時計の針が24時を過ぎた時、普通にチュカヘとカトクが届く。
練習室でもスタジオでもテレビ局の廊下でも、見知らぬスタッフさんからも「センイルチュカヘ」と言ってもらった。
それもこれも、ウォヌのせいだとも言えるし、ジョンハンのせいだとも言えるし、ドギョムのせいだとも言えるし......。
もはやカラットたちだって、ディノの2回目の誕生日を祝おうとしてくれる。
そしてそれにディノが喜んでる訳でもないことを知ってるのに、スングァンなんて「お前、誕生日2回目って図々しくない？」とか嫉んでくるんだから、迷惑なはなしだった。
とりあえず問題は、誕生日が2回目だと知っていて「チュカヘ」と言ってくれる人はもういいけれど、そんな人たちの様子を見て、子どもの日が本当にディノの誕生日だと思って「センイルチュカヘ」と言ってくれる人たちだった。
社屋の中とかで身近でないスタッフさんたちだったら、いやいやと言いながらも確認する時間も取れるけど、テレビ局の廊下で一緒に仕事をしたことがあったかどうかすら覚えてないような人たちに言われるのが一番困る。
何せゆっくりする時間なんて全然ないし、だけど勘違いしてたら丁寧に「ありがとうございます」って言わないと失礼だし、判って言ってるなら「はいはいありがとうございます」って感じで言わないと面白くないし............。
だけどもう、結構な人がディノに「チュカヘ」と言ってくれるもんだから、ディノには判別なんてつけようがなかった。
「どうすんだよチャニ」と、笑いつつも心配もしてくれるのヒョンたちだったけど、「いや、お前らが言うな」と思わずヒョンたち全員に文句を言ったほど。
でも楽しいのか、ヒョンたちはディノが結構真剣に怒ったって、逆に黙って無視してたって、ただただキヨ～キヨ～と言って喜んでいる。
「あぁもうヒョンたち、だったらもう諦めるから、ちゃんと5月にもセンイルソンムルちょうだいよ」
開き直ってディノが言うのに、スングァンこそは「いや本気で図々しいじゃん」と言うけれど、ヒョンたちは年に2回もディノに誕生日プレゼントが贈れるなんて......な感じで喜んでいる。
「判った。じゃぁ5月のソンムルは新しいものを買うのは禁止な。自分が持ってるもので、チャニにあげたいものをソンムルしよう」
ジョンハンがヒョンらしさを見せて全員に言う。
いやそこでしっかり締めてくれるなら、子どもの日はディノの誕生日だ......みたいなことを言いだした時に止めて欲しかった。
「ウォヌヒョンは、ディノの好きそうなもの買って1回自分で使ってあげるとか禁止だからね」
スングァンがすかさずウォヌにそう言っていて、さすがにそれはないだろって言いかけたというのに、ウォヌが「えぇ」って言いながら悲しそうな顔をしてみんなに笑われていた。
いやもう、飲みかけのコーラとか、そういうレベルのもので笑いを誘ってくれる方がどんだけありがたいか......。
しかしディノは自分のもとへとやって来た2回目の誕生日プレゼントを前に、結構本気のため息をついた。
図々しいとか文句を言ってたはずのスングァンだって当然のように「ほら」とプレゼントをくれたから、プレゼントはしっかり12個あるという、やっぱりディノに激甘なヒョンたちだった。
ブランドもののカバンとか、帽子とか、ジャケットとか。結構な代物。唯一バーノンだけが、「これ貰い物なんだけど」と言ってディノのことをホッとさせていたけれど、後は色んな意味で怪しい、けれどディノのことをしっかりと喜ばせるプレゼントだった。
年に2回誕生日が来る男............。もしかしたらディノはそんな名を、K-POPの世界に残すことになるかもしれない。
The END
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