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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

キムミンギュが恋をした × キムミンギュに恋をした 3

キムミンギュが恋をした × キムミンギュに恋をした 3

このおはなしはについて

続き物です。
「キムミンギュが恋をした × キムミンギュに恋をした」と、「キムミンギュが恋をした × キムミンギュに恋をした2」の続きです。まぁ今回のタイトル、そのまま+3だし。

まだ読んでない人は、よろしければそちらからどうぞ。  

sevmin.hateblo.jp

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봄 햇살과 고양이(春の日差しと猫)

温かい春の日差しの中に猫がいる。
それだけで、幸せは倍増する。

 

MINGYU side

先月買ったばかりの籐の椅子は、予想通り猫の爪研ぎと化していた。
それを見ながらウォヌは幸せそうに笑って、「でもほら、壁で爪研ぎしないんだから、うちの子は偉いね」と親バカ丸出しだった。
クリスマスの翌日に、ウォヌは猫を拾ったと軽く言うけれど、2人で仕事に向かっていた時に、「仔猫の声がする」と言ったウォヌがそこから動かなくなるから、ミンギュは聞こえなかったというのに雪の降るなか結構な時間その場で猫を探す羽目になった。
でも仔猫はいたけど。

ゴミの山の中の下の方の段ボールの中に、仔猫たちはいた。
しっかりと段ボールは閉じられていてテープで止められてもいたから、誰かに拾って欲しいと願って捨てたというよりは、本当に処分するつもりで捨てたんだろう。

小さい声で鳴いてるのは1匹だけで、他の2匹はもう動く力も残っていなかった。
黒と白と、鼠色の猫が1匹ずつ。
まだ本当に小さくて、生まれたばかりだったのかもしれない。

段ボールの中の猫3匹を取り出して、まだ動いている猫はウォヌの胸元に、残り2匹をミンギュが引き受けて、2人して病院まで走った。
普段おっとりしてるウォヌが、案外早く走ると知ったけど、「野良猫を持ち込まれても」と言う病院のスタッフに、「野良猫じゃないッ。うちの子だからッ」と必死に叫ぶその姿もまた、はじめて見るウォヌだった。

結局鼠色の猫は助からなくて、一度も鳴かぬまま、その目も開かずに死んでしまった。
まだうちの子と呼べるかどうかも怪しい関係の希薄さなのに、ウォヌは泣いた。

「助けられなかった」って。
「2匹は助かったじゃん」としか言ってやれなかったけど、しばらく、ウォヌは泣いていた。

仔猫たちは3日ほど病院でお世話になって、それから我が家にやって来た。それ以来ウォヌは、ほとんど家を出ずに仔猫の世話をした。
あんまり触らず、構わず、極力抱き癖なんてつけずにって言っておいたのに、ミンギュが普通に仕事に行ってしまえば、きっと仔猫たちにベッタリだったんだろう。

春になって結構育った猫たちは、夜にはウォヌの側に寝る。
ミンギュとウォヌの眠るベッドの、2人の間とかに2匹揃って。

 

WONWOO side

家の中に猫がいる。
朝起きると、まだ寝てたいと言うようにウォヌのことをベッドに縫いとめるのはシロで、早く起きて遊んで欲しいと言うのはクロだった。
もう春だから、2匹を迎えてからもう少しで半年になる。
ミンギュがとりあえずと、「ちょうど白と黒だし、名前は仮でそうしといて、ちゃんとした名前はゆっくり考えればいいだろ」と言った。
それからウォヌはずっと名前を考えてる。
まだいい名前は浮かばない。
でもシロもクロも、それぞれそう呼ばれるとミャっと小さく鳴くようになったけど。

抱き癖はつけちゃダメだよ。2匹もいるんだから」

確かそう言われたはず。
そのほかにも、決まった時間以外に餌をあげちゃダメだとか。おやつもダメだとか。寝室には入れないようにしろだとか。
ミンギュは山のように言ったはず。

「うん。わかった」

全部そう答えたウォヌだったけど、ちゃんと聞いていなかった。
だって仔猫なのに、抱かないはずがない。2匹いるけど、2匹まとめて抱いたってまだ余裕なほど小さいのに。
まだ冬で、寒さは堪えるだろう。
元は3匹だったのに、1匹減ってしまったことに、きっと何も判らないなりに戸惑って悲しんでるはず。

ミンギュが仕事に行ったら、ウォヌは決まって寝室につながるドアを開けて、「おいで」と仔猫たちを抱き上げて、ベッドの中に迎え入れて時々はそのまま仕事をして、時々は一緒に微睡んで、それから仔猫用のミルクをあげたりした。

