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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! S.coups & Jeonghan 's Story

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! S.coups & Jeonghan 's Story

スングァンが、探しても探しても探しても、見つからなかった。
それに一番打ちのめされたのは、バーノンかもしれない。
日に日に、身体よりも心が壊れていってるのが、見ていて判ったから。

「ボノナ。お前、シュアのとこに行け」

そう言い出したのはジョンハンだった。
妹が助かったことが幸いだった。その存在だけが、バーノンをこの世に繋ぎとめているだけに見えたから。
説得はそれほど必要なかっただろう。妹のために生きなければならないけれど、スングァンがいないこの国にいるのは辛すぎる。でも涙を流して毎日を暮らす訳にはいかない。だって誰もが家族を失っているっていうのに。

ジョンハンは家族を失った。それでも「俺はちゃんと、みんな天国にいるって判ってるだけマシだ」と言う。

ホシとウジは、家族の消息が判らないまま。ウォヌは相変わらず会社の跡地に居続けている。多分いつか、誰かが訪ねてきてくれると信じているんだろう。ミンギュは旅しながら、スングァンを探し続けてる。でも多分、自分の家族も諦めきれないんだろう。ドギョムとディノは、家族全員が無事だった。もしもディノが一人になってしまっていたら、エスクプスとジョンハンは二人一緒に徴兵されたりはしなかっただろう。

ジュンとディエイトのことは判らない。家族が無事かどころか、二人が今どうしているか、生きていてくれるのかすら判らないのに。

エスクプスとジョンハンは、瓦礫を片付けながら、生きている人の情報を精査しながら、あちこちの街を渡り歩いてる。真っ白だった肌がしっかりと焼けたエスクプスと違って、ジョンハンは今も真っ白のまま。誰にもその肌を見せたりしないからだろう。髪は昔のように長くなっていたけれど、その姿だってエスクプスにしか見せないから、今のジョンハンを知る人間はほとんどいない。

いつだってカッチリと着こまれた軍服に、埃避けのためのマスクに、帽子に、あらゆるものにジョンハンは自分をしまい込んでしまったから。
ただ無表情な目だけが印象的で、幽鬼のようだと怖がる仲間たちは多かった。

誰よりもキレイに笑うジョンハンだったのに、いやきっと今だって笑えば、誰よりもキレイなはずのジョンハンなのに............。

守ってるようでいて、きっと守らていたんだと、気づいたのはいつだったか。
笑わなくなったジョンハンの横にいながら、エスクプスはいつだって思っていた。

遠い遠い異国に暮らすジョシュアとバーノンが幸せでいますようにって。ジュンとディエイトが元気で、せめて今も二人が一緒にいますようにって。あっさりと旅立っていったホシとウジが今も地に足つけて生きてますようにって。会社の跡地から離れられないウォヌが、いつか旅立てますようにって。どんな時だって頼もしいミンギュが、どこにいても傷つきませんようにって。今も歌を歌っているというドギョムが、誰かの希望になりますようにって。徴兵されて北の地に行ってしまったディノが、どうかどうか、無事で戻ってきますようにって。そしてスングァンの心が、済州に戻って、安らかでありますようにって。

弟たちのことを、家族のことを、いつだって心配してる。いつだって思ってる。彼らのためになら、きっとなんだって差し出せる。
でもそう思い続けることで、自分が自分の心を守ってるってことに気づいたから。

だってジョンハンもそうだから。誰もが力尽きて瓦礫の撤去が進まなかった時も、ジョンハンだけは動き続ける。その目は何も写してないように見えて、弟たちを思ってる。

「ディノの未来だ。これは、ディノの未来」

いつだって苦しい時にジョンハンが呟く言葉がそれだったから。いつかディノの暮らす未来に繋がるはずだから。ただその気持ちだけがジョンハンを動かしているんだろう。

いつか、弟たちを抱きしめられた時に、「いつもいつも、俺を、俺たちを助けてくれてありがとう」って言いたい。

いつか、いつか、いつか............。

 

The END 
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