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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Hoshi & Woozi 's Story

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Hoshi & Woozi 's Story

ご飯を三杯なんて余裕で食べてたウジなのに、今ではほとんど食べなくなった。
相変わらず小柄。
最初のころはホシも「もっと食べろって」って心配してたけど、「踊らなくなったから、カロリーそんなに必要ないんだって」と冷静に答えられると、そうかもとも思わなくもない。

韓国に戻って、瓦礫となった会社の前で全員が途方に暮れていた中、一番最初に現実を見たのはウジだったかもしれない。
「俺らここで寝るの?」
そう言ったから。

半年はソウルで暮らしてた。なんとなく、そうすれば世の中が元のように動き出すと信じてたから。でも変わってしまった世界はどうにもならないんだってことに気づいただけだった。

ウジの指が好きだった。気づけば知らぬ間に動いてるその指は、ウジの頭の中で生まれてくる音や歌が外の世界に出てくる一番最初の場所な気がしてたから。だけどウジの指が動くことはなくなった。それよりも現実的に生き残ることを考えはじめたんだろう。

半年そこで待ったのは、生きていれば、半年もあれば、家族が訪ねてくると冷静に考えた期間だったのかもしれない。

「釜山に行く」

ウジが動いたのは、半年後。
スングァンを探すことを諦めたバーノンを、見送ったその日のことだった。

ウジは「どうする?」なんて聞いてこなかったけど、離れるなんて選択肢はホシの中にはなくて、当然のように一緒に立ち上がった。

「俺の家に先寄って。全然方向違うけど」

そう言えばウジは「おぅ」って言っただけ。

「俺らが必要になったら呼んで」

ウジはあっさりとそれだけ言うと、ふらりと歩き出した。感動的な別れなんてなかった。別れだなんて思ってなかったからかもしれない。

二人して半年かけて旅をした。途中、何もなくなった自分の家があった辺りを前に、号泣したけれど、ウジは黙って横にいただけだった。
多分ウジが食べなくなったのは、その頃から。途中でうっかり子供連れになってしまったから。釜山に向かう二人に託された子供のために、ウジは自分の食糧を分けてあげていたから。

結局釜山にたどり着いても、ウジの両親は見つからなかった。ホシの時と同じように、家があった辺りには何もなくなっていたから。ウジは泣かなかった。長い旅の間に少しずつ覚悟を決めていたのかもしれない。たくさんの建物が壊れ、時々は焼け野原になった場所を見て、親を亡くして、子を亡くして泣く人たちを見たから。

預かった子供を送り届ける先すらなくて、結局はその子供たちを託す施設で手伝っていたら、そのままそこで働くことになっていた。

結局ウジは、どんな仕事だって器用にこなすことができるようで、子供たちの日常的な世話も、建物の修理も、勉強を教えたりだってしてたから。料理だけはギリギリ食べられるものができるけれど美味しいとまではいかないようで「キムミンギュめ」と何故かミンギュに文句を言いながらしてたけど。

ホシは何度か一人で、ソウルまで行った。いつ行っても会社の跡地にはウォヌがいて、エスクプスとジョンハンが徴兵されたことを知った。
ドギョムは病院で働いているという。ディノは家族のもとに帰ったらしい。ミンギュはあちこち訪ね歩いては、今もスングァンを探しているという。

釜山には、何度かミンギュが訪ねてきてくれて、そのたびにみんなの近況を知った。
アメリカに残ったジョシュアから二年前の手紙が来たことも、ディノが徴兵されて北に行ったことも。ドギョムが病院で働きながら、今も時折歌っていることも。ただあの日アメリカで別れた後のジュンとディエイトのことはわからなかった。でもミンギュが笑って、「そのうち俺が中国まで行ってみるよ」と言うもんだから............。

「相変わらずデカくてムカつく」
ウジはミンギュを見るたびに悪態をつく。

「ヒョン、前より小さくなったんじゃない?」
ミンギュはウジを見るたびに、笑って言い返す。

だけどきっと心の中では小柄というには細すぎるウジのことを心配してくれているんだろう。いつだって食べ物だったり、暮らしに必要なものを、あれこれ置いてってくれるミンギュだったから。

子供たちはホシのことを「ヒョン」と呼ぶのに、何故かウジのことは「先生」と呼んでいた。
あのままだったらきっとウジは今頃、「大先生」と呼ばれるぐらいの地位にいただろう。二人で眠る時にそう言えば、「かもな」とあっさり答えるだけ。

ウジは泣きもしない。でも時々笑ってはくれる。ウジの指は動かない。でもいつか、いつか、いつか。その指が動いた時には............。
「なぁ」
「んぁ?」
「もしもまた何か曲を作るなら、俺が踊れる間にしてくれな」
「.........寝ろよ」
もしも二度と踊らなくても、二度と歌わなくても、二度とステージに立てなくても。ウジがいればそれだけでもいいんだけれど。
それでもまた、軽やかにウジの指が音を奏でる姿が見たいとも、思ってしまう。
明日か明後日か、一週間後か一か月後か、一年後か二年後か。いつか、いつか、いつか...............。

 

The END
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