ミンギュにはすぐにバレた。
夜寝る時に仔猫たちは寝室に入れないと鳴いて鳴いてと五月蝿く騒ぐようになったから。

「ウォヌヒョン、俺の言うこと、全然守ってないでしょ」
「でもまだ仔猫だし」
「いつまでも仔猫じゃないんだって」
「でも可愛いし」
「可愛いのは仔猫のうちだけだって」
「でも寒いし」
「2匹で丸まってれば、大丈夫だって」
「でも」

時々はミンギュに負けて「ごめん」と謝ったけど、ミンギュが出かけてしまえば仔猫たちは当然のように寝室のドアを開けてくれと言うように鳴いた。

それに、もうすぐ半年で仔猫ではなくなってきているけれど、シロもクロも、可愛いのは変わらない。

「大人になっても、可愛いままだよ」

そうミンギュに教えてやったけど、大人に近づいた猫たちは、自分で寝室のドアを開けられるようにもなっていた.........。

 

MINGYU side

「チュールだよ」とミンギュが言えば、2匹とも駆けてくる。
猫部屋に誘導して扉を閉めて、それから2人の寝室の扉も閉めて、急遽取り付けた簡単な鍵も閉めておく。

「可哀想じゃん」

ウォヌはそう言うけれど、「いや、全然俺の方が可哀想だって」と言いながら、ウォヌのことを押し倒した。
猫が来てからこっち、絶対に回数は減ったはずだから。
そう文句も口にしたことはあったけど、「大丈夫、猫たちはすぐに大人になって、そうしたら人間のことなんて見向きもしなくなるよ」とウォヌは笑ってたけど、猫たちは大人になりつつあるけれど、甘えたな空気は抜けそうにない。

それになんでか、エサが欲しいと朝早くからミンギュのことを起こす。
トイレを掃除しろと、ミンギュに向かって鳴く。
寝る時にはウォヌの側に行くくせに............。
世話をするのはミンギュだと判っているかのよう。

本当ならもっとちゃんとピロートークだってしたいっていうのに、気づけば寝室の前で必死に鳴いてる2匹がいる。

「手術の日、決めていいのか?」

2人の会話の大半も、2匹の話だったりもする。
そろそろ去勢手術をする予定で、病院の予約するのもミンギュが動いていたから。

ウォヌは何もしない......訳ではないけれど、一緒になって日向に座っているのを見ると、猫が3匹いるような気にもなる。
ただいつだってミンギュの方が早く気づくから、トイレの掃除も何もかも、ミンギュがちゃっちゃとやってしまうだけかもしれない。

「体重測ってもらったり、様子を見てからそのまま手術するか決めるらしいけど、先生がいいって言うなら、2匹いっぺんでもいいだろ?」

2匹がこの家にやって来てから、ウォヌは一度も一人で過ごしたことがない。
だから猫たちよりもウォヌの方が不安になったのかもしれない。
1匹ずつじゃダメなのかなって最後まで言っていたけれど、猫たちの負担が少ないのが一番いいって、最後には譲ってた。

「じゃぁ久しぶりに出勤したら? 寂しくないだろ? その方が」

そう言えば、週の半分ぐらいではあったけど、それでもちゃんと通ってた仕事場のことを、ウォヌはようやく思い出したようだった。

 

WONWOO side

朝から猫たちを病院に預けて、仕事場に向かった。
隣りには当然のようにミンギュがいて、迎えに行くのは明日の予定だったから、「夜はどこかで食べて帰ろう」とミンギュは言う。

「病院に電話して、様子を聞いて、大丈夫そうだったら」

猫たちが気になるからそう言えば、「いいよいいよ。そうしよう。気になるなら病院近くのレストランとかでもいいし」と言ってくれたから、強く頷いた。

仕事場では久しぶりに出てきたウォヌのもとになんだかんだと人が集まってきたけれど、リモートで仕事をしてたってチャットもするしビデオ会議はするし、支社のリビングでコタツにいる時と、あんまり違いはなかったから、なんでそんなに出てきたことが特別なのかは判らなかった。

それよりも、猫たちのことが気になりすぎて、仕事になんてならなくて、結局ミンギュがケーキを買ってきてそれを支社で配ったら、夕方には早めに抜けて病院に向かったほど。
ミンギュはちゃんと病院にも持って行くようのケーキを用意してて、差し入れですと言ってケーキを差し出して、その代わりにと猫たちの様子を聞いて、こっそり覗かせてもらった。
姿を見られてしまっては、きっと鳴き続けてしまうから。
2人して病院でかなり不審者な状態だったのを、夕飯を食べながら笑った。

