は浮いてても浮いてなくても、あんまり変わらない13人ってことだろう。

「いや、掃除するのに、浮いてられるのも邪魔なんだけど」

ミンギュが部屋を掃除するという。床には誰もいないから掃除機かけ放題かと思ったら、浮かんでる身体が邪魔なんだろう。無造作にジュンのことを押しやって、押されたジュンがディエイトにあたり、そのディエイトはマンネラインに突っ込んで、空中で玉突き事故を起こしてた。
それでも全員、いや、文句を言い続けてるクプス以外は楽しそうだったけど。

「はいはいはいはい。ほら」

あんまりにも煩いから引き上げてやれば、クプスが物凄い嬉しそうに笑うから、
思わず照れるのはこっちの方だったりする。

「あ、なんか浮いてるのも疲れるかも」

シュアは冷静にそんなことを言って、引き上げられたクプスを押しのけるようにして部屋に戻っていった。
それに続くように、「寝る」とジュンが去っていき、「作業部屋に行く」とウジが去っていき、当然ホシがついていき......。
マンネラインやドギョムやディエイトも、気づけば浮いてることに飽きたのか、「ありがとね~」と去って行ってしまった。

気づけば広くなったリビングに、クプスと二人で浮いている。そしてリビングを掃除してるミンギュがいるだけ。

「なんでいつも俺だけみそっかすみたいにするんだよ」

何故だかクプスがスネている。
普通にしててもカッコいいしカワイイし、怒っててもカッコいいしカワイイし、スネてても当然カッコいいしカワイイし。とか思ってるなんて、きっと気づいてないんだろう。
「みそっかすな訳ないじゃん。オオトリじゃんオオトリ」

そう言ってやれば、何故かすぐに機嫌を直して「ほんとに? 俺が? オオトリ?」とかって喜んでいる。そんな単純なところも、やっぱりカッコいいしカワイイし。

「ヒョンたちも、邪魔なんだけど」

掃除機をかけつつ、浮いてる二人を見上げてくるミンギュに邪魔にされ、結局二人してリビングを後にした。
その後もちょっとだけ二人して飛んだけど、すぐに二人してベッドに沈んだ............夢を見た。
飛べるはずもないから、当然夢で、なんか、欲求不満なのかも。凄い夢みたわ......と、起き抜けにボーっとしながらベッドの中にいたら、突然クプスがやって来た。そしていきなり布団をめくられた。
「な、なんだよ急に」
「いや、何も着てないのかと思って」
「は? 着てるに決まってるじゃん」
謎な行動に驚いたけど、なんでかそのまま人のベッドに潜り込んできたクプスには驚かなかったかもしれない。なんとなく、夢の続きって感じで。

「あ、これ、もしかして夢?」
聞けば「違うと思う」とクプスが言う。まぁ、二人して、夢でもいっかと言いながら、その後もベッドの中で過ごしたんだけれど......。

 

The END
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This is JEONGHAN's story......

 

 

LOVE SONG

作業部屋のパソコンの前に座って、はや十数時間。途中トイレに行くこと2回。ホシが来て一緒にご飯を食べること2回。作った曲2つ。歌詞をつけかけた曲1つ。運動代わりのスクワット60回。

トイレに立つごとにスクワット30回と決めているから、数はあっている。

ウジの日常は、驚くほどに単調に過ぎていく。
時々、「俺って天才かも」って自分で言う。
完成した曲が大ヒット間違いなしって気がして、ルンルン気分でいたというのに、気づけば椅子に座ったまま寝てて、全部が夢だったってことは、案外多い。

夢の中で考えた曲戻ってこい......と思っても大抵は忘れてて、ショックすぎる......ってフリーズすること十数回。

「ベッドで寝ろって」

そうスンチョリヒョンに言われること数回。
ウジの作業室のウジの作業している後ろでは、エスクプスやウォヌやミンギュが、よく遊んでたり、ご飯を食べてたり、時々は寝てたりもする。

ちょっとだけ落ちるようにして眠った一瞬の夢が壮大ってこともあるけれど、気づけば5分も経ってないってことが多かった。
そんな夢の中の世界のことも、曲にするけど。

エスクプスは夢を見ていた。ウジが作業室で寝てる夢。そんなの、夢だなんて言えないような夢なのに、それが夢と気づけたのは、眠ってるウジの頭の中から、ウジが作ってる曲が勝手に流れてきたから。あぁウジは眠りながらも曲を作ってるんだと、ちょっとだけ哀しかったり、嬉しかったり、羨ましかったり。

「でもヒョン、俺、働いてるつもりなんて全然ないよ。いつだって楽しいし」

そういつだってウジは言ってくれるけど、眠ってる時ぐらいはゆっくりして欲しいと思うのに。

ウジの頭の中には、LOVE SONGが流れてた。
いつかの恋なのか、続いてる恋なのか、これからの恋なのかは判らない。
誰かを思って書いた訳ではないけれど、いつの間にか寝落ちしてて、起きた時には頭の中に浮かんでた。

「なぁ、俺、今、見知らぬ誰かと知り合って、時々会って、一緒に映画見て、部屋まで遊びに行く夢見た」

そう言えば、「あ、それ俺だ」ってホシが言う。
気づけばいつだって作業室に来てて、当然のような顔で隣りにいるから、いるのが当たり前みたいな気持ちになってしまった。

「お前は見知らぬ誰かじゃないじゃん」

そう言えば、「夢の中では見知らぬ人役だったんだよ」とヌケヌケと言うから、鼻で笑ってしまった。
でもそう言われれば、そんな気もするから不思議だ。
映画がはじまる時間を過ぎてしまってるのに、慌てて映画館に向かってる自分の気持ちを覚えてる。だからそんな気持ちをのせた歌詞を書く。

恋をちゃんとしてる訳でもない自分が書く恋の歌が誰かの心に本当に届くのか......って心配になるけれど、カラットたちが喜んでくれる姿を見るたびに、良かったと思う。

でもLOVE SONGを書きながらも、全然恋も愛も出てこない歌も書くけど。
君も僕も、未来も過去も、関係ない世界も。

「なぁ」
「ん?」
「次のは、どんな歌でも、いいよな?」

きっとウジのそんな呟きを聞くのは、入り浸ってるホシぐらいだろう。
いつだって次の、その次の、そのまた次の次の次の、曲を作ってる。

不安になることも多いけど、大抵はホシが「お前が作る曲なら、俺はどんな歌だって踊れると思う」と言ってくれるから......。

LOVE SONGを考えてたはずなのに、うっかり座ったまま寝てしまってた。
夢の中ではホシが胴上げされていて、そのまま空高く高く、飛んでいってしまう夢だった。
あんだけ高く舞い上がったら、落ちた時には痛いだろうに......って思った夢を見た後目覚めてみたら、ウジの作業部屋にあるソファでホシも寝てた。しばらくしてそのソファから落ちていたけど、目覚めなかった。

そんなホシを見ながら、なんだか楽しくなってきて一人で笑いながら、夢の中で見た世界で曲を作る。
LOVE SONGとは誰も思わないだろうけど、でもそれは、LOVE SONGなんだけど......。

 

The END
1673moji
This is WOOZI's story......

 

20200526~20200716