ジョンハンは最近よく泣く。エスクプスの前でだけだけど。
「歳取って涙脆くなったんだよ」
そう言って笑いもするけれど、堪らなくなると声も出さずに泣く。
「あぁ今回は俺、ダイエット必要ないわ」
そう言ってやっぱり笑いもするけれど、エスクプスが顔を冷やすようにと濡れたタオルを差し出せば、そこに顔を埋めて泣く。
昔から、自分のことでは滅多に泣かないのに、弟たちのことになると途端に涙脆くなる。
何もしてやれないから辛いんだと言うけれど、いてくれるだけで、どれだけ力になってるか。そう言えば「知ってる」って強気に笑うのに、それでもやっぱり、ジョンハンは泣く。
腕を痛めてても手術が必要と言われるまで長く耐えたりもする。自分のことには無頓着で、潔くて、捨て身にもなれるのに、弟たちは守りたいとか本気で思ってる。
「お前のことだって俺は守りたいと思ってるよ」
全員もう、子どもでもなくて、守られなきゃやっていけないような奴らでもないだろとエスクプスが言えば、ジョンハンは真剣な顔でチングなエスクプスのことも守りたいと思ってると言う。
「腕が痛い」
そう言って、ジョンハンはエスクプスにもたれてくる。
ウォヌの母親が逝ってからこっち、ジョンハンは常に体調が悪そうで、でもそれは体調というよりも気持ちが整ってない感じで。
「俺ら13人もいるのに、どれだけ親兄弟いると思ってんだよ」
ウォヌでさえ最近は普通に過ごしているように見える。でもそれが見た目だけだと判っているんだろう。
「でももう俺たち、家族じゃん」
ウジだってメンバーを思って、ウォヌを思って、カラットたちまで思って泣くのに、俺が泣かない訳がないじゃんと、なんでか威張ってジョンハンが言う。
やっぱりジョンハンは笑うのに、同じ雰囲気のまま泣きもする。
エスクプスはそんなジョンハンを抱きしめて、「でもお前も幸せに笑ってくれてないと、弟たちが悲しむんだって」って言えば、それもまたジョンハンは「知ってる」って言う。
「だからお前の前でだけ泣くんじゃん」って。
ほぼ同じ身長なのに、ダイエットもしてないのに痩せてしまったその腕は、驚くほどに細い。
手術をして、踊れない曲が多少あって、「俺ラッキーかも」とか笑って言うくせに、やっぱり同じ雰囲気のまま、「あぁでも、本気で抱きしめてやれないんだよ」ってジョンハンは泣く。
「バカだな」
エスクプスがそう言えば、「バカだよ」って言いながら。
誰よりもセブチを愛してる男は、バカみたいに泣く......。
The END
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