「ウォヌヒョン、ニャンコズの話すると、凄い笑うから妬けるんだけど」

ミンギュがそんなことを言うから、ちょっとだけ目が点になった。
だって猫たちの話をするのなんて、ミンギュにだけなのに。
2人の間に入ってきて眠る猫たちは、寒いとミンギュにくっつく。でも暑くなってくるとウォヌにくっつく。
時々ミンギュはそんな猫たちに文句を言うけれど、触る時は物凄い優しいし、猫たちはミンギュが起き上がると嬉しそうに走ってついていく。
2人と2匹の暮らしはなんだか、家族みたいで。

のんびりと食事をした。それからのんびりと帰った。でものんびりしてたのは家に入るまでで、なんでかその後はミンギュに急き立てられるようにして、寝室に追いやられたけど。

猫たちがいないから、久しぶりに何も気にしないでヤるとミンギュが言うけれど、「猫たちがいても、俺はあんまり気にしてなかったけど」って言ったら、そのまま押し倒された。

 

여름에 고양이가 녹겠다(夏に猫が溶ける)

風通しの良い廊下で猫が溶けている。
時折そこで、ウォヌが一緒に寝てる。

 

MINGYU side

夏になると、昼間、猫たちは廊下でよく寝てる。
ウォヌだけだと冷房をつけないからで、風通しの良い廊下がお気に入りのようだった。
暑がりのミンギュと自分は普通だと言うウォヌが一緒に暮らすには、お互いの歩み寄りが必要で、夜には冷房の効いた部屋の中、ミンギュはほぼ裸で眠り、その腕の中でちゃんとパジャマ代わりのシャツとスウェットでウォヌは眠る。

猫にも暑がりと寒がりがいるのか、クロはどうやら暑がりで、シロはどうやら寒がりで。
冷房の効いた部屋の中でお腹を出して眠るクロと、ウォヌの胸元にくっついて眠るシロと、気づけばそれぞれに固定の場所ができていた。

ウォヌの横に身体を差し込むようにして寝る体制をとる時に、気づけば猫の居場所を確認してる自分がいて、笑ってしまう。
猫が大人になるスピードは早いのか、餌もトイレ掃除も自動給水器のフィルターの管理も、全部ミンギュがしてるってことに気づいたのか、ミンギュがウォヌのことを抱きしめようとすれば、自然と部屋からいなくなるようにもなった。
その代わり、どうしても遊んで欲しくなると夜中だろうと人の身体の上を走り回るけど......。

猫のいる暮らしはウォヌを少しだけ変えた。
仔猫たちが育つまでは家からほとんど出なかったけど、成猫に近づいて手がかからなくなると、猫自慢をしたいがためにウォヌは仕事に出るようになったから。
でも最後まではおらず、夕方ぐらいになるとミンギュを待たずに帰ってしまうけど。

それから物凄い時々だけど、夕飯を作って待っていてくれるようにもなった。
最初は伸び切ったラーメンだったり、味がほとんどしないスープだったりが出てきたけれど、ミンギュが味を調節すれば、それはとてつもなく美味しい夕飯になった。

 

WONWOO side

猫が2匹いる。
ウォヌのパソコンの画面には、当然2匹の写真があるし、家に仕掛けたWEBカメラを見れば、リアルタイムで猫の様子が判る。大抵は寝てるけど。
それは最新式だったから、部屋の中の音もちゃんと拾うし、話しかければこっちの声だってちゃんと向こうに伝わるし、録画だってできる。

結構な値段がしたそれを、寝室とキッチンと猫たちのトイレがある場所と、3か所につけたいと言い出したのはウォヌで、「マジで?」ってミンギュは聞き返してきたし、正直に「いやそれで俺がウォヌヒョンの日常を絶対盗み見るけど、怒らない?」とも聞いてきた。
ウォヌが猫を見るように、ミンギュはウォヌを見るという。

「猫たちよりも俺の方が絶対動き少ないと思うけど、それでも良ければ全然俺は構わないけど」

ウォヌにしてみればかなり喋った方だろう。
WEBカメラがどうしても欲しかったからかも。
そうしたらミンギュがその場でネットで注文して決済まで終わらせてくれて、翌日には3台のWEBカメラがウォヌの手の中にあった。

嬉しくて、3台のWEBカメラを箱に入ったまま積み上げて、後ちょっと眺めたらセッティングしようと思ってたら、それを全部ミンギュがしてくれた。
箱から出したのも、それをセットして調整してウォヌのスマホやパソコンで見られるようにしてくれたのも、保証書や説明書を片付けたのも、ゴミをまとめて捨てたのも全部ミンギュが。
ウォヌが手伝ったことと言えば、カメラの映像をズームしてみてと言われて試してみて、写真撮れるか試してみてと言われて撮ってみて、それぞれ「できた」って言っただけだった。

だからウォヌのスマホには、WEBカメラを設置してる時のドアップのミンギュがいる。
猫たちの写真と同じか、それ以上にウォヌにとっては大切なそれは、ミンギュも知らない1枚だった。

 

