妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

吸血鬼は愛に戸惑う

 

吸血鬼なのか、はたまたドラキュラなのか、それともヴァンパイアなのか。
そのどれも、バーノンは古いしダサイと思ってた。
今はもう太陽の下でも暮らせてるし、闇夜にだけ生きてる訳でもない。第一バーノンは、人間の父親と吸血鬼の母親との間に生まれたハーフだった。
まぁでも、吸血鬼だけど。
同じ父親と母親の間に生まれた妹は人間だった。
その首筋を噛んで血をわけあたえれば、父親だって妹だって永遠に近い命が手に入るのに、2人とも興味なんてないと笑う。そして2人とも今を楽しんでいる。
変わってる父親に妹だったけど、当然愛してる。だけどバーノンも変わってると言われるのは、吸血鬼のくせにクリスチャンだったりするから。
神様を信じてる。
この世界は大雑把だったから。
人間がいて、人魚がいて、吸血鬼がいて、獣人がいて、謎な生命体もいる。
そんな世界は無秩序に見えて結構普通にまわってた。だからやっぱり、神様はいると思う。絶妙な匙加減で、この世界をくるくる回してるんだろう。

だから多少変わっててもバーノンだってこの世界に許容されてたある日、目の前に、キラキラ光るスングァンが現れた。
最初、光ってる意味が判らなかった。でも聞けば人魚だという。だから、あぁ、あれだ。海の中の光る生物の、たとえばバクテリア的なものが身体に付着してるんだって思ってたのに、どうやら光って見えるのはバーノンにだけだった。
スングァンはいつだって楽しそうに笑う。笑いすぎて涙をこぼしながら笑えば、小さいカワイイ真珠がポロポロと転がる。人魚だから。
出会って三日目には、なんでか「俺たち運命の恋人だったんだよ前世」とか、謎なことを言いだしたけど、スングァンの好意は黙ってたって判った。
だってバーノンのことを見ながら話すと、スングァンはさらにキラキラになるから。
楽しそうだし、別れはいつだって辛そうだし。

でも人魚はダメだった。
だって同じ吸血鬼で年上のエスクプスは人魚と付き合ってるらしいが、「人魚となんて、付き合うもんじゃないぞ」っていつも言うから。
怒らせたら二十年ぐらいは余裕で根に持つし、ケンカしたら水の中の世界に籠って出てきてくれなくなるし、何より嫉妬深いし自分を優先してくれないとすぐに怒るし一緒にずっといたがるし............って言っていた。
とにかく、人魚は大変らしい。

だからバーノンだって無理だって思ってたのに、スングァンはいつだって眩しくて。
「俺はボノニのこと好きだけど、ボノニは?」
そんなことを真正面から聞いてくるほど純粋で。しかも、答えは当然「俺も」だよねって信じて疑わないような瞳をしてて。
「........................俺も?」
ちょっとだけ疑問形になったっていうのに、スングァンは嬉しそうに笑って、「じゃぁ俺たち両思いだね。ラブラブだね」って喜んでいた。

スングァンは1人では陸地にまだ来れないらしく、多い時で月に何回か、少なければ月に1回ぐらい、人魚のヒョンたちに連れられてやって来る。来れば走ってバーノンのところまで来て、海の中では珍しいあちこちに一緒に行って回る。
まだ陸地に慣れない人魚らしく、常識のない感じのところがカワイイけれど、「俺たちラブラブなんだから、そろそろいいよね」とか言い出すから何事かと思ったら、手を繋いできただけだった。
人魚の世界の色恋は、一体どうなっているんだか......って思わないでもなかったけれど、手を繋いで歩くことが思った以上に楽しくて、スングァンのドキドキが伝わってくるのも嬉しくて。

そんなスングァンがある日、「今日は泊まってきてもいいって、ハニヒョンが言ってた」とか言い出した。まだ手を繋ぐとこまでしかいってないのに、次のステップへの跳ね上がり方が凄いな人魚............ってちょっとだけ驚いたけど、でもちょうど家には妹が泊りに来てた。
だからごめんって言ったのに、「でも、でも」ってスングァンは諦めなかった。
「妹はいつでも大丈夫だけど、俺とのチャンスは100年後かもよ!」
必死に言う姿も可愛かったけど、妹は人間だから、きっと100年後には生きてない。
スングァンとは100年後も一緒にいられるだろうけど。
だからやっぱりごめんって言えば、「いいもん。別にいいもん」って言いながら、全然良くない感じで、しかも「わーん」って泣きながらスングァンが走り去る。
いきなりのステップアップにちょっとだけ怯んだのも事実だったけど、まさかのスングァンのそれが、本当にただのお泊りしたいだけだったなんて、バーノンだって気づけるはずもない。
そんなお泊りだけでいいなら、妹がいたって一緒にどうぞって言ってやれたのに。

泣かせてしまったことにちょっとだけ凹んだバーノンだった。
だってもうこれは恋で、愛で。相手が人魚だからと諦めるにしては遅すぎて。
どうしたってスングァンはキラキラと、バーノンの目にはいつだって光って見えちゃうんだから。

同じ吸血鬼のミンギュヒョンに相談したら、「バカだな。人魚だからってなんだよ。クプスヒョンなんて、人魚の文句言いつつももうずっと同じ人魚と付き合ってるし、それに人魚は扱いづらいとか言ってたって、恋人が我が儘言うのと同じじゃん。それに人魚って案外強いし泡になって消えるなんてないから、ドーンっていってみろよ」ってあっさりいなされた。

まぁでもそうかも。吸血鬼だって人魚だってなんだって。
最初はなんだって戸惑うから。
それはきっと人魚だからじゃない。

だからバーノンは、「ごめん」って言うために海へと続く川へとやって来た。クプスヒョンが言うには、とりあえず美味いもんを川に投げ込めば、どっかの人魚はやって来るから、その人魚に伝言を頼めばいいらしい。
いやなんか、人魚雑だなって思いつつも、この世界をつくった神様は大雑把だったから。
美味しいものってなんだろうって思いながらも、トッポギを大量に購入して川に投げ込んだバーノンだった。

The END
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このおはなしは、Twitterで書いてた人魚たちのおはなしとリンクしています。
よければそちらもどうぞ~

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