注意......
「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。
No War! Seventeen's Story 8
ジュンとディエイトが生きているって話を、帰り道になってようやくディノにしたけれど、ディノはそれを信じなかった。
さすがにあの場所ではそんな話はできなくて、落ち込んでるディノが可哀想ではあったけれどしばらくは黙っていた。それをようやく話せて、ディノが喜んでくれると思ったのに、ディノは信じなくて、信じないどころか「きっとヒョンたちは、俺たちのところに帰ってきたかったんだよ」っておいおいと泣きだした。
そうか、あれは亡霊だったのか............。
エスクプスはちょっとだけそう思って、それからすぐに否定した。
だってそれなら、スングァンはとっくの昔に、自分たちのところへ帰ってきたはずだから。
泣けるなら泣いた方がいい。
ジョンハンの側にいて、ずっとそう思ってたから、エスクプスは泣き続けるディノのことを気にせずに歩くことにした。
歩きながら、久しぶりに会ったジョシュアのことを思い出していた。
久しぶり過ぎて震えた。
言葉が出なくて、その分ぎゅってお互いを抱きしめて、会えなかった時間を埋めるために、強く強く、抱き締めた。
ディノのことを迎えに行く話をして、嬉しすぎたからか、その勢いのままに「シュアも一緒に行こう」って言ったのに、「俺は行かない」ってハッキリとジョシュアは断った。
いつだって優しくて、誰かの意見を否定することなんてなくて、良い意味で流される。そんなジョシュアは、何かを心に決めると誰よりも強い。
ジョシュアが何かを秘めていることは、ジョンハンだけじゃなくて、エスクプスだって気づいた。だってジョシュアはさりげなく、でも絶対に、バーノンの行く先から視線を外さなかったから。
自分たちよりも長い旅をして帰り着いた二人の中に、どんな苦しみがあったかなんて判らない。
誰がより辛いだとか、誰もが辛いんだからとか。
言っても意味がないことはたくさんあるけれど、抱き締めるだけで、ただ側にいるだけで、癒されることはたくさんあるから。
きっとしばらくは一緒にいるだけで泣いて。離れていた間の話をするだけで泣いて。弟たちの話をして泣いて。家族の話をして泣いて。
でも遠くない未来、「ハニとシュアが揃うと俺の分が悪いだろ」って言ってる自分がいるはず。
弟たちを見ながら、それが本当の幸せだと気づかずに笑ってたあの頃のように。
グズグズと泣くディノを見ながら、マンネなディノのことを取り戻せたことに心からホッとした。
もうこれ以上は誰一人として失ったりしない。
そう強く心に誓ったエスクプスだった。
The END
1050moji