MINGYU side

ミンギュのスマホには当然のことながら、家のWEBカメラの情報がリアルタイムで入って来る。
窓辺だったり廊下だったりベッドの下だったり、好き勝手な場所で寝てる猫たちが急いで玄関に向かうその姿に、ウォヌが家に戻ったことに気づく。

足に猫2匹をまとわりつかせながら、ウォヌはゆっくりと歩く。きっとただいまとか何か、話しかけながら歩いてるんだろう。
上着を脱いで手を洗って、それから猫たちに手を伸ばす。
ミンギュには抱かせない猫たちが、ウォヌには大人しく抱かれて、その顔にもスリスリをしてる。

支社から一緒に帰ることがなくなって寂しくはなったけど、お土産を買って帰る楽しみは増えた。ウォヌが待っている家に帰るっていう喜びも。
ウォヌと猫たちは、天気が良くても悪くても、夜に帰って来るミンギュの為に夕方には冷房をつけて、まったりと過ごしてる。

それはまるで、猫が3匹いるんじゃないかって感じ。
時々外の物音に猫たちが耳を立てる。ウォヌはそれすらせずに、ソファやベッドで寛いでいる。静止画かと疑うほど動かない。

WEBカメラをつけて良かったのは、そんなウォヌの眠りを妨げることなく、そっとドアを開けられるようになったことかもしれない。
ミンギュが戻ると猫たちはウォヌのもとから離れてミンギュにまとわりつく。ミンギュがエサをくれると判っているからだろう。
夕飯を作りながら、猫たちのトイレ掃除もしてやる。
猫たちも撫でてやるけど、ベッドに沈むウォヌのことも同じように撫でる。
グルグルと喉を鳴らす猫たちと同じように、ウォヌが「あ、帰った?」って掠れた声を出す。

 

WONWOO side

猫は寝るのが仕事らしい。羨ましいことこの上ない。
そんな猫たちを撫でていたら、いつの間にかウォヌも寝てしまうことが多かった。
時々そんなウォヌのことをミンギュが猫を撫でるのと同じように触ってくる。それで起こされることもあれば、気づかずに寝たままの時もあって、どちらの時にもウォヌは幸せで、自分も猫になった気分を味わった。
それはきっと、幸せって言葉で表現するのがピッタシかもしれない。

「あんまり高くないキャットタワーってあるかな?」

家の中に元から高い家具がなかったからかもしれないけれど、猫たちはあまり高い所が好きそうには見えなかった。
だから逆に気に入ったキャットタワーは見つからなかった。
形や色やデザインが、ちょっとずつ好きではなかったから。

「じゃぁ、俺が作るよ。どんな形でどんな高さがいいのか、メモでもしといて」

ミンギュがなんでもないって感じで言う。
ウォヌにしてみれば、それでなくてもなんでもできるミンギュなのに.........。

そしてしばらくしたら、部屋の中には棚で作られたキャットタワーどころか、壁や天井近くにまで、キャットウォークができていた。
きっとそこまでされたら驚きもひとしおのはずなのに、ウォヌはそれほど驚かなかった。だっていつだって、ミンギュは色んなものを越えてくるから。

食べたいものだって、見たいものだって、知りたいことだって。
無理することなく、ミンギュ自身が楽しみながら、ウォヌの前に差し出してくれるから。
猫たちは気づけば部屋のあちこちで、好きな場所で微睡んでいた。

 

가을에 고양이가 울린다(秋に猫が鳴く)

人よりも早く大人になる猫は共犯者のように鳴く。
それぞれ違う意味に捉えるのに、結果幸せ。秋の風が吹く。

 

MINGYU side

珍しく仕事で出張することになった日。思わずミンギュは猫たちに「ウォヌのことを頼んだぞ」と声をかけていた。
でももうそれぐらい、ウォヌよりも猫たちの方が頼もしいかもしれない。
決まった時間に行動するから、ウォヌのことを起こしてくれるだろうし、猫たちがご飯を要求するから、ウォヌだって食べ忘れることもないだろう。
うたた寝たまま眠りに落ちていくから、きっと明かりはつけたままか、タイミングによっては真っ暗なままか。
それでもWEBカメラを導入した時に遠隔で動かせるものは全て設定済みだったから、ミンギュができないことは開けっぱなしにされてしまった冷蔵庫の扉を閉めることぐらいだったかもしれない。

「何かあったらカトクでも電話でも、なんでもいいからちょうだい」

前日も出かける日も出ていく間際にもそう言えば、ウォヌは笑って「何かってなんだよ」と言うばかり。
それを必死にミンギュが「寂しいとか会いたいとか早く帰って来てとか。そういうのでもいいんだって」って言ってるのに、「それ全然何もないじゃん」とやっぱり楽しそうに笑ってるだけ。

