流れ星ピンナダについて
続きものではないけれど、ディノちゃんからはじめたセンイルおはなしが溜まって来たので、contentsページを作りました。
流れ星ピンナダ6
ホシは早い。
星と星の間をビューって感じで駆けていく。それをホシをよく知らない人たちは凄いって感じで見てるけど、同じ速度でビューって駆け戻ってくる。
荷物を間違えてたり、荷物を忘れてたりってこともあれば、「俺どこ行くんだったっけ?」ってこともある。まぁ大分行ってから戻ってこないだけマシだろう。
でも勢いだけはある。
いつだって本気みたいな顔をしてるから、物凄いやりそうって思われている。時々ガオーと叫んでて、親しい人たちはそれが虎のつもりだと知っているが、親しくない人たちは当然知らない。
あちこちの星からの願いを、蹴散らす勢いで駆けていく。
「俺も昔、シュアヒョンに言われたよ。絶対止まっちゃダメだよって」
ディノから早さの秘訣を聞かれてそう答えてた。
「何事も勢いが大事だって言ったのはクプスヒョンだったし、お前は前だけ見とけって言ったのはハニヒョンかな」
ディノはそれにちゃんと頷いているけれど、その横ではクユズの面々が首を横に振っていた。
「立ち止まることを教えて欲しかったよね」と言ったのはジュンで。
「勢い以外にも大事なことがあるとかね」と言ったのはウォヌで。
「ほんとに、アイツ、前しか見てないしな」と言ったのはウジだった。
1番被害を被っている面子だからかもしれない。
まぁ荷物を忘れたホシをよく追いかけていくのはジュンだったし、お届け先が判らないホシを助けることが多いのはウォヌだったし、届けた先の最新機械に対応できずに慣れるまではと一緒に動き回るのはいつだってウジで。しかもホシの習得よりも最新機器が更新される方が早かったりすることもあるし......。
はた迷惑ではあるけれど、その迷いなく駆ける姿はまわりまわっていつの間にか皆の憧れにもなりつつある。
「真っすぐに行け」
そう力強くホシが言うだけで、勇気が出るんだとか。
願いなんて叶えてあげないくせに、それでも力強くその願う気持ちは受け止めてやればいい。ただの星と星の間を駆けるだけの配達人だなんて誰もしらないけれど、それでも俺たちに向かって願ってるんだから......。
無責任な、でもそうとしかいいようのない事実を堂々というその姿は、やっぱり頼もしく見えるらしい。
「俺は一番星になるよ」
ホシが謎なことを言い始めた。
どこから見ても流れ星としか見られないのに、どうやって一番星になるんだ......とは、それを聞いた全員が思っていたけれど、「ホシヒョンは多分さ、一番星を正しく理解してないんだよ。一番早い星になるとでも思ってるんじゃないかな」と案外冷静なことを言ったバーノンで。
でも気になるからとホシに尋ねたのはマンネのディノで、そうしたら「え、一番星って自己申告じゃダメなの?」と聞き返されていた。
新たな謎が生まれただけで、ホシが一番星を正しく理解してるかどうかすら判らなかったけど、ホシはいつだって、まぁ、そんな感じだ。
The END
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