LEFT&RIGHT2(MV100M Anniversary)
2022/8/8(月)記念すべきスンチョルさんのお誕生日に、見事100M達成♪
ということでレフライ2はじまってます。4周目です!!!!!
sevmin.hateblo.jp
ウォヌ、滞る
つい20秒ほど前まで、ウォヌの人生は頗る順調だった。
仕事も私生活もヘンガレの世界でも、順調とか考えることすらないほどに順調で、ヘンガレの世界を抜けて96ラインで話し合おうとしてたのはエスクプスの誕生日に花火大会を開こうって話だった。ホシはなかなか来なかったけど、相変わらずウジの家に勝手に押しかけて、自由すぎるほど自由に暮らしているようだった。
その後ジョンハンに電話したのも同じ理由だった。
そこでもホシの話題は出て、どこかに流されたとか。思わず笑って「流されたのはトイレだろどうせ」とか茶化したのが、悪かったのかもしれない。
「とりあえずこれで」
そんな物凄く適当な感じのジョンハンに電話を切られた辺りから、様子がおかしくなったのかもしれない。すぐに電話が鳴ったから、絶対ジョンハンが駆けなおしてきたと思って相手なんて気にせずに出たら、ジュンだった。
「ウォヌやッ! すぐに出るとは想定してなかった。なんだ? 何から伝えるんだ?」
物凄い慌てたような、それでいて謎な。でもジュンのテンションは時々酷く乱れるから、「なんだよ。どうしたんだよ。もしかしてお前までホシが流されたとか言う?」ってやっぱり茶化したのが悪かったのかもしれない。
「ミンギュが捕まった」
「............は?」
物凄いいきなり、電話の向こう側のジュンから表情が消えたような声が聞こえた。でもすぐにはそれを理解できなかった。そして次に思ったのは、「ヘンガレで?」だった。
なんでもありなゲームの世界は、いつだって自分たちをとんでもな世界に連れていってくれる。橋から全員で落ちそうになるし、新しい車はよく爆発するし、飛べる車も時々あるけど自由落下、つまりは墜落以外には下りる方法がないものだったりするし。
とにかく色んなことが起きるから。
「いや、それが、リアルで」
「............は?」
思わず、「キムミンギュって、あの?」って聞いてしまったほど。「うん、お前のキムミンギュが」ってジュンが言うのもスルーしたほど。
普段は冷静だとか、どんな時にも落ち着いていると言われてるのに、慌てすぎてボーっとしてしまったのは、はじめてだったかもしれない。
ただのコイビトで、ただのカレシで、ただのキムミンギュなら、すぐに家の顧問弁護士に連絡を入れたかもしれない。でも今は、父親から提案された新しい事業でミンギュの顔を売ろうと考えていた。それは当然仕事相手に対してもだけど、父親に対しても。
あまりにも慌てて、「ところで、なんで捕まったんだ?」って言葉が出るまでにも大分かかった。
電話の向こうからは、「盗んだバイクに火をつけて?」っていう、かなり疑問形な言葉が返って来て、またしてもウォヌは「............は?」って間抜けな声が出た。
それから人生が、本当に人生が丸ごと滞りはじめたウォヌだった。
大抵の困りごとならウォヌがいたらイチコロなのに、ウォヌの人生そのものが滞ってるんだから、ヘンガレで弟たちがルンバで大変な目にあってたって、当然役には立たないウォヌだった。
The END
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