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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

ホンジス、実は黒幕説

LEFT&RIGHT


sevmin.hateblo.jp

 

ホンジス、実は黒幕説

結構走ったし、結構飛んだし、結構勢いよく道に飛び出すことだって数度。
ドギョムはようやく、はっきりとした男の声を捉えて、昔は小綺麗なカフェだったんだろうなっていう感じの店の外の壁に張り付いた。

「ユンジョンハンの情報ならなんだって買う。言い値で買う。モノがいいって言うなら、このリストから選んでくれればいい。ただ、すでに知ってる情報は困る。だから......」
「じゃぁ売るのは、ユンジョンハンがこの世界に居続ける理由......かな」

壁の向こう側では、まさにユンジョンハンの情報が売買されようとしていた。
声も、声以外の音も全て拾って、壁の向こう側の気配すら全てウォヌにそのまま流しっぱなしにしたまま、ドギョムは迷ったあげくにその店の中に飛び込んだ。
だって、ユンジョンハンの最大の秘密が誰かに売られてしまいそうになっていたから。

「そこまでだッ!」

と、勢いよく飛び込んだものの、自分で飛び込んだくせに一番驚いて「な、なんで?!」とか言ってたのもまたドギョムだった。
だってそこには、見知ったジョシュアがいたから。

「え? え? ヒョン、何してんの?!」

一人で驚いているドギョムの前には、いつも通りのジョシュアがいて、柔らかく笑ってた。

「なに? お前もユンジョンハンの情報売って小遣い稼ぎしたかったのか? でも、俺の方が早かったみたいだけど。情報を言い値で買ってくれるって話だけど、探してるモノがあるんだよ。水陸両用の車なんだけど、手に入れてくれないかな? それぐらい意味のある情報だと思うからさ。それが手に入りそうになったら、連絡を」

ジョシュアが買い手の男にそれだけ言うと、「はいはい。お前はひと足遅かったからダメだよ。退散するよ」とドギョムのことを掴んで店の外に連れ出した。そしてそのまま、ドギョムを連れてエリアごと飛んだ。

「え? なに? ヒョン。なんで俺のことまで連れて飛んでんの? いやそれより、なんでヒョンがハニヒョンの情報売ろうとしてんの?」
「売ろうとはしてるけどまだ売ってないだろ? それにお前こそなんで後先考えずに飛び込んでくんだよ」
「なんでって、ハニヒョンの秘密が売られそうになってたから」
「いや、秘密でもなんでもないじゃん。ずっとこの世界に居続ける理由なんて、親しくなれば誰だって知ってるだろ」
「ま、まぁ」

ユンジョンハンはこの世界にずっといる。それこそNPCと間違われるほど、ずっといる。
その理由はバカみたいな理由で、ただただログアウトしたら、自分一人では戻ってこれないから............。
ただただ、物凄いキカイ音痴なだけで、サーバーメンテナンスとかで強制的にログアウトされてしまった場合は、わざわざ誰かがログインを手伝ってやらなきゃ戻ってこれない。しかもエリアを超えて遊びに行くだけでも、元の場所に一人では戻ってこれない。
だから常にログインしっぱなしで、NPCと間違われようとも広場に放置してるだけのことだった。

だけどまさかそんなバカな理由だとは誰も思わないから、「不眠症で、ずっと起き続けてる説」とか、「誰かをいつも待ち続けている説」とか、「魂がヘンガレに溶け落ちて抜け出せない説」とか、ちょっとだけ謎な説が勝手に囁かれていたりする。

「いやだからってヒョン、なんで勝手に情報を売ろうとしてるんだよ。しかも変な人相手に」
「だからだろ。情報が欲しいっていうだけでも怪しいのに、言い値とくるし。だからさらに吹っ掛けて、相手の出方を待ってるんだよ」

いやなんだか、ジョシュアがそう言うと信じそうになる。
でも敵か味方か、かなり悩みそうにもなる。
だっていざとなったら本当に情報を売ってしまいそうだから。

「でも売ったとしても、リアルな世界の現住所とかじゃないじゃん」

そう言われれば、そうかも......と納得してしまいそうになるけれど、いやいやいやいや。
ドギョムの中では一瞬、ホンジス黒幕説が浮かんだけれど、それはすぐに霧散した。何せウォヌから「ドギョマ~、お前なんで突っ込んでんの? あそこにいたのがシュアヒョンじゃなかったらどうしてたんだよ」と連絡が入ったから。

「俺が動いてるのは、もちろんウォヌも知ってるよ」

そう言われて、ちょっとだけホッとした。
そうだよね。シュアヒョン、そんな人じゃないもんね......と、素直で、かなり人が良いドギョムはあっさりと騙される。

かなり本気でジョシュアが水陸両用の車を手に入れようとしていることなんて、微塵も気づいていなかったから............。

 

The END
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