妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Seventeen's Story 4

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Seventeen's Story 4

懐かしいはずなのに、まるではじめて見たような場所だった。
ジョシュアが船を下りた時、一緒にいたバーノンが「北が、本当になくなったから、ここはその煽りを受けたのか、あちこち酷かったんだよ」と教えてくれた。

ビルが崩れかけたそのままの姿で、そこにあった。
きっと何年も何十年もかけて風化していくんだろう。
アメリカからはじめて韓国に来た時、小さくギュッとまとまったオモチャみたいな街だと思ったことを思い出した。

アメリカは良くも悪くも広いから、見たくないものを見ないようにして暮らすこともできた。でもここはどこを見ても、見たくないものが目に入る。

全然懐かしいと思えない道を歩く。
数年前に届いたミンギュの手紙には、ウォヌがいつも、会社跡地に居座っていると書かれていたけれど、今もそうかは判らない。
そうそう同じ場所に居続けることも難しいはずだから、誰とも会えずに、探すことからはじまるかもしれない。
全員がバラバラでいる可能性だって高くて、全員は探しきれない可能性だってあって。

でも諦めないと決めていた。
そうじゃなきゃ、バーノンを失ってしまうから。
どれぐらい時間がかかっても、探し続けることをやめるつもりはなかった。
この国にいないだろうジュンやミョンホだって、探すつもりなのに。
スングァンのことだって。
まだジョシュアは一度も探してない。だから............。

「カジャ」

ちょっとだけ強く言う。足を踏み出す一歩が重たかったから。
バーノンは頷くだけで、ジョシュアについてくる。

誰かに出会えるまでに何日かかるだろう。そう思いながら歩いたジョシュアだったけど、僅か数十分後には、出会えるだなんて思ってもみなかった。

遠くに見えた影が、一瞬でミンギュだって判った。相変わらずデカくて、見逃すはずもない。その横にちょこんと座ってるのはウォヌだろうって当たりをつけていたら、本当にウォヌだった。

こんなにすぐに会えるとも思ってなかったのに、離れてた年月があったはずなのに、別れてた時間なんて、ほとんどなかったんじゃないかってぐらい、二人はジョシュアの知る二人で。笑って手を振りながら近づいて、「久しぶり」ってなんでもないような顔で言うつもりだったのに。

不意に見つけてしまった長髪の人影に、ジョシュアはあげた手もそのままに、止まってしまった。

相変わらずキレイで、線も細く見えるけど、きっと今でも誰よりも強いチングのはず。
笑顔でキレイで、強気で、でも優しくて、誰よりも弟たちを愛してるチングのはず。

思ってた以上に愛しくて、思ってた以上に寂しくて、思ってた以上に会いたかったんだろう。
ジョシュアはまだ距離があるっていうのに、その場で歩けなくなってしまった。
涙が止まらなくて、きっと今自分は不細工なはず。

隣りでは「ヒョン、ケンチャナ?」ってバーノンが心配そうにしてる。
ずっとバーノンの前では頼りがいのあるヒョンとして頑張ってきたけれど、「ごめん無理」としか言えなかった。

だって涙が止まらないから。
泣けて泣けて、しょうがないから。

「ボノナッ!」

気づいたのはミンギュが一番で、見れば物凄い驚いた顔をしたジョンハンがいた。
それからジョンハンも同じようにボロボロ泣きながら、こっちに向かって駆けてきた。

「シュアッ!」

懐かしい声で名を呼ばれて、涙はさらに止まらなくなる。
その勢いのままのジョンハンを抱きとめれば、ミンギュもまたバーノンのことを抱きしめていた。一歩も動けずに、その場で泣いているのはウォヌで、そんなウォヌの側にはエスクプスが立っていた。
みんな泣いていて。誰かが時々笑うのに、やっぱりまた泣きだして。

「戻ってきたんだな」

ミンギュがバーノンに向かって言った言葉に、バーノンは一瞬黙って、小さく頷いた。
ジョシュアはやっぱり泣けてきた。
それはほんの一瞬の沈黙だったのに、それを見逃さなかったジョンハンと目が会ったから。
困ったように笑って見せれば、ジョンハンが頷いてくれたから。


The END
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