妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! The story in the ship.To CHN From USA.

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! The story in the ship.To CHN From USA.

どこから集まってきたのかってぐらいに、人が多かった。
誰も知らない国に行ったって、必ず同胞はいた。心強い時もあれば、少しだけ恥ずかしい時もあれば、助けられる時もあれば、国のことなんて、忘れてしまいたいのに......って思うこともあった。

でもどうしたって韓国で、はじめてハオにあった時には物凄く嬉しくて、楽しくて、これから一緒に頑張っていく仲間だって思ったのを覚えてる。
時折、自分たちの国の言葉で話せることに、どれほど救われてきただろう。
誰でも良かったはずなのに、気づけばハオじゃないとダメになっていて。ハオで良かったっていう程度だったはずなのに、ハオがいてくれたから乗り越えてこれたあれやこれやがあって。

年下で、言葉が全然話せなくて。
ずっと守ってるつもりだったけど、きっと守られてもいたはずで。

「ごめん。ジュナ、ごめん。でも......」

先に船に乗ったのは、ジュンとディエイトだった。
乗り場まで見送ってくれたのは95ラインの三人で。チングなウォヌやホシやウジとは、泊ってたホテルを出る前に強くハグをしたのが最後で。言葉なんて交わさなかった。

アメリカに残ると決めたシュアヒョンが、「何かあれば」と言ってくれた。
クプスヒョンがディエイトを抱きしめていて、ハニヒョンは、謝りながら抱きしめてくれた。

「ごめん。ジュナ、ごめん。でも......」

耳元で囁くようにして、ハニヒョンが口にした言葉はきっと、ハオには聞こえなかっただろう。
言うのを迷ったかもしれない。言わない方が良かったと、後からハニヒョンは後悔したかもしれない。でもその言葉がなかったらきっと、これから生き抜く未来に、もっと戸惑ったり後悔したりしたかもしれない。何よりそれは、生き抜くための指針となった。

何が大事で、何が大事じゃないか。
何が大切で、何が大切じゃないか。

誰かの考えじゃなくて、それを決めるのは自分で、自分たちで。

「ハニヒョン、ありがと」

だからお礼を言ったのに、ユンジョンハンは少しだけ驚いて、それから泣きそうな顔になって、それからそれから、ギュッと、強く強く抱きしめてくれた。

いつだって彼はヒョンだった。
誰よりも一人で生きていける感じのジュンだったのに、気にせず近づいてきて、「ヒョンになんでも言ってみろ」って上からも下からも横からも攻めてくるようなヒョンだった。

でもそれが嫌いじゃなくて。
いつだって彼は格別だった。
どうしたって言葉がわからないから皆についていけないことがあって、それでもどうにか笑ってやりすごしてたのが、なんでかハニヒョンにだけは判ってた。
それに気づいたのは、緑の練習室の中、ふざけあって遊んでた時のこと。
最初はみなジュンのことも気づかいながら遊んでくれるのに、テンションが高くなるとどうしたって興奮して誰が何を言ってるかも判らなくなって、ある一定を超えればジュンの中には楽しさよりもしんどさが増してしまう瞬間があって。
なのにユンジョンハンは、そんなある一定を超える前にちゃんと「はい、もう終わり」とその遊びを止めてくれたから......。

当然のように小さい子たちは文句を口にしたし、「ハニヒョンなんだよ。いいところなのに」ってブーブー文句も言ったけど、「俺がはじめたんだから、俺に終わらせる権利があるんだよ」って不敵に笑って傲慢なことを言っていたけれど、気づいてしまえばそれはいつだってジュンのためだった気がする。

そのうち、年上組はそんなユンジョンハンの考えに気づいて自分たちもそれを学んで実践してくれるようにもなって、ますますジュンは過ごしやすくなった。

それを押しつけがましくもなく、自然にしてくれるヒョンだった。
だけど挫けず諦めず頑張ってこれたのは、やっぱりそんなハニヒョンがいてくれたからなのは確実で......。

誰かが見ていてくれるって、知っていてくれるって、判ってくれるって。そう思えることが、どれだけ力になるのかを、身をもって教えてくれたヒョンだった。

船の中、二人分のスペースは極僅かで。
でもその距離感に安心もした。
長い長い。多分想像よりも長い旅なはずだから。

「ハニヒョン。なんて?」
「............生きろって」
「うん、それで?」
「生きてくれって。何があっても、何をされても、お前が誰かに何をしたとしても」

本当はもっと直接的な表現だった。
お前がもしも誰かを殺したとしても、お前が生きるためなら、俺はいいってハニヒョンは言ったから。
誰を裏切ったって、卑怯者だって構わない。情けなくてもいい。俺は判ってるから。絶対俺はお前のことをよくやったって褒めてやるから。生きてくれって............。

もしもハニヒョンのその言葉を聞いていなければ、誰もが荒んでいくばかりの船の中で、ハオのことも守れずに心はもっと傷ついて、力尽きていたかもしれない。いつだって力のないものたちから淘汰されていくような世界だから。誰かが助けてくれというのを、黙ってやり過ごすことだってできなかっただろう。

バカみたいな常識に縛られて誰かを傷つけることに躊躇して、決して失う訳にはいかない大切なものを、失っていたかもしれない。

どんなことをしても、何があっても何をしても、構わないって言ってくれたヒョンがいて。それがどれだけ、これからの自分のことを救うことになるだなんて、まだジュンは気づいてなかった。

いつだって立っていられたのは、隣りにハオがいたから。
それもまた事実だったから............。

 

The END
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