妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Joshua's Story

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Joshua's Story

ジョシュアの心の中にいるユンジョンハンは、いつだって楽しそうに、幸せそうに笑ってた。天使だと言われていたし、自分でも言っていたし、見た目は天使のように儚く見えることもあったけど、決して儚くもなく、弱くもなく。ただただ強かった。その心は何にも負けなかった。それにいつだって諦めなかった。驚くほどにメンバー全員に向けて愛情が溢れていて......。
だから今もきっと、エスクプスのことを、支えながら生きているはず。
なのに夢に見るユンジョンハンは、いつも笑ってはくれない。最後に別れたあの時の、なんの表情も見せない目で、ジョシュアのことをただ見てるだけ。

「何かあったら、頼ってきてほしい」

そう全員に言った。全員を強く強く、抱きしめた。誰にもサヨナラとは言わなかった。
あの時のニューヨークには母も来ていて、助かった。その母親を置いて韓国に戻るという選択はジョシュアにはできなかった。

別れの日から一年ほどして、妹を連れて頼って来てくれたのはバーノンで、疲れ切った顔で「スングァンを見つけられなかった」と一言だけ。抱きしめることしかできなかった。

ミンギュからの手紙が届いたのがさらにその一年後ぐらいだったけれど、返事が向こうに届いたかは判らない。
親切な人たちの手を渡っていくだけの手紙だから。

たくさんの人がジョシュアのことを助けてくれた。いやもうきっと、助け合わないと生きていけないと、世界中の誰もが思っていたからかもしれない。

情報が途絶えた世界だったから、本当っぽい嘘のような話は五万とあったし、嘘のような本当の話も五万とあったし、だけど誰もそれを確認はできないという状況の中、信じるのは目の前にある事実と、自分の心の中にある自分が信じたいと思うことだけだった。

たくさん弟がいたのに、今のジョシュアにはバーノンだけ。
妹には相変わらず優しいバーノンだったけれど、笑顔は失くしてしまった。
きっと見つけられなかったスングァンが、バーノンの笑顔を連れていってしまったのかもしれない。
だって自分だって、ずっと一緒にいると思ってたエスクプスとジョンハンがいない事実に、心が悲鳴をあげているから。

最初は現実が理解できなくて、気づかなかった。生活が落ち着くまでは生きることに必死で、気づかなかった。この不自由な暮らしが日常となるまで、気づかなかった。
でもある日、やっと心と身体が変わってしまった世界を日常と認識したからか、夢を見た。
いつかの、エスクプスとユンジョンハンと過ごしたなんてことはない懐かしい緑の練習室の風景。
笑ってはくれないジョンハンと、泣きそうな顔をしたエスクプス。友達で、家族で、仲間で、傍にいるのが当然だったはずなのに。
「頼りないリーダーだから」
そうエスクプスはよく落ち込んだ姿を見せてくれた。95ラインが揃った時だけに見せる顔。
誰かが落ち込めば、残り二人が励まして。誰かが失敗したら、どちらか一人が怒って、どちらか一人がフォローして。時には三人でバカみたいにデキすぎる96ラインの悪口を言って。時には親バカになってマンネラインの三人の自慢大会をしたりして。でもいつだって三人で、弟たちを見守りながら頑張っていた。

夢を見て。起きたら涙を流してる。そんなことも日常になったある日。母親が逝ってしまった。
別れたあの日から、四年もの月日が過ぎていた。

海を渡ることを考えなかった日はない。泣きながら目覚めるようになってからも、せめて一度、笑ってるユンジョンハンの姿を見に行こうと、その姿を見たら安心して帰ってこれるからと、何度も思ったから。
でもジョシュアには、バーノンを置いてはいけなかった。
妹がいるから生きてるだけの、ギリギリのところにバーノンがいたから。
きっとエスクプスもジョンハンも、たとえ一生会えなかったとしても、ジョシュアが弟の傍に居続けることの方を喜んでくれるはずだから。褒めてくれるはずだから。誰よりも弟たちを愛してた二人だから。

でもジョシュアは今日も、泣きながら朝を迎えるのだけれど............。

 

The END
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