「そうだよ。何かあったら絶対連絡欲しいけど、何もなくても連絡は欲しいんだよ。今どこ?とか。今何してる?とか。何食べた?とか。もう寝る?とか」
「そういうもの?」
「そうだよ。そういうものなんだよ」

ウォヌは素気なく、「ふーん」って感じだったけど、家を出て5分後、ウォヌからカトクで『今どこ?』って連絡が来て1人で爆笑した。

 

WONWOO side

夏が終わって涼しくなりだせば、きっとあっという間に冬が来るはずなのに、猫たちとまったりする時間が増えたからか、なんだか時間の流れが遅かった。
ミンギュは出張が決まってバタバタしていたけれど、スーツケースに何かを詰める作業をしたことのないウォヌにしてみれば、ちょっとだけ羨ましかった。
それは猫たちも一緒なのか、ミンギュが目を離した隙に、2匹揃ってミンギュのスーツケースの中に潜り込んでいた。
それがやっぱり羨ましくて、ウォヌだってはいりたくなったほど。

「わーわーわーわー、ウォヌヒョン見てないで、入らないように防御しててよ」

戻ってきたミンギュが、スーツケースの中にいる猫たちを見てそう言ったけど、でも、一緒に入りたいぐらいなのに......。
押し出したって抱き出したって、入ろうとするのを阻もうとしたって。猫が2匹もいるんだから結構無理がある。
それに可愛いから強くは出れないし、その時点で猫たちにしてみれば遊んでもらってるようなもので。
結局ミンギュの準備は、結構時間がかかってた。
途中「ラーメン食べる?」とかってウォヌが聞いたから余計だろう。だって聞いたって作るのはウォヌじゃなくてミンギュだし、片付けるのもミンギュだし.........。

「ミンギュの作るラーメンが、世界で一番美味しいかも」

そう言ったら、ミンギュは嬉しそうに笑って、「おかわりする?」とか聞いてくるから頷けば、ミンギュはまた鍋にお湯を沸かし始める。
だから猫たち以上にミンギュの邪魔してたのは、ウォヌだったかもしれない。

 

MINGYU side

猫たちと一緒になってウォヌがまとわりついてくる。
出張の準備は遅々として進まなかったけど、猫たちがミャーと鳴く横で、ウォヌも同じようにミンギュに向かって甘えた声を出す。
甘えてやろうとか、気を引いてやろうとか。そんなこと微塵も思ってないだろうから、余計にその声はミンギュの気分を良くさせる。

長期って訳でもないし、いざとなったら無理やりにでも帰ってこれる場所への出張だっていうのに、なんでか「明日から会えないじゃん俺ら」って言いつつ押し倒したら、ウォヌが「うん......」とか言うもんだから、出張の準備も途中だっていうのに............。

いつものように台所を片付けてハミガキをして、出張の準備もどうにか終わらせた時にはもう夜中だったし、猫たちは好き勝手な場所で寝てた。まだ寒くないからだろう。ウォヌももう幸せそうに寝てる。そう思ってたのに、不意に「まだ寝ないのか?」って声をかけられた。

「あ、ごめん起こした?」
「起きてたから」
「もう寝る。準備も終わったし」

そう言いながらウォヌの隣りに潜り込めば、やっぱり猫のようにすり寄って来る。
暑がりのミンギュにとってもウォヌの体温を心地よくて、あぁ季節が変わったんだな......なんて感じながら眠りについた。

 

WONWOO side

一緒に寝たはずなのに、起きればミンギュはもういなかった。
猫たちにご飯をちゃんとあげて、それからウォヌのためにはサンドイッチを作ってから出かけたようだった。
早く起きて見送ろうと思ってたけど、半分昼ご飯となったサンドイッチを食べながら、ウォヌは仕事用のパソコンを開く。
社内用のポータルには、見知らぬ人たちが色々投稿している場所があった。自分の日常を呟く人もいれば、問題解決を求める人もいて、時にはこういうプログラムが欲しいけど費用はかかるのかみたいなことを書く人もいた。
ほとんど利用したことのないポータルだったのに、ウォヌは最近毎日のようにここに来る。
そこには猫を飼ってる人たちが、自分の猫の写真をアップしてる場所があったから。
匿名で、ウォヌも時々猫たちの写真をアップする。
他人様の猫だって可愛いけれど、やっぱりうちの猫たちが一番で、でもきっと全員そう思ってるはずで。

『うちのにゃんこズ』

そんなタイトルの新しい投稿を見つけて開いてみれば、それは自分たちの寝室で、猫たちと一緒にうつ伏せで寝てるウォヌの姿があった。ほとんどを毛布に覆われていて、写っているのは頭の先っぽだけだったけど、2匹と1人というよりは、それは自分で見ても3匹に見えて。
なんだか嬉しくなって、それから照れくさくなって、自分で投稿した訳じゃないから削除なんてできないはずなのに、ウォヌはミンギュのアカウントでログインしなおしてそれを削除した。

