妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Seventeen's Story 7

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Seventeen's Story 7

爪の中が真っ黒で、所々ひび割れていて、あちこち傷だれけの手は、全然キレイじゃなかったけど、自分の手は嫌いじゃなかった。

朝目覚めれば、いつだって柔らかく「おはようさん」って言ってくれるハルモニが、そんな手を見て「働き者の手だね」と褒めてくれるから。
それだけで幸せだったから。

水を汲んで、裏山に作った畑から売り物にはならないクズ野菜を取ってきて、満足に食べられることの方が少なかったけど、それでもハルモニと2人、細々と暮らしてた。

いつだって「年寄りはそんなに食べないんだよ」っていうハルモニが、自分の分もくれようとして。「それでもハルモニは食べなきゃ、長生きして欲しいよ」と言い返して。

だってハルモニがいなくなってしまえば、独りになってしまう。
独りでは、生きていく自信なんてなかった。
太陽の日差しは強すぎて、雨は冷た過ぎて、風は独りでは痛すぎる。

元から小さかったのに、ハルモニの腕は細くなりすぎて。
よっこらどっこいしょって言いながら起き上がるその姿に笑ってたのに、もうそんな言葉もあまり言わなくなった。

畑仕事だって一緒にしてたのに、最近ではずっと独り。
辛くなんてない。ただ寂しいだけ。
いつだって速足で家に帰るけど、家の中に入る時にはいつだって緊張する。
もう、「おかえりご苦労さん」って言ってくれないんじゃないかってドキドキして。

「おかえり、ご苦労さん」

その言葉を聞くたびにホッとして、細々と2人、夕食を終わらせる。
少し前に親切なお兄さんに貰った缶詰を開けようというのに、ハルモニは「いざって時のために取っときな」って言う。

もう少し寒くなって、栄養を取れるものが少なくなった時に......とも思うから、その缶詰は手もつけずに大切に取ってある。
次に野菜を売りに町まで行く時には、きっと独りだろう。
ハルモニはもう、長く歩けそうにもないから。

独りでは生きていけそうにない。
だけどハルモニは少しずつ少しずつ、弱っていく。

「でも相当長く、生きた方だよ」

そうハルモニは笑うけど。
まだまだ長く、生きてもらわなきゃ困るよって言えば、ハルモニは笑ってくれるけど。

次の季節は越えられないかもしれない。

 

The END
902moji