妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

雨に駆ける feat.愛のバカヤロー 

注意......

日頃から妄想を書いてますが、さらに妄想となっておりますので、ご注意ください。

クパン(両親?)と、ホシウジ(子供=baby)設定の301号室と、

ウォヌ(社会人)とミンギュ(高校生)の、兄弟?設定の303号室のミックスです。

それでも良ければどうぞ............

 

sevmin.hateblo.jp

 

雨に駆ける feat.愛のバカヤロー

「ハニヒョンッ。ホシが網戸を破ってるよッ」

ちょうどジョンハンからの連絡が来る十五分ほど前のこと。
玄関から叫ぶ声は一番奥の部屋に住むミンギュのもので、慌てて玄関に出て行けば、ミンギュが網戸を本気で破って外に出ようとしていたホシの頭を外からしっかりと押さえてくれているところだった......。

起きだしてお腹が空いたのかぐずるウジにベビーせんべいなるものを食べさせていた間に、ホシも玄関に突進したんだろう。

玄関のドアは開けっ放しだったけど、取り付けた網戸のドアがあるから玄関からは出られない......はずなのに、まさか突進した勢いで破るとは。

そこにはウォヌとミンギュがいて、ホシは手に虎の人形を持っていたから、二人に見せてやろうと出て行こうとしたのかもしれない。

「ヒョン、ハニヒョンは?」

ウォヌが聞いてくる。珍しい時間にクプスがいるからだろう。
打ち合わせに出たことを説明しつつも、ウジが催促するからベビーせんべいを小さく割って口の中に放り込んでいく。その間にもホシのことをどうにか内側に引っ張りこまなきゃいけないし。ウジはすぐに催促して腕を叩いてくるし。そうこうしてる間にもホシは網戸にできた穴から虎の人形を押し出しちゃってるし。

しかもその人形を自慢したいだけだったのに、ウォヌが「ありがとう」とか言いつつその人形を手にした瞬間にはビックリしたのか泣きだして、またしても必死に網戸に頭を突っ込もうとするし。

「取ってない取ってない」

そう言いつつもウォヌも網戸の穴から人形を押し入れようとするけれど、ウジはその間にも催促してくるし。

「ヒョン、ダメだって、穴広がるから。そこから入れちゃ」

冷静なミンギュの声は有り難いけれど、「待て待て」とホシを後ろから引っ張って抱こうとしても、虎を奪われまいと必死だし。もはや赤ちゃんなはずなのにのけ反るし引っ張るし泣き叫ぶし足の力は強いし。その間放置されたウジまでもが、催促してもくれないからと、クプスが片手で持ってたベビーせんべいが入った袋に食らいつくという。

「わぁ、ウジや。袋ごと食べるなって。お前も待てって」
「クプスヒョン、とりあえず鍵あけてよ」

言われて網戸のドアにかけてた鍵を開けて、とりあえずウォヌの手から人形が返されて、ホシは虎の人形にしがみついて泣いてはいるものの、暴れるのはやめてくれたし、急いで口の中にせんべいを放り込んだからか、途端にウジも落ち着いてモグモグして、ちょっとだけ落ち着いたかもしれない。

結局、網戸が破れかけている状態だからと、部屋の奥までミンギュがホシを人形ごと抱いてきてくれた。ウォヌも一緒に入ってきて、ウジにベビーせんべいの続きをあげてくれている。ホシはミンギュに向かって虎の人形を押し出している。多分自慢してるんだろう。その人形に手を出したら泣きそうな顔になるから、多分見せたいだけで、触っては欲しくないんだろう。

「ねぇヒョン、全部あげちゃっていいの?」

ウォヌの問いかけに「いい。全部食べても大丈夫だから」と答えながらも、網戸の補強シートを取り出してくる。

「張り替えた方がいいんじゃない?」

そんなミンギュの言葉に頷きつつも、「ひとまず今日はコレで凌ぐ」と言ったところで、ハニからのメッセージが入って来た。

「ハニヒョン?」
「あ? あぁ、終わったらしい。夕飯買って、駅前からタクシーで帰ってくるって。お前らも一緒に食べるなら、頼むけど」

知り合ってからもう何度も一緒に食事をしたし、お互いの部屋に行き来してるし、時々はホシとウジのことも見ててくれる。
ジョンハンがどうしても銀行に走らなきゃいけなかった時に、二人のことを見てもらったのが最初だったはず。

最初の出会いが出会いだったから、今こうしているのが不思議な気がしないでもないけれど、今では誰よりも頼りがいのあるミンギュと、信頼のおけるウォヌが同じ階の住人でこれ以上に有り難いことはなかった。

「ハニヒョン、もしかして傘持ってないの?」

ミンギュがそう言ったのは、玄関に傘がささったままだったからだろう。ウォヌは気づきもしないようなことに、ミンギュはちゃんと気づく。

「俺がこれやっとくよ。夕飯も俺らはいいから、ヒョン、ハニヒョン迎えに行きがてら、何か食べておいでよ。俺らが二人のことも見てるし」

そう言って、網戸の補強シートをクプスの手から取り上げて、変わりに傘を手渡してくれる。
当然断るつもりだった。だけど見れば、疲れたのか虎の人形に覆いかぶさってホシは眠っていたし、ウジは満足したのかウォヌの指を握りしめながら、こちらもウトウトしかかっていた。

「たまには二人でゆっくりご飯でもしておいでよ」

多分ミンギュだけなら、ウォヌだけなら、頷かなかったかもしれない。何せ二人いるから。何かあった時に自分ですら二人一辺に面倒みるのは大変だから。でも今ここには頼もしいミンギュとウォヌがいて。
雨が降り始めてからこっち、傘を持って駆け付けたい思いもあって。

「悪い。すぐに帰ってくるから」

財布と携帯と、傘二本を持って駅まで走った。
絶対ゆっくりなんてしないし、できないだろうけど。それでも傘を持って、少しだけ昔みたいに。改札を出てくるハニに向かって、「ジョンハナッ」って声をかけたかったから。

 

The END
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