妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

果たして誰が一番怖いのか

 

「ジョンハニヒョンでしょ。当然」

結構真面目な顔で、「当然」までつけてドギョムが言う。が、それはドギョムがジョンハンに負けまくっているだけだろう。

「ハニヒョンの下僕はドギョミだけだよ」

何気にヒドイことをディエイトが言う。だけど「確かに!」と全員が笑って、言われたドギョムも大爆笑してた。

ここには今、年下組の六人だけがいた。ドギョム、ミンギュ、ディエイト、スングァン、バーノン、ディノ。ただ車に乗るのに二組に別れただけのことで、移動中の車の中。バカみたいに笑ったり、ふざけあったり、そんなことをしてるうちに誰が言い出したのか、「果たして誰が一番怖いのか」って話題になったのだ。

一番に名前があがったのがジョンハンだったけれど、怖いとはちょっと違う気がする。すかさずスングァンが「ここでの話はここ限りだよ!」と言えば、素直なマンネ、ディノが「だってハニヒョン、怖いって言うより鬱陶しい感じじゃん」と暴言を吐いていた。

けれど誰も咎めたりなんてせず、皆で爆笑。

確かにジョンハンは怖い感じはしない。普段から「ヒョンが遊んでやるよ〜」みたいな感じで近づいてきて、「世界で俺のことが、一番好きだろ?」みたいなことを聞いてきて、自分が満足するまで構い倒して、飽きたらさっさと去っていく。

「はいはい、大好きだよヒョン」

何かしながらそんな風に答えようものならその後しばらくスネたりするから面倒だけど、やっぱり怖いのとは違う。

「クプスヒョンだよ! 統括リーダーだもん」

ミンギュ がクプスの名前をあげたというのに、「最近ハニヒョンにビビってるとこしか見てないよ」とディエイトに一撃されていた。そしてまた全員で爆笑。マンネのディノが笑いながらもその話題に口を挟まなかったのは、実はクプスに対してまだまだビビってるからだったりするから。だからディノだけでいうと正解はエスクプスなのだが、皆の口からは「いつも謝ってるし」「デレデレだし」「甘いし」と怖いとは真逆の意見しか出でこなかった。基本優しいからだろう。

「ウジヒョン!ウジヒョン!ウリジフニ万歳!」

テンション上がったスングァンがウジの名を出せば、さすがプロデューサーだからか、全員がそうかもって顔。

でもミンギュが素で「でも俺、ウジヒョン怖いと思ったことないよ。笑ってるか寝てるか食べてるかだし」と言い出して、またしても全員がそうかもって顔。

プロデューサー的仕事をしている時のウジは、妥協もしないし難しいことも言うけれど、だからって怖いのともちょっと違う。それにプロデューサーじゃない時のウジはいつだって、皆が驚くほどの速さで、一瞬の隙を見つけては寝てる。しかもどこでも。時々はミンギュの背中でも寝てて、そのまま運ばれても気づきもしない。

それはもう寝てるんじゃなくて身体が限界で気絶してるんじゃないかと思える時もあるほど。

でもそれ以外は皆が驚くほどに食べて、皆といる時は大抵が笑ってる。やっぱり怖いとはちょっと違う。

「シュアヒョンは?」

バーノンが言う。しかし一斉に皆から、「優しいの塊じゃん」とツッコまれて、バーノンも「まぁね」と即納得。

「でもヒョンの中で残ってるのって、あとはジュニヒョンとウォヌヒョンとホシヒョンだけだよ?」

ディノがたった三人なのに、指折り数えながら言う。

不思議な行動が多くて子供っぽい所のあるジュンだったけど、静かな時は静かだし、ゲームしてたり本を読んでたりしている時は、いつだって一つの場所でジッとしてる事が多い。謎に見つめてきて「なになになになに?」と思わされることは多々あれど、怖いのとはやはりちょっと違う。

基本ゲームしかしてないウォヌも、案外そのゲームを邪魔したって怒らない。黙って眠そうな顔をしてる時は、見知らぬ人から見たら確実に不機嫌だとか怒ってるとか言われるけれど、つきあいが長いからそんな誤解が生まれることもない。大抵は笑ってて、時々は怒るけど次の瞬間には笑ってる。だからやっぱり、怖いのとはちょっと違う。

そしてホシは、テンションが高い時も普通な時も低い時も、大抵は笑ってる。爆笑してるか微笑んでるかの違いぐらい。それに誰に対しても優しい。何故か年下組にはとっても優しい。マンネなディノにはさらに優しい。練習がスムーズにはじまらないと怒る時もあるけれど、怖いのとは全然違う。

