「ハニヒョン愛してる」
そう言って近づいたきたのはスングァンで、「おぅ」っとジョンハンが答えれば、「ほらッ、クプスヒョンほらほら、ほらッ」となんだか騒がしかった。
どうやらエスクプスに「愛してる」って言われたスングァンは「ありがとう」としか返さなかったら怒られたらしい。
それで2人して「ジョンハンで試そう」って話になったんだとか。
「いやでも、スングァニの愛してるは本気っぽくなかったもん。俺だって真剣な愛してるなら、ちゃんと真剣に答えたけど」
そうジョンハンが言うもんだから、なんでか2人して「じゃぁジョンハンはノーカンで」とか言い出して、今度はジョシュアで試そうと移動していった。
「ハニヒョン、愛してる」
今度はウジが近づいてきてそんなことを言うもんだから、ジョンハンは「ぉ? ぉお?」となった。それから思わず外の天気とかを気にしたほど。
ウジは滅多とそんなことは言わないから。
案の定、「ホシが来たら俺はいないって言って」と言って、さっさとジョンハンの部屋のベッドの向こう側に隠れた。どうやら愛でウジはジョンハンに願い事をしたらしい。
バタバタとした足音がしたと思ったら、「ハニヒョン、ジフニ見なかった?」とホシが人の部屋のドアを勝手に開ける。
「見てないけど、もう出たんだろ。どうせ」
そう言えば、「うそ~ん」とか言いながらもホシがバタバタと去っていく。
少ししてから部屋の奥に向かって「行ったぞ」と言えば、「ハニヒョン愛してる。何も聞かないで」と言ってウジが出て行った。
愛してると言えば何でも許されると思っていそうで、そんなところがカワイイから許してしまう。結果やっぱりだから、ウジの「愛してる」は結構な力があるんだろう。
「ハニヒョ~ン。愛してる~ッ」
なんでか玄関辺りから叫んでるのはドギョムで、「俺、打ち合わせ行く」と申告してきた。
今はもう別の宿舎でしかも少し離れてるってのに、マネヒョンがこっちの宿舎に用事があるというからわざわざ部屋までついてきたと言う。
もう再契約もして決して新人でもなくて実績だって積んでるっていうのに、1人の仕事は未だに緊張するんだろう。
「俺も愛してる。それに、お前ならできるよ」
ハグして背中を叩いてやれば、ドギョムは嬉しそうに笑って、「行って来る」と言って出て行った。
きっとついでとか言いつつも、本気で応援する言葉が欲しかったのかもしれない。
今日はよく愛を貰う日だなとか思いながらも会社に顔を出せば、ミンギュとウォヌがいた。
そして2人して「ハニヒョン愛してる」って言って来るから、「何? お前らもクプスとスングァニにやられたの?」と笑ってやれば、「なんだ、もう知ってるんだ」と残念がっていた。
2人ともちゃんと、「愛してる」と答えて合格と言われたらしい。
しかも2人ともハグまで返して、真正面から「愛してる」と言ったから、謎にエスクプスにコーヒーを驕ってもらったらしい。
ウォヌは嬉しそうにニコニコしてるけど、ミンギュは悪戯顔でちょっとイヒヒヒって感じで笑ってるからピンと来た。
「お前、その情報リークしただろ」
そう言えば、「さすがハニヒョン」と笑ってた。
どうせチングなミョンホ辺りだろうと思って歩きはじめれば廊下の向こうの方から、アイスコーヒー片手に「イヒヒヒ」って、ミンギュと同じように笑いながら歩いてくるミョンホがいた。
「ハニヒョン愛してる。俺、クッキー買ってくれる人募集してるけど」
どうやら愛してるで何かが貰えると思ったらしい。
「俺も愛してる。気持ちだけで十分だろ」
とりあえずハグもしてやろうかと両手を広げるジェスチャーをしたら、「俺も愛してる。もちろん気持ちだけで十分だよ」とそれはあっさりと断られた。
そのまま真っ直ぐ歩き続ければ、ちょうどスングァンとクプスはジュンに「愛してる」チャレンジをしてたようで、「なんだよ。急になんだよ。俺は何にも持ってないぞ」と物凄く不審がられてた。
ジョンハンがそこに入っていけば、「ハニヒョン愛してる」とスングァンが言って来るから、「おぉ、俺も愛してる」と返してやれば、「ほら、ほらほらッ。ジュニヒョンこれだよ。愛は愛で返さないと」と力説してた。
「なんだよ。別にそんなことしなくたって、愛は愛だ」
でもジュンも負けてないけど。
そんなやりとりをしてる横で、なんでかエスクプスがジョンハンに抱き着きながら、「俺も愛してる」とか耳元で囁いてくるから、当然のように「俺は愛してないけど」って囁き返しておいた。
「は? なんでだよッ。愛は愛で返せよッ」
なんでかスングァン以上の熱量のエスクプスだったけど、ジョンハンは笑っておいた。
ちょっと押しつけがましいし、かなり見返りを求める愛が溢れていたけれど、さらにカオスな感じになったのは、物凄いダッシュでバーノンとディノがやって来たから。
誰からどんな情報を聞いたのかは知らないが、2人して「エデュラ、サランヘ」と口にして、次々にメンバーたちにハグしていく。
当然スングァンはニコニコ喜んでるし、マンネラインがカワイイと思ってるエスクプスもジョンハンも笑ってるし、ジュンだけは逃げようと必死だったけど、そこにミンギュとウォヌもやって来たから、さらに愛が溢れてビチャビチャだった。
「で? 焼肉行くんでしょ?」
何故かそんなことを言ったのはディノで、その場にいた全員が「は?」ってなったけど。
聞けば「だってシュアヒョンが、愛してるチャレンジに参加してハグもついでにしたら、肉ぐらいは食わせて貰えそうだけど」って言ってたもん......とディノが必死になって言う。
「いやもうお前だって1人で高い肉ぐらい食えるだろ」とジョンハンが言えば、バーノンも必死に「嫌だ。高い肉はヒョンたちに驕ってもらうともっと美味しい」とか言い出す始末。普段はスングァンから愛してると言われたって「おー」ぐらいしか返さないっていうのに。
後からジョシュアもやって来てエスクプスに詰められていたけれど、「だってミョンホが言ってたよ。愛してるチャレンジに参加したら、コーヒーとか好きなもの驕って貰えるって」と笑ってた。
ジョシュアはかなり盛りすぎだと文句を言われていたけれど、バーノンとディノのキラキラした目に負けたんだろう。肉を食べにいくことになり、ウジやホシにも連絡を入れ、ドギョムには仕事終わりに合流するように伝えて繰り出した。
全員で食べる肉は、それだけで美味かった。
それだってやっぱり、愛かもしれないと思えるほど......。
The END
2649moji