妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

ひとりでは超えられない夜がある

 

カムバ中だと言うのに濃厚接触者に認定されたと知った時、スングァンは「なんだよもぉ」って思わず文句を口にしてしまった。
そこにはメンバーしかいなかったから良かったけど、どんなに気をつけたって誰だって感染する危険性があって、だけど感染した人が責められるべきではなくて。
判ってる。そんなの判ってる。でも悔しくて、堪らなかっただけ。
すぐにちゃんと気持ちは切り替えたけど、どうしたって悔しかっただけ。
1人で出演してる番組もあって、迷惑かけてしまうと思って凹んだだけ。

物凄く当てられた感の強い、不慮の事故のような感じではじまった隔離生活だったけど、毎日誰かがVliveをして、全員でオンライン上でマフィアゲームだってやって、公式からも山ほど供給があって、そのお返しのように、出演もしてないのに音楽番組では1位を勝ち取ってくれたカラットたちがいて。

悔しさは残ってたけど、それでもどんな時でも前を向いて諦めない、カラットも含めた自分たちが自慢でもあって。

それなのに、自分の部屋で1人、目を閉じたら怖くなった。
いつか宿舎を出て1人で暮らし始めた時に隔離されることになったら、本当にたった1人で過ごさなきゃいけないんだってことに気づいてしまって。

同じ学校に通ってたチェジュの友達の中には、一人暮らしをしながら大学に通ってたり、もう社会人になってたりするから、そんな彼らだって何かあったら1人でどうにかしないといけないんだろうに。

でも考えれば考えるほどドキドキしてきて、スングァンは冷蔵庫に用もないのに水でも飲もうとキッチンに行く。でももう真夜中もだいぶ前に過ぎていたから、当然誰もいなかったけど。

「なんだよもぉ」

誰もいないから、強がって声に出してみたけど。
スングァンは自分の部屋には戻らなかった。
だって今はまだ宿舎にいて、1人じゃないから。

「ぉ? スングァニ? 何? どうした?」
「一緒に寝る」

ジョンハンの部屋どころか、ベッドの中にも勝手に潜り込んだら、もう寝てたジョンハンはちょっとだけ驚いたけど、すぐに身体を奥に寄せてスングァンの寝る場所を作ってくれる。

人肌の温もりとか、誰かの呼吸とか、気配だけでも安心する。1人じゃないってことでようやく、明日に向かって進める感じがするほど。

「カッコいい部屋でひとり暮らしする予定なのに」

悔しくてそう呟けば「人のベッドに潜り込んでくるようじゃ、無理だろ?」とジョンハンが笑ってた。

「ごめん、起こして」

返事はなかったけど、背中をポンポンと叩かれた。でもどうしても1人では超えられない夜があるんだって、もしも文句を言われたら言い返そうと思ってたのに、文句なんて一言も言われなかった。
気づけばいつ寝たのかなんて覚えてないほど。
起きたらジョンハンのベッドに1人でど真ん中に寝てて、いつのまにかジョンハンの枕も奪ってた。その時点でもはや面白くて楽しくなってきたスングァンだったけど、さらに楽しくなったのは......。

「なんだよ。お泊まり会するなら声かけてくれよ」

そう言って怒ってるホシがいたから。そうか、昨日のあれはお泊まり会だったのかって思えば、さらに面白くなって、楽しくなって。

それから珍しくウジも一緒に食卓を囲めば、ウジが「トイレ、誰がいってる?」なんて聞いてきた。
この宿舎のメンバーはこの4人で、全員がここにいて、スングァンは思わず「ヒョン何言ってんの?」って言ったのに、普通にジョンハンが「ジュニだろ?」と言う。

「ジュニヒョン来てんの?」
「夜中に来て、俺の部屋覗いてった。スングァニがいたから諦めたんだろ? ホシんとこ行った?」

口に何をいっぱい詰め込んでるのかホシがその問いかけにうなづいていた。

「ミンギュとウォヌが珍しく喧嘩したらしくて、ミンギュがディエイトんとこ行って、ウォヌがジュンとこ来て、それから夜中すぎにミンギュがジュンのとこまでウォヌ迎えに来てごちゃごちゃ煩いから逃げて来たって」

物を無理やり飲み込んだ後、一気にそう語ってくれたけど、スングァンが1人でなんだか辛かったのに、他のメンバーにも色々あったみたいだった。

「じゃぁ昨日1人で寝たのって俺だけじゃん」

珍しくもウジがそんなことを言うから、「やっぱりお泊まり会やろうぜ」ってホシが強固に主張していた。

そして夜。

どこからどう伝わったのかは知らないけれど、なんでかみんなが集まってくる。しかもパジャマ姿で。

「パジャマパーティって、で、何すんの?」
そんなことを言ってるドギョムとかもいたりして。

「なんだよもぉ」
今度は面白くなりすぎて、そう言ったスングァンだった。

 

The END
1888moji