 「じゃぁ誰も怖くないじゃん」

スングァンが面白くなさげに呟くも、ディエイトが「いや、怖い人、俺ちゃんといるよ」と言い出した。

皆がディエイトのその発言に「おぉ、誰? だれだれ?」と興味津々。なにせ何気に色んなモノもヒトもデキゴトも、一撃で沈めてしまうようなディエイトが、誰かを怖いというなんて............と。

「ウソみたいなうっかりを発動しすぎるキムミンギュに、心が広いのか闇が深いのか判らな過ぎるイソクミン.........俺はお前たちが怖いよほんと............」

しみじみとディエイトが言う。指まで差されて名指しで言われたミンギュもドギョムもキョトン顔。だけど次の瞬間には全員で大爆笑。

がしかし、全員が納得したかもしれない。ミンギュに対しては、スングァンがまず「こないださ、テレビ局の駐車場でさ」と言い出したから。

「先に車に乗って待ってたら、出てきたヒョンは普通の顔して見知らぬ車に乗り込んだんだよ。同じ車種なら間違えたって言われても信じるけど、車種も違えば色すら違うのに、勝手に乗り込んでさ。すぐに降りてくるならまだ判るけど、運転手さんに『間違ってますよ』って言われるまで気づかなかったっていうんだから。俺が思わず謝りに行ったよ」

ディノも負けじと言う。

「こないだは違うグループの楽屋で寝てたし、張り切って違うスタジオでスタンバイしてたし、その時はプロデューサーの名前も間違ったし、ウジヒョンのアラームを勝手に切って怒られてたし、自分が食べたいって言ったのをすっかり忘れて弁当に文句つけてマネヒョンにも怒られてたし、それから」

まだまだ続きそうだったので、「それぐらいにしといてやって」とドギョムが止めていた。

そんなドギョムも、ディエイトから「心が広いのか闇が深いのか判らな過ぎる」と言われていた。

ある意味優しすぎるからだろう。

いつだって笑ってる。時々は怒るけど、その後は決まって謝っている。もっと傲慢になってもいいのに、そんなことはできない性格なんだろう。

同い年のディエイトからしてみれば、『なんで笑うんだよ今! そこは笑うとこじゃないだろッ』ってことがたくさんあるのかもしれない。

「でも俺、ほんとに楽しいんだよ」

怒ってるディエイトにも、気を使ってくれるのだから困ったものだ。

「いやでも、そのディエイヒョンのツッコみ全般が鋭すぎて怖いよ」

ディノがディエイトの一撃の鋭さをツッコんで、やっぱり全員で「ほんとだ。そうだ」と爆笑。

「いや俺は最近のマンネの反撃力も怖いけど」

ミンギュがディノの成長ぶりを誉めたのか、嘆いたのか。それもやっぱり全員で「そうだそうだ」と爆笑。

「それならこの場で一人ニコニコしてるボノニも怖いわ。しかもスングァニしか見てないし」

ドギョムがスングァンの横でスングァンだけ見てニコニコしてるバーノンにツッコんだ。皆が「ほんとだ。違う世界にいる」と爆笑する中、何故かスングァンだけは照れていて、バーノンがそんなスングァンを見ながらやっぱりニコニコ優しく笑ってて。

なんだかんだと、気づけば見慣れた風景の中にいて、あと少しで宿舎にたどり着くって場所にいた。

果たして誰が............は結局わからぬまま。

しかし宿舎の前に車がついて、降りた瞬間。さっき車の中で「ここでの話はここ限りだよ!」と言ったはずのスングァンが、前を走ってた車から降りて待っていたジョンハンたちに向かって、「ハニヒョンが一番怖いって、ドギョミヒョンが言ってたよッ。チャ二は鬱陶しいってッ」と叫びながら走っていった。ドギョムが慌てて「いや、嘘だよ。違うよッ」と走っていく。当然その後ろをディノが「わー、ヒョン、違うよ違うよ」と叫びながら追う。

「いや、お前が一番怖いわ」

ミンギュが呟いて、ディエイトが笑い崩れてた。しかしバーノンはそんな裏切り者スングァンのことも、ニコニコと愛しげに見てるだけ。

「いや、やっぱりお前が一番かも」

ミンギュに面と向かってそう言われても、バーノンは肩をすくめて見せただけ。

果たして誰が一番怖いのか......。とりあえず、ドギョムとディノにとっては今はジョンハンだろう......。

 

The END
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