LEFT&RIGHT
ひたすらチェハンソルが輝く
ヘンガレの世界の空は、見上げれば青い。時々は灰色。雨も降るし、雪も降るし、時々は雹も降る。
そんな中、太陽に負けじと輝いていたのは、チェハンソル。
ゲームで遊んでる人たちが、時々見上げて指さすほど、輝いていた。
まぁ、ゲームの世界なので、空を飛べる機能もあるにはある。
輝いているのは謎だけど。
何をしているかというと、数日前に皆に胴上げされて宇宙の星になってしまったホシを、連れ戻そうと頑張っているところだった。
胴上げされると宇宙まで行ってしまうのは、ヘンガレの世界のルールの一つ。
この世界のまわりを十周ぐらいしたら、勝手にゆる~く落ちてくるらしいので、放置しててもいいのだけれど、ちょうど真上に来たタイミングで太陽光線というのを浴びせると、少しだけ引き寄せられるらしい。
もちろんお金で一瞬で戻せたりもする。ゲームの世界のお金で3億ほどで。
しかし誰も「太陽光線」なんてものを出せるワザなんて持ってなかったというのに、バーノンにその機械をそっと渡してきたのはウジだった。
そんな機械を持ってるなら自分でやればいいのにとは言ったけれど、その太陽光線を出すには、物凄い気持ちをため込んでため込んでため込んで、対象物が真上に来たのを見計らって発射しなければならないらしい............。
「俺、時間ないし、面倒だし、そんなに気持ち込められないし」
と言われ、押し付けられたもの。
果たして自分にそれができるか............とは思ったものの、まぁやってみよう......と思ってやりだしたら、地味にはまっただけ。
ということで、ここ数日、バーノンはこの世界の空を飛んでいる。
そして時々必死になって、太陽光線を発射している。
そのたびに、ひたすらバーノンが太陽のごとく、輝いていた。
しかし誰もその理由を知らないという......。
もちろんバーノンも、それに夢中になるあまり、流れていくログなんて見てなかったから、リアルな世界でスングァンが誰かに襲われたことも、ドギョムが誰かを追いかけたことも、その場にジョシュアがいたことも、二人がその場を離れたことも知らずにディノが飛び込んで、勝手に闘いをはじめたことも、何も知らずに空だけを見上げていた。
平和と言えば平和。
だけどその手に握る「太陽光線」なる機械が、実はこの世界を一瞬で壊してしまえるほどの武器だとは、まったく知らなったけれど。
何せ「太陽の光を出せる機械」だから。
おかげ様で、ホシは大分地上に引き寄せられていた。多分次、太陽光線を浴びせたら、ほどほどに高いビルまでもうちょっとぐらいまでは、引き寄せられそうだった。
ひたすらチェハンソルが輝く世界。
世界を救う存在になるのか、破壊者になるのかは、まだ誰にもわからない。
The END
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