 

 

겨울은 고양이 계절(冬は猫の季節)

寒くなると寂しくなりそうな季節に、猫たちが幸せを運んでくる。
部屋はいつだって、当たり前のように優しい温もりに包まれているから。

 

MINGYU side

寒さが堪える冬のはずなのに、朝起きれば育ち切った猫たちの重さで布団が動かない。
布団の中に入って来る時もあれば、布団の上で寝てる時もある。
ウォヌを抱きしめて眠ったはずなのに、気づけばウォヌとの間に猫たちがいたりして、気づけば色んなものを抱きしめてて笑ってしまうほど。

「ん、おはよ」

声を出さずに笑ってたのに、振動で起きたウォヌが「なに?」って掠れた声で聴いてくるのに、「俺たち猫まみれだよ」と言えば、2人の間の2匹の猫たちをウォヌは幸せそうな目で見るから。朝から抱きしめたくなる。でも猫2匹分遠いけど。

ミンギュが先に起きる。
猫たちは朝の光が眩しすぎるのか目をその手で隠したり、頭を布団に押し付けたりして眠りを確保する。それをカワイイと言いながら見てるウォヌだって、ミンギュが朝飯を作って戻って来てみれば、同じように毛布を頭までかぶって猫たちと一緒に二度寝を楽しんでいた。

寒い冬は2人の間に猫たちがよく挟まってくるからと、猫用の電気毛布だって買ったし、猫が入りたくなるようなドーム型の猫ハウスだって買った。
邪な気持ちで色んなものを買ってるのに、ウォヌは猫たちが大切なんだと喜んでくれている。
まぁでも、それでも猫たちはやっぱり起きれば2人の間にいることが多いけど。

朝飯ができたとウォヌに声をかければ、「ん」って言いながらもなかなか動き出さない。だから引っ張り上げるようにして起こしてやれば、素直に起き上る。
椅子に座ってからもボーっとしたままで、髪はあちこち跳ねていて、顔だってちょっとブサイクかもしれない。
でも、ミンギュにしてみれば、どんなウォヌだってカワイイんだけど。

 

WONWOO side

寒くなると途端に起きられなくなる。
でもミンギュは毎朝ちゃんと何かは作るし、ウォヌと違って毎日仕事に出て行くから、時間だって決まってる。
家に帰って来る時には、時々猫たちのオモチャを買って帰って来る。
でもどんなに高価な猫じゃらしよりも、ミンギュのセーターをぐっちゃぐちゃにする方が好きみたいだし、そのせいでほどけだしたセーターは、猫たちのお気に入りだったりする。
それは全部、勝手にミンギュのセーターを出してきて着てみて、それをベッドの上に放置してしまったウォヌのせいだったけど、ミンギュは怒ったりしなかった。
まだ買ったばかりで新しかったのに......。
猫たちがトイレの砂で遊んで部屋中砂だらけにした時も、ミンギュは「あっちゃ〜」とは言ったけど怒らなかった。猫たちが大運動会を繰り広げて結果飾り棚が倒された時だって、驚いて逃げてった猫たちを心配はしたけれど、怒らなかった。
思えばミンギュはウォヌにも怒らない。
猫たちのお腹をモフリながら、そんなミンギュを誰かに自慢したい気にもなる。ウォヌにしては珍しいその感情は、本当に珍しく、時間が経っても消えなかった。
猫たちの健康を気遣って普段はバリボリなのに、時々は缶詰を開ける。
そんな時には台所に立つミンギュに、猫たちが果敢にも登って行く。子どもの頃は可愛いでしかなかったのに、大人になった猫2匹に乗られれば結構な重さになるっていうのに。
猫2匹の重さに耐えながら、でも決して落とさないように気を付けながら家事をするミンギュが自分のものだなんて、なんて不思議。

でも楽しい気落ちは消えなくて、ウォヌはこっそりと撮った写真をミンギュのアカウントで社内ポータルに載せておいた。見て驚いて、ミンギュも決してしまうかもしれないと思いながらも。

『うちのにゃんこズ』

そんなタイトルで。

 

