妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Seventeen's Story 5

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Seventeen's Story 5

ホシとウジは帰って来たけれど、目指したのはウォヌが今もいるだろう場所じゃなくて、それはあの時、バーノンが毎日立ち尽くしてた場所だった。

当時、誰よりも現実的に動いてたのはホシとウジで、哀しみに動けなくなってたバーノンやウォヌのことを横目に、いつも食料を手に入れるために走り回ってた。もしくは冬が来るまでにはと服を集めたり、寝袋を探したり。

本当なら、ここで。
もっともっと諦め悪く探し続けたかった。
探さなきゃいけなかった。

ディノがもしも帰って来てなかったら、そのままホシと二人、ディノを探しにいくつもりでいたから、どうしたって最初にこの場所に立ちたかった。
少しだけ逸れた帰り道。でも向かう先に気づいたのか、ホシは何も言わずについてきて、「チャニを見つけたら、次は俺たち、スングァニを探そう」というウジに、滅多に泣かなくなっていたホシが、その場に座り込んで泣きながら頷いた。

誰かが探して、結果諦めたって。セブチにはまだまだメンバーがいるから。
誰かが力尽きたって、誰かが立ち上がるから。

あの時は状況が許さなかったから............。
毎日毎日、病院や避難所をまわっては疲弊してたエスクプスやジョンハンを見てた。
移動距離だけで言えば、ホシやウジの方が多かっただろう。でもどちらがより辛かったかと言えば、小さくても何かを得て戻って来るホシとウジよりも、傷ついている人やものの中から見つからないものを探し続ける方が、どれほど辛かっただろう。

「お前らにばっかり、悪いな」

エスクプスはそう言ってくれたはず。
でも必死に動いてはいたけど、目の前のものから目を背けてたのは、自分たちだったかもしれないっていう後ろめたさは、何年経ってもつきまとっていた。

だからいつか戻る日が来たら、やり直すのはここからだと決めていた。
あの時の哀しみを、今なら受け止められる気がしたってのもある。
少なくともあの時バーノンがここで立ち尽くしてた日にち以上は、ここに居続けるつもりでいた。

もちろんそれは、先にディノを探し出した後の話だけれど............。

どれぐらいそこにいただろう。本当は早くウォヌを訪ねて、ディノが戻って来たか確認して、まだだと言われたらそのまま休憩することもなくディノを探しに行く予定だったというのに、長くそこに居続けた結果、「お前ら、何やってんのここで」と訪ねるつもりだったウォヌに声をかけられた二人だった。

振り返って、ウジは「おぉ」ぐらいだったのに、ホシの方は盛大に驚いていた。

「お、お前こそ何やってんだよここで。絶対まだ同じ場所に座り込んでると思ってたのに、なんでウロウロしてんの?」

驚きすぎたからだと思いたいけれど、地味に酷いことを言ったのはホシだった。
ウォヌがそれに、苦笑してる。
会ったら絶対に号泣すると勝手に信じてたというのに、泣きそうな素振りもなく、ウォヌが二人に向かって「大分久しぶりじゃね?」って言ってくる。

やっぱりそれにウジは「おぉ」ぐらいだったのに、ホシが「なんでお前泣かないんだよ」って騒がしかった。

「もう涙なんて、当分は出ないって」

そうウォヌが笑うけど、ジュンとディエイトに続き、エスクプスとジョンハンが帰ってきて、さらにはジョシュアとバーノンまで帰ってきているなんて当然ホシとウジは知らなかったから、ウォヌのその言葉を正確に理解はできなかったかもしれない。

でも言葉なんて必要ないぐらいの、関係だったから。

ウォヌに泣かれるのが一番辛いと思ってたウジは、思った以上にからっと笑うその姿に、正直ホッとしてたけど、「絶対お前は泣いて腰だって砕けると思ってた」と喜んでるんだか怒ってるんだか判らない感じのホシは、「お前俺がいつ来たって、いつだってドヨ~ンってしてたじゃん」とさらに文句を言っていた。

「いつ来たってって、たった二回しか来なかっただろ」

全然ドヨ~ンとしてないウォヌはすぐに言い返してきたけれど、でもそこで、ふと止まった。それから「お前、まさか、もっと来てたの?」って言いながら、言葉を失っていた。

だってホシは、半年に一度はウォヌの様子を見に行ってたから。その度に、「ちゃんと生きてた。まだまだ、立ち上がれそうにないけど」ってウジに報告してくれたから。

「な、なんでお前、俺んとこにちゃんと来なかったんだよ」
「だってしょうがないじゃん。最初の頃は俺だってお前のこと助けられるほどの元気は、まだ持ってなかったんだって。時々はミンギュがめちゃくちゃいいムードだったから邪魔できなかったし」
「..................それだって、顔見せるぐらいしろよ。ほんとに、お前は............」

怒りもあっただろうけれど、嬉しくもあったはず。ミンギュとの何を見られてたんだって顔をして、ウォヌはちょっとだけ焦ってもいたけれど、それでもやっぱり、それは見知ったウォヌだった。

「俺が泣いただけ、お前らも泣けよ」

ウォヌの言葉の意味が判らなかったけれど、三人で並んで帰れば、そこにはジュンがいた。

ホシが驚いて、でも笑って「クユズじゃん」って言うもんだから、まんまとウジは泣いてしまった。だってウォヌに会う覚悟は決めたけど、ジュンに会う覚悟はまだできてなかったから。
でも泣けば、「泣かないでよヒョン」と言うバーノンがいて、「お帰り」と笑うジョシュアがいて............。
泣かない訳がない。

それでも、立ち止まる訳には行かなくて。
ディノがまだ戻ってきてないなら、行かなくちゃならなくて。

そう言えば、「それならとっくに、クプスとハニが向かった」とジョシュアが笑う。
「あいつらこそ、一歩も立ち止まらなかったよな」って言いながら。

それからジュンが「一応、助かってるはずだから、多分大丈夫なんだろうけど」とも言ってくれた。意味が判らなかったけどウォヌが、「立ち話なんて無理無理」と笑ってた。

色んな話を聞いた気がする。
色んな思いも、聞いた気がする。
ウォヌの語る話の場面はいつだって同じ場所だけど、それでも、そこにはたくさんの思いがあって。

でも泣くばかりじゃなくて、笑いもした。
ウォヌが本気の顔で「泣きまくったらトイレ行かなくてもいいと思う」とか言い出して、「いや行くわ」ってホシがツッコんで。ウジは久しぶりにそんな話し声を聞きながら、ジュンの膝枕で眠りについた。
明日からまた頑張るから、必死に生きるから、今日だけはちょっとだけ、休ませてって思いながら............。

 

The END
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