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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

統括リーダー、何台目かの車を破壊する

LEFT&RIGHT


sevmin.hateblo.jp

 

統括リーダー、何台目かの車を破壊する

結局は、問題の最初の最初の最初は、統括リーダーが、何台目かの車を破壊したことが原因だったと思う。

キムミンギュが通るだろう道を予測しながら、ムンジュンフィは、法定速度を守って車を走らせていた。窓を開けはなしていたのは、どこかでキムミンギュが叫べば聞こえるように。

エスクプスのことを統括リーダーと誰が呼び始めたかは知らない。気づけば呼ばれてた。別段リーダー的なことはしないし、なんなら一番楽しそうに笑ってる人。
それから自慢気に車を見せてくれるけれど、大抵は微妙な車ばかり。

乗りやすいんだと自慢された、ドアがない車とか。
全員乗ったら重さで動かないけど、全員で乗れる車とか。
全部の座席にハンドルがついていて、誰が運転してるか判らない車とか。
先日はとうとう、ロケットになる車を見せてくれたというか、発射台に立てるのを手伝わされたというか.........。

そこは『Heng:garae』という名の、ゲームの世界。
なんでもできますっていうのが売りの、リアルな世界。
まるでそこで生きているかように、遊べるというよりは、暮らせる世界。
雨が降ることもあれば、虹も出る。架空の街の、偽物の世界。だけどその中で本当に生きてる人間がいる。その世界の中だけの友達がいて、思い出があって、秘密があって、恋があって、人生があって。

ゲームの世界の中でだけ使えるお金がある。
最初のログインボーナスで結構な額がもらえるけれど、大抵はみんな、それで自分のビジュアルをいじることに必死で使い果たしてしまうけど。その後はゲームしたり戦ったり働いたりして、お金を貯めていくのは普通のゲームと同じかもしれない。時折宝くじにも当たるけど。

噂では、リアルな世界でもゲームの世界のお金が取引されているらしい。ゲームの世界で何をそんなに手に入れたいのかは判らない。でも確実に、毎回毎回変わってたりボロかったりするとはいえ、車を手に入れてくるエスクプスはゲームの世界では目立つ存在だった。

右隣りにはいつだって自称NPCのユンジョンハンがいて、左隣りには全ての黒幕なんじゃないかと噂されるホンジスがいる。
そして気づけばいつも一緒に遊んでるメンバーが、統括リーダーと呼ぶのだから、目立たないはずがない。

噂では、リアルな世界ではどっかの財閥の御曹司で、金が無尽蔵に使える......らしい。
リアルな世界で会ったことはないし、御曹司かどうかなんて知らないけれど、噂は真実かのように語られていた。

何か意味があって一緒にいたことなんてないし、気づけば一緒にいただけの仲間たちだったのに、十三人で遊ぶ姿は、いつのまにか羨まれる存在になっていた。嘘かほんとか、十三人はリアルなままのビジュアルだって話だった。

ジュンでいえば、確かにわざわざビジュアルを弄ったりはしなかった。ディエイトも面倒だと触らなかった。
だからその噂はほんとだったのかもしれない。

派手に暮らせるゲームの世界だというのに、廃墟みたいな敷地を購入したのはウォヌで、そこに入れるのが十三人だけで、時折気まぐれのように誰かに招かれた時だけ見知らぬ誰かが来ていたけれど、それもまた、特別視される原因だったのかもしれない。

ただただ、バカみたいに歌ったり踊ったり話したりして、スングァンがお願いお願いと煩いからバレーボールの試合をしたり、ただただ笑って過ごしてただけだっていうのに......。

それほどの距離を走らずとも、道端にうずくまるスングァンと、その横でカッコよく立ち尽くしてるキムミンギュを見つけた。

スングァンは永遠の17歳だと、ゲームの世界で言っていたけど、実際にもそれぐらいなんだろう。リアルな世界の電話番号と本名で登録してて、珍しい名前から、足がつくなら一番だろう......っていうウォヌの予想通り、一番に居場所がバレていた。

ラクションを鳴らせば、キムミンギュがジュンを見つけてニヤリと笑う。
見るだけなら男前な、でも時々、いや結構やらかすちょっと残念な男、キムミンギュ。
そんなキムミンギュのせいで、DKが窮地に立たされていたことは、誰もまだ知らなかった。

 

The END
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