注意......
日頃から妄想を書いてますが、さらに妄想となっておりますので、ご注意ください。
クパン(両親?)と、ホシウジ(子供=小学校1年生頃)設定の301号室と、
ジョシュア(保護者)と、ディノ(永遠の5歳児)設定の302号室と、
ウォヌ(社会人)とミンギュ(大学生)の、兄弟?設定の303号室。
そんな彼らのおはなしですが、それでも良ければどうぞ............
最後の別れ話
「でもお前に電話したら、女が出たもん」ってジョンハンが小さく呟いた。
スマホを差し出してその時の動画を見せてやれば、ジョンハンが驚いていた。
だから「バカだな。ほんと......」って言えば、「バカって言う方がバカなんだよ」って言いながらもやっと抱き返してくれたから、話はそれで終わったと思ってたのに、ジョンハンは真面目な顔で「俺たち、ちゃんと別れ話をしよう」って言う。
「は? 何言ってんの?」
「今別れないとしても、でもちゃんと、別れ話はしたい。だって俺、ずっと、お前と別れなきゃいけないかもしれないって考えながら、ウジはもう手放せないって思ってたんだ。それが一番、怖かったかもしれない」
そう言われて、別れ話なんて絶対しないって思ってた気持ちが一瞬で押し流される。だってジョンハンの気持ちが判ってしまうから。
もう今や4人は本当の家族で、父であり母であり兄であり保護者でもあり。今さら離れて暮らせと言われても離れられるはずがない。
だから別れ話なんて意味がないのに、それでもそれを一蹴はできなかった。
エスクプスよりも長い時間、ジョンハンの方が子どもたちと過ごしてきたから思いはその分強いのかもしれない。でも愛情は負けてないし、どうしたって別れなんて訪れないとは思うものの、その不安が拭えないっていうなら別に構わなかった。
だから最終的には「わかった。絶対別れないけど、とりあえずは聞く」ってところで落ち着いた。
「とりあえず、飯を食いながら話そう」と出前を頼みはじめれば、横でジョンハンが「ご飯とスープはあるよ」って当然のように言う。それから慌てて、子どもたちが食べられそうなものを探そうとするから、さっさと自分たちの分だけ頼んでしまった。
「ウジは辛いもの、苦手なのに」
そう言うから「子どもたちはシュアに預けたから大丈夫」と言えば、「借りばかり増えるじゃん。俺たち」って少しだけ落ち込んだようにジョンハンが言う。
今回だって相当迷惑をかけてる自覚もあるから、苦笑しながらも「だな」とだけ返す。
出前が届くまでの間に、ジョンハンがご飯とスープを用意してくれた。ウジがご飯好きだから、いつだって大量にストックがあるんだろう。
出前が届いた後は食べながら話せば、無意識にもジョンハンはニンジンやら玉ねぎやらピーマンやら、子どもたちが苦手なものばかりを食べている。
いつもそうやって、子どもたちが食べたいものを食べさせてやってるんだろう。
どこで何を食べてたって、子どもたちの顔が浮かんで、いつのまにか当然のように自分よりも子どもたちが優先されている。もうそんなの、ホシとウジにしてみればオンマみたいなもんだろう。
きっと違いなんて、母乳が出せなかったぐらいのはず。
「バカだな」
だからまたそう言えば、「知ってる。でも、ありがと」ってジョンハンは少しだけ嬉しそうに笑ってた。
別れ話なら慰謝料とか養育費とか生活費とか、そんなことだって言えばいいのに。
ホシとウジのことを考えて近くに住んで欲しいとか、学校の行事には参加して欲しいとか。全然自分の要望なんて一つもなくて............。
「全部本気だから」ってジョンハンが言うから、「知ってる」って答えておいた。
食が細くなったからか、それともわざと残したのか。余ったタンユスクをフライパンに入れて、ジョンハンはケチャップを混ぜて炒め始めた。子どもたちが食べやすいようにってことだろう。
そんな後ろ姿を見て、別れなんてやっぱり訪れるはずがない。だからその背中に向かって、「これが最後の別れ話だからな」って言えば、ジョンハンは振り返らなかったけど、小さく「うん」って頷いた。
The END
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