妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! The story in the ship.To KOR From USA.

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! The story in the ship.To KOR From USA.

中国に向かう船は人で溢れていたのに、韓国行きの船は、乗り込んでみればあまり人はいなかった。
アメリカに残る人が多いのか、まだ様子を見る人が多いのかは判らない。
一緒にいたスタッフの中には、やっぱり帰らないという人もいたけれど、そんな人たちは大抵、戻っても家族がいないっていう人たちだった。

ジョシュアが無理して手にいれてくれた食料を隠し持つようにして船に入って、弟たちの様子を見ながらバタバタしてるうちに船は出てしまった。
だからジョシュアとはちゃんと別れができなかった。

「どうする? 俺らが必死になって船で帰ってる間に、あいつが飛行機とかで先回りしてたら」

エスクプスがそんなことを言って、「ありそうだわ」って笑った。
帰ればなんだか、落ち着くような気がしてたから。
これが最後だなんて、本気では思ってなかったから。
落ち着くまで、長くて半年。それとも一年ぐらいか......って思っていたぐらいで。

なんでか国に帰っていくジュンとディエイトには不安しか覚えなかったというのに、ジョシュアとの別れは一時的としか思えなくて、哀しいとも寂しいとも辛いとも、思わなかった。

大変だったねと、スタッフや家族が出迎えてくれると、信じて疑ってなかったのと同じように、バタバタとしたあれが、ジョシュアとの別れだったとは、思ってもみなかった。

船の中は不気味なほどに静かだった。
希望と絶望とが交互にのしかかっていたからかもしれない。

「大丈夫だよね?」

そう何度も聞いてくるディノに「決まってるだろ」って言いながら、自分の言葉を疑ってもいて。
自分でも自分に何度、「大丈夫」って言い聞かせただろう。
それすらできない時にはエスクプスの手に縋って、誰にも見せられない不安をどうにか堪えた。

電波の入らなくなったスマホなんて、何の役にも経たないのに手放せなかったのは、そのうち普通に母親から連絡が来ると思ってたから。妹からも、変なスタンプが送られてきて、父親からは「こっちは大丈夫」って、連絡が来ると思ってたのに............。

ウォヌは船酔いが酷くて、ミンギュの足を枕に、いつだって横になっていた。
いつも次の次の曲とかを考えてるウジは、船の中でも、時々まだ聞いたことのない音を紡いでた。ホシとドギョムは船のあちこちを歩き回って、情報を集めてきたと言っては、バカみたいな話やら、くだらない話やらを持ち帰ってきていた。

それからバーノンはよく甲板に出て、海の向こうばかりを見てた。
予定よりも大分遅れて帰ることになるから、きっとスングァニが怒ってるって、その時はまだ、笑ってたのに............。

船の旅は、想像したのと大分違って、色んな港を経て経ての旅だった。
まっすぐに海を横切るように国に帰ると思ってたのに。
途中で下船していく人たちもいれば、新たに乗り込んでくる人たちもいる。

東京は無事だったらしいとか、日本はもうダメだとか、色んな話を聞いた。
北の国がなくなったらしいとか、あそこだけは相変わらずだとか、それこそ真逆な話ばかり。

何も信じなかった。
覚悟なんて、まだ決めたくもなかったから。
でも思えば船の中にいた自分が、何の根拠もなく未来を信じてた、最後の自分だったかもしれない。

どうしたって一年後にはまた日常に戻って、ダイエットしながら踊って歌って、過密スケジュールに文句言いつつも頑張ってるんだろうなって、バカみたいない思ってたから。

 

The END 
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