妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

Why the tiger broke his promise

 

このおはなしは、Twitterで書いてた人魚たちのおはなしとリンクしています。
よければそちらもどうぞ~

sevmin.hateblo.jp

 

Why the tiger broke his promise

約束の時間には間に合うはずだった。
2人で暮らす。そう決めた時には、ホシはプールのある家を用意すると張り切って言った。
だってウジは人魚だったから。
でも冷静に、「そんな家、滅多にないし、あっても水道代だけで破産するだろ。シャワーがあればいいよ。浴槽があれば嬉しいけど、それも無理なら、子供用のプールをおけるベランダがあればいい。それも無理なら、大き目のバケツが玄関に置ければ大丈夫だろ」と言ったのはウジで、あまりの期待の低さにショックを受けたかというとそうでもなくて、その冷静さが2人の暮らしを現実的に考えてる証拠のようで、ホシは物凄く幸せで浮かれてて、「絶対幸せにする」なんてことも意気込んで口にして、「お前に幸せにしてもらおうなんて思ってないけど?」ってウジに言われて、でもやっぱり嬉しくてヘラヘラしてた。
だから次に会う時は、2人で暮らす家の鍵を真っ先に渡すつもりだったのに............。
家だって見つけてた。部屋はそれほど広くないけど、ちゃんと浴槽がある家で、でも子ども用のプールだってそれを膨らますための足で踏むシュッシュッってできるやつだって買った。
ベッドは一つしか用意しなかった。家賃に使ったって嘘をつこうと決めていて、あぁでも絶対ウジは「別にいいけど、お前が床で寝るだけだから」とか言いそうとか考えて、1人でグフグフ笑ってたらジュンにもディエイトにも変態を見る目で見られた。
なのに、約束の時間は無常にも過ぎた。
しかも1分とか10分とか、1時間とか3時間とかじゃない。半日以上は余裕で過ぎた。
待ってないといい。そう思ったけど、ウジは絶対待ってたはず。
怒ってたらいい。そう思ったけど、怒ってるように見えて、ウジは絶対哀しかったはず。
ホシが慌てて待ち合わせの場所に着いた時、そこには誰もいなかった。
あたりを見渡して、ウジがいた気配を探す。
こんな日に限って天気は良くて、いつも欠かさず持ってた水の入ったペットボトルを、ウジはちゃんと持ってただろうかって思った時に、『言い訳はするなよ』って声がした。
誰もいなかったはずの背後で。
虎のホシには普通の人にはない感覚だって備わっているっていうのに、そんなものも無視したようにホシの背後を取ったのはユンジョンハンだった。
「ウジは?」
「連れて帰った。アイツは水を捨ててたんだ」
「ウジは? 無事なのか?」
「無事じゃなかったらお前なんて深海に沈めてる」
「ウジは? 今、どうしてる?」
「寝てる。二度と水の世界には帰らないつもりだったから、余計に疲れたんだろ。今は水の中で寝てる。当分は起きそうにない。お前が許されるかはウジ次第だけど、傷つけるなら俺が許さないからな」
次にいつ会えるかとは聞かなかった。それよりもウジが無事だったことにホッとして、それが判ったからか、ユンジョンハンはそれ以上怒らなかった。
もしも約束の場所にホシが現れなかったら、ユンジョンハンはウジを傷つけたホシのことを本当に深海に沈めてたかもしれない。
「二度と会えないなら、沈められても全然いいよ。でも次があるなら、俺は待ってる。きっとウジは目覚めたら、また俺に会いに来てくれるはずだから。絶対ウジは文句を言いに来てくれると思うから」
そう言えば、「俺の仲間を傷つけてみろ、お前が飲む水は一生生臭くしてやるからな」とかなり嫌な発言をして、ユンジョンハンは一瞬で消えた。
ちょっとだけトボトボと、でも絶対ウジは会いに来てくれると信じて、ホシは2人で暮らすはずだった家に帰る。

「で、お前、なんで俺との約束破ったの?」

ウジがそう言ってホシの前に現れたのは、それから3か月も後のことだった。
2人で暮らす家にエアコンをつけてあげたくて、ホシは突発的にアルバイトをすることにした。それがたまたま町に来ていたサーカスで、虎の姿で芸をするだけで破格のバイト料を出してくれるというから。
でもうっかりサーカス団員のミスで、ホシは檻に閉じ込められてしまった。他の本当の虎たちと一緒に。
きっと人間の姿に戻って叫べば簡単に出られたかもしれないが、異質なホシがいたことで虎たちは興奮していて、人間に戻った瞬間には襲われそうで、ジュンとディエイトが助けにくるまで、ホシは虎として檻の中でしょんぼりしていたのだ。
素直にごめんって言いながらそう言えば、「お前バカだろ」ってウジは呆れてた。
でも新居のベッドは気に入ったとも言ってくれた。

「あ、それからハニヒョンが、こっちで暮らしてもいいけど絶対に水は捨てるなっていうし、お前が失敗したりしたら、俺はすぐに逃げ帰ることにしたから」

ウジはそう言いながらも、それほど広くない部屋を見て回って、それから浴槽も確認して、ベランダに用意されてる子ども用のプールも見て、「水槽も買って、カッパを飼おぜ」とも言った。
カッパがどこで買えるのかは知らないが、ホシは嬉しそうに「うん。なんでもいいよ」と頷いて、それからまた「ごめん」と謝った。

 

The END
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