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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Seventeen's Story 10

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Seventeen's Story 10

泣き疲れたディノが、夜中に起きた時。
そこにはエスクプスとジョンハンとジョシュアがいて、あぁ、懐かしい夢を見てるんだな......ってディノは思った。

「どうした? 起きるのか?」

ジョンハンの声がする。
練習生になったばっかりの頃、夜遅くまで練習するヒョンたちと一緒に頑張っても、どうしてもちょっと座り込めばうつらうつらしてしまうことが多かった。
自分ではヒョンたちと同じぐらい頑張ってたつもりだったけど、今にして思えば、やっぱり子どもだったかもしれない。

強がったって、無理してたって、どうしても頑張れなくたって、いつだってヒョンたちにはバレバレだったから。
頑張っても頑張っても結果がついてこなくて辛くて、このまま頑張っても自分はダメなんじゃないかってグルグルしてた時、あの時も凹んで足を抱え込んで隅っこに座ってたディノの横で、エスクプスとジョンハンとジョシュアがいた。

「3年後が楽しみだよな」

そうエスクプスが言えば、「半年だろ」ってジョンハンが言った。
最初はそれが自分のことだなんて気づいてなかったけど、「ディノなら1週間で十分だよ」ってジョシュアが言ったから。

「俺のこと?」

情けない顏で聞いたっていうのに、「お前に決まってるじゃん」「俺たちの未来なのに」「メキメキ、音が聞こえそうなぐらいだって」って三人が言う。

その時はただ、ヒョンたちは年下の自分には甘いから......って思うだけだった。
でもまさか、エスクプスとジョンハンが迎えに来るとまでは思ってなかった。

兵役が終わった時に迎えに来ることはあっても、戦地にまで迎えに来るなんて、たぶんほとんどないだろうに......。

こんな世界になる前にはもう、ディノは大人だった。
ちゃんと成人だってしたし、お酒だって一緒に飲めるようになったし、免許だって取って、みんなと同じ一人前の大人になってたっていうのに、ヒョンたちの中では、いつまでも子どもに見えてたのかもしれない。

ディノだってもう大人なんだし......みたいなことを言われることだって、大人なんだからと無理難題を吹っ掛けられることだって、たくさんあったけど、それはいつだって面白半分な感じで、何かあった時にはちゃんと守ってもらってた。

それは当時だって判ってたけど。
ほんとに、迎えに来るなんて。
感動して号泣してしまったけど、後から思い返せば恥ずかしすぎる出来事だったかもしれない。

あぁ今があの頃なら、絶対誰かがSNSでカラットたちに伝えてしまって、笑われていたはず。

帰り着く頃には、そう言って文句まで言えるようになっていたというのに。

「ディノやッ!」

叫んで駆け寄ってきてぎゅーぎゅーに、絞め殺すかの勢いで抱きしめて、いや抱き着いてきたのはウォヌで、それだけでも泣けたけど、なによりディノの涙腺を刺激したのは、そこに95ラインと96ラインが揃ってたから。

アメリカにジョシュアが残ったから、95ラインがまた揃うところを見られるなんて、口にはしなかったけど心の中では諦めていた。

それは96ラインだって同じで、ジュンとディエイトが国に帰ったから、奇跡のような4人が並び立つ姿なんて、もう思い出の中にしかないと思っていたから。

ドギョムがいれば、97ラインだって揃ったのに。
懐かしいバーノンの姿も見つけてしまえば、もう揃うことのないマンネラインが哀しくて悔しくて。
でも会いたいと思ってたヒョノたちが目の前にいて。

「でもジュニヒョンとディエイヒョンは幽霊だと思う」

2人が目の前にいることが信じられなくてそう言えば、ディノに抱きついたまま泣いてるウォヌが「俺もそう思った」と同意してくれた。

「ウォヌはやっぱり、ディノには甘いな」

そう言って、ウジとホシが笑う中、「俺ら死んだの?」ってジュンが驚いた声を出し、「死んでたらそんなに騒がしくないよ」とディエイトが冷たく言い放ち、全然変わらないそんなやり取りに皆が笑ってた。

「ジュニヒョン、足、もしかしたら、戦場で......」

敵同士で出会ったっていうのに、その時もジュンはディノのヒョンのままで、ディノに走れって言ってくれた。一瞬で目の前からいなくなってしまったぐらいだから、あの時は足は問題なかったはず。

戦闘は激しくて、捕虜となった人たちも大小様々ではあったけど、ケガをしてない人なんていなかったほど。

ディノが物凄く辛そうな顔をしたからか、ジュンが笑って「ケンチャナ」って言ったけど、きっと大丈夫なんかじゃなかったはず。

「は? 何がケンチャナだよ。それじゃぁまるで名誉の負傷みたいじゃん」

ディノはやっぱり泣きそうだったし、全員の視線がジュンの足に向けられてたし、ジョンハンは後でコッソリ足の様子を見せて貰おうとまで思ったほど。そうじゃないと安心できないから。

なのにディエイトに横からぶっ込まれて、「なんだよ。心配してくれてるんだから、ケンチャナで間違ってないだろ」ってジュンが慌てて言い返してた。

「そのケガは、こっちに向かって旅してる途中に滝を見つけて、滝壺に飛び込んだ時のものだよ。危ないからダメだって止めたのに『イヤだ。俺は飛び込む』って勝手にジャンプして、結果そんなに深くなくて岩に激突したんだよ。この人は......」

ちょっとだけ全員が言葉を失って、でもそのやりとりも、その時の光景も容易に想像できて、思わずディノは笑ってしまった。吊られて全員が笑いだす。ウジとホシあたりはヒーヒー言いながら笑ってた。

「結局俺も助けに入ってビショビショになるし、肩は貸さなきゃいけなくなるし、それなのに風邪ひいたのは俺だけだし」

ディエイトの文句が止まらなくて、笑いながらディノはやっぱり涙が止まらなくなった。

ジュンとディエイト幽霊説はディノのなではまだ払拭できていなかったけど、それでもいいと思えた。

『ハオと会いにいく。いつか、絶対』

あの時そう言ったから。その約束を守ってくれたんだろう。

「はいはい、その節はご迷惑をおかけしました」

「は? 迷惑かけたのは、その節だけじゃないだろ」

目の前ではジュンとディエイトのやり取りが続いてて、ディノと同じように、ウォヌも涙を流してた。
泣きすぎて、泣きすぎて、泣きすぎて。

「もうお前たちはとりあえず寝ろ」って95ラインのヒョンたちに強制的に寝かされて、寝ろって言われたって簡単には寝られる訳ないとか思ってたのに、横になった瞬間意識を失うようにして寝てしまったディノだった。

何度も飛び起きて、全部夢だったんじゃないかって不安になったけど、その度にそばにいてくれた95ラインのヒョンたちが、「夢じゃないよ。もうちょっと寝とけよ」って言ってくれた。

やっと泣かずに一日中笑って過ごせるようになるまで数日かかって、「お前一度家に顔出して来いよ」って言われて。

素直に実家に帰りかけたけど、ジョンハンから貰った変わった缶詰を持ち忘れて戻ってきてみれば、そこには95と96ラインのヒョンたちだけがいて、ウジの、「ボノニはスングァンのところに行くために、アイツは死ぬために戻ってきたんだよ」って声が聞こえてきた。

すぐに誰かが、何バカなこと言ってんだよって言うはずなのに、誰も何も言わなくて。

「ウジヒョン、何バカなこと言ってんの?」

結局そう言ったのはディノだった。

 

The END
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