MINGYU side

ミンギュはその写真にすぐに気づいた。でも消したりはしなかった。
ただ、タイトルは変えたけど。

『愛妻家』って。

でもウォヌはそれに気づかなかったのか、その写真はそのまま誰もが見られる状態になっていた。
それはまるで、子どもたちを遊ばせながら頑張る日曜日のアッパみたい。その写真を見るたびにどこだろうともミンギュがニヤニヤとデレデレを繰り返してるなんて、きっとウォヌは知らないだろう。
冬だからか、一緒に寝ててもウォヌから擦り寄ってくることも多い。多分無意識だろうけど。猫たちもカワイイけれど、猫たちをカワイイと嬉しそうな顔をするウォヌの方がカワイイ。
そう言えば、ウォヌは本気で不思議そうな顔をする。
猫たちの方が絶対にカワイイはずなのにとでも思ってるのかもしれない。
小さいものだけがカワイイ訳じゃない。色んな人が想うカワイイが全てな訳じゃない。
猫たちと一緒にミンギュの帰りを待って、猫たちと一緒に「腹減った」って言うウォヌは、どうしたってミンギュの中ではカワイイの最上級だから。

『召使い』

ニヤニヤした日々を過ごしていたら、ある日、愛妻家から召使いに変わってた。でもそれを見て余計にニヤけたけど。

『一途な愛の下僕』

そう書き換えて数時間後には、写真そのものが消されてて、ミンギュはリモートで会議中だったのに思わず吹き出して、いらぬ注目を浴びた。

 

WONWOO side

冬は寒いけど、その分ミンギュの腕の中は温かいし、猫たちはいつでも一緒にいてくれる。ゴロゴロと喉を鳴らしながらすり寄ってくれて、時々はゴツンと頭突きをしてくれて、2匹で走り回ってる時もあるけれど、気づけばウォヌの側にいる。
冬はどうしたって厳しくて、寂しくて、寒くて。だからどうしても耐えるイメージだったのに、冬なのに幸せしかなかった。

「シチューが食べたい」

そうカトクすれば、「普通のなら作れるよ」とすぐに返信が来る。
普通じゃないシチューも判らないし、何が普通かは判らないけれど、今夜食べられるそれがウォヌにとっては普通になる。

耳が良い猫たちがいてくれるから、玄関で電子音が響くよりも前にミンギュの帰りを知る。
ミンギュは手を洗っただけで、着替えもせずにシチューを作り始めて、その足元には猫たちがかなり強めなスリスリをしてた。
だからウォヌも猫たちの真似をして、後ろからミンギュに抱きついてみる。そんなこと、滅多にしないけど。

「なになに? みんな腹減ってんの?」

ミンギュは笑いながら「シチューを急いで火をかけるだけにしちゃうから、そうしたら先にご飯してやるから」と足下の猫たちに話しかける。
それからミンギュは後ろからしがみついてるウォヌの腕も軽く叩いてく。

「シチューによくあう、美味しいバゲットを買ってきたよ」

そしてウォヌはバゲットが何かを知った。ただの固いパンだったけど............。

 

봄 햇살과 고양이2(春の日差しと猫2)

去年と同じ春の日に、猫たちがふてぶてしく過ごしてる。
温かい日差しに猫たちが蕩ける。それを見て、人も蕩ける。

 

MINGYU side

珍しく昼間に家に帰ったら、廊下で寝てるウォヌがいた。正確には、猫たちとウォヌが。
猫たちが好き好んで眠る場所に、ウォヌも一緒になって寝ることにしたんだろう。
ますますもって猫3匹と暮らしてる気になって笑う。
起こさないように踏まないように、廊下を通り過ぎる。
猫たちは目を開けたけど、なんだミンギュかみたいな顔ですぐに目を閉じてしまった。
お腹が空いてもいないからだろう。
仕事に必要な書類を探して家を出る時にも、ウォヌはまだ廊下で寝たままだった。
起こすかどうか少しだけ悩むも、幸せそうだからそのままにした。でも後から確認したら夕方までそのままだったらしく、夜には身体中がバキバキになったとウォヌが苦しんでいたけど。

一緒に寝ても、寒さも感じないからか、ぴったりとくっついてくることもなくなった。ちょっとだけ温かい空気が怨めしくもあるけれど、その代わり冬のように厚着でもなくなって、見てるだけでも楽しい季節になってきて、服の中に手を滑り込ませるのも簡単で、そういう意味では接触の多くなる時期でもあるかもしれない。

「もうすぐミンギュの誕生日だ」

春が近づくと、ウォヌは何度もそう言う。ふざけて何度か、「誕生日プレゼントならウォヌでいいけど」って言ったけど、本気にしてる風ではなかった。
真剣に悩んでくれているようではあったけど、春の眠たさに負けるのか、時々忘れてるようでもあった。でもそんな姿はやっぱり愛おしくて、春に産んでくれた両親に感謝すらしたほど。

柔らかい日向で微睡む猫たちとウォヌのいる景色が、もうプレゼントみたいなものなのに。

 

WONWOO side

気づけばまた春が来ていた。
ボーっとしてる間に、夏も秋も冬も過ぎていく。春だって同じように過ぎていくはずなのに、春はミンギュの誕生日があるから、どうしたって立ち止まる。

