流れ星ピンナダについて
続きものではないけれど、ディノちゃんからはじめたセンイルおはなしが溜まって来たので、contentsページを作りました。
流れ星ピンナダ9
弟たちがあちこちに散って行くのを、ジョンハンは楽しそうに見てる。
時々はディノがぽかんと口を開けて考えている。多分何をどうしたらいいかが判らなくなってるんだろう。見てればウォヌがすぐに近づいていくから、何も問題ない。
スングァンがバーノンの後ろを追って行くのに、バーノンは気づかずに行ってしまう。プンスカ怒ってたのに、一定の距離が開くと途端にスングァンが哀しい顔になる。でもすぐにミンギュがバーノンに追いついて、少し離れた場所にいるスングァンのことを教えてやっていた。気づきさえすればバーノンがそのまま行ってしまうことはなくて、でも「方向別じゃない?」とは言っていたけど、スングァンが「途中まで一緒だもん」と嬉しそうに追いついていた。
放っておいたって、弟たちはいつの間にかしっかりしてて、何も問題ない。
97ラインの3人はいつだって楽しそうで。96ラインは的確に仕事をしてて。案外のんびりしてるのは95ラインの自分たちで。
まぁ時々ドギョムだけは勝手に傷ついたりするから、相変わらずフォローは必要だったけど。
「ジョンハナ~、帰りに待ち合わせしようぜ」
エスクプスがそう声をかけてくる。ジョシュアと3人で、仕事終わりに飲もうって誘いだった。
「おぉ」ってだけ答えて、荷物を持ってほどほどに走る。
体力のない自分のために、弟たちが近場の場所ばかりを譲ってくれるのを良いことに、ジョンハンはのほほんと走る。
願い事がたくさん降り注ぐ夜空の中を駆けるのは嫌いじゃない。
何も叶えてあげられないのに......と皆は言うけれど、そんなこともないとジョンハンは思ってたから。
高望みだろうと素朴なものだろうと、切実なものだろうと、誰かに叶えてもらおうだなんて本気で思ってる人はいないはずだから。ただ自分の気持ちを強くする、補強する何かにはなる気がする。
だからたくさんの願いを眺めながら、ジョンハンは「うん、きっと叶うよ。みんな、頑張れるよ」って気持ちでいるだけ。
きっとそんな受け止めをしてるジョンハンのことなんて、誰も知らないはず。でもそれでも、ジョンハンはそんなことも嫌いじゃなかった。
「ジョンハナ~」
なんでかいつだって、ジョシュアは先にいる。
「お前荷物ちゃんと運んでんの?」と言えば、「当然だろ」とジョシュアは言うけれど、かなり怪しい。
「なんでいつも俺が最後なんだよ」と言いながらエスクプスはやって来る。
「いや俺が知るかよ」とジョンハンは答え、「トロイからだろ」とジョシュアが言う。
もちろんそれでエスクプスは文句を盛大に言うけれど、2人からまぁまぁと言われつつ乾杯しようと言われれば、すぐに機嫌も治るけど......。
そして3人で乾杯できるのなんて最初の一回だけで、後はどこでどう聞きつけるのか、「ヒョンたちだけズルイよ」と誰かが絶対やってくる。
まぁそれにも、もう慣れた3人だったけど......。
The END
1208moji