「去年は何をあげたんだっけ」

毎年考えるけど、ちゃんと思い出せないのは、きっと高価な訳でもステキな訳でも特別な訳でもない普通のプレゼントしか渡してないからな気がする。誕生日なのに。
冬生まれなら、マフラーとかコートとか渡せそうな色々なものが頭に浮かぶけど、春はなんだか、そういうのがない。なんだか柔らかい雰囲気だけで勝負してる季節な気がする。
バカ正直にそれをミンギュに言ってしまって、「春生まれを敵に回す気かよ」って笑われた。

「一緒にご飯が食べられるだけでいいよ」

そう言って笑うミンギュは本気でそう思ってるんだろう。ボーっとしてウォヌが全てを忘れてても怒ったりもしない。きっとウォヌが誕生日の用意も全部お願いと言えば、ケーキの手配だって自分でやりそうな気がする。
今やミンギュは、昨日オープンしたばかりのケーキ屋の情報だって持ってそうだから。

「誕生日に、どこか行こうか?」

場所も決めてないのに、そう言ってみる。
自分の誕生日だっていうのに、ミンギュは「なに? 行きたい場所があるの?」と聞いてくる。

「そうじゃなくて、誕生日だから」
「いいよ。お互いビシッと決めて、ちょっといい店とか行く?」

誕生日なんだからそれだって悪くないし、それぐらいはしてもいいはずなのに、ミンギュの提案に素直に頷けないウォヌがいて、それもバレててミンギュが笑ってる。

 

MINGYU side

誕生日の日に、ウォヌと出かけた。店はミンギュが幾つか候補をあげて、その中からウォヌが選んだ。メニューは2人で決めて、ケーキはなかったけど乾杯をして、小さい声でウォヌが歌ってもくれた。
当然支払いもウォヌがするというのに、なんでかウォヌのクレカはエラーとなるらしく、横からミンギュが自分のカードを差し出した。

きっとこんな時、他の誰かなら物凄い申し訳なさそうにするか悔しがるか、どちらかかもしれない。でもウォヌはミンギュのそれをごく普通に受け取って、「こっちで」って店の人に差し出して、支払いが無事に終わったことにホッとして、戻ってきた自分のカードを財布にしまいながらも、きっとエラーが出てることなんて家に帰った頃には忘れてるだろう。

おおらかなのか惚けてるのか、鈍くさいのか何も考えていないのか。でももうそのウォヌのペースはミンギュには馴染みのもので、心地よくすらある。
元からな気もするけれど、自分に向けての信頼感の現れでもあると勝手に自負してる。
帰ったらウォヌのカードのエラーの原因を確認することを忘れないようにしようと思いながら、ミンギュはウォヌと一緒に歩き出す。

「お土産買う」

もう帰り道にそんなに店もないのに、ウォヌが言う。
きっと猫たちにも何か......って考えたんだろう。

「特別なおやつなら、ほら、もう買ってある」

そう言ってカバンの中にある、またたびのおやつを見せたら、ウォヌは驚いて、それから物凄く嬉しそうに笑った。

 

WONWOO side

ミンギュの誕生日には外で食事した。
2人で暮らすようになってからはじめて作ったクレジットカードは、2回しか使ってなかったからか、いざ使おうとしたらエラーになって使えなかった。
猫たちにも何か買って帰ってやろうと思って「お土産買う」って言えば、ミンギュは「もう買ってある」とカバンの中に隠したまたたびおやつを見せてくれた。

誰にも、もちろんミンギュ本人にも言わなかったけど、自分の男は出来が良すぎると思う。

「帰ったら、ちゃんとプレゼントもある」

そう言えばミンギュは「やった」って言って笑う。きっとプレゼントがチョコレート一つとかでも、絶対に喜んでくれるはず。リボンが綺麗にかけられてなくても、嫌な顔一つしないはず。
でもウォヌが用意したプレゼントには、さすがに驚いていた。
まぁ春なのにセーターだったからだろう。

「ちょっと早いけど」って言えば、「大分早いけど、冬が楽しみかも」とやっぱりミンギュは喜んでくれた。
リボンは少し曲がってた。目を離した隙に猫たちがリボンで遊んで一回ぐしゃぐしゃにしたから。でもミンギュは「それでもリボンを死守してくれたんだから、ありがたいよ」と笑ってた。

だから思わず、珍しくもウォヌからミンギュに抱き着いた。
猫たちが大切なのと同じか、きっとそれ以上に、大切なんだって伝えたくて。
そしてそれが一番の誕生日プレゼントだと、ミンギュが物凄い喜んでいた。

きっとこんな春を、何度も何度も繰り返すんだろう。
幸せで、優しくて、愛おしくて。

春......。それはただただ、幸せな季節。

The END
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