注意......
日頃から妄想を書いてますが、さらに妄想となっておりますので、ご注意ください。
クパン(両親?)と、ホシウジ(子供=小学校1年生頃)設定の301号室と、
ジョシュア(保護者)と、ディノ(永遠の5歳児)設定の302号室と、
ウォヌ(社会人)とミンギュ(大学生)の、兄弟?設定の303号室。
1階で花屋さんを営んでるドギョムとか。
そんな彼らのおはなしですが、それでも良ければどうぞ............
今がその手を離す時
小学校の校門までたどり着けば、いつもジョンハンはホシとウジが校舎に消えるまで見送って帰っていくのに、ジョシュアはディノが校舎に消えるのを見てから、そのまま校舎に向かって歩いていく。
最初は教室まで手を繋いで通っていたっていうのに、1人で教室まで行けるようになったから。まぁ途中で気になるものを見つけてしまうと寄り道してしまうし、小学校の中に子犬が入り込んだ時にはついて行ってしまって大変なこともあったけど。
だけどその日はジョンハンが「俺が今日は行くわ」って言ってそのままディノを追って行ってくれた。教室の外でディノが落ち着いて授業に参加できるかを見守ってくれるんだろう。
だからジョシュアは来た道を戻った。
久しぶりに会ったその人は驚くほどにキレイだったから、きっと幸せなんだろうと思うとホッとした。
ジョシュアが戻ってくると思っていたのか、それともずっと待つつもりだったのか、その人は同じ場所に立っていて、ジョシュアが歩いてくる姿をじっと見てた。
思わず向かい合ってから、お互い言葉を探したかもしれない。だってお互い、それぞれの気持ちの中に相手に対する言葉なんて持ってなかったから。過去も、今も、そして未来も。
「自分の子どもなのに、はじめてちゃんと、声を聞いた」
ディノが歩いて行く背中を見送ったままのような視線で、小学校の方を向きながらヌナが言う。
何度もこの時を想像してた。いつか、気づかれるかもしれないって。勝手にディノを連れ出したことを。罵られるのか、お礼を言われるのか、それとも何も言わずにディノを奪い返そうとするのか............。全く予想ができなかった。
でも確実に言えるのは、もっと早く現れていたら、ジョシュアはディノを手放していたかもしれないっていうことで、今はもう、絶対に手放せないってことだけだった。
「うちの子も、小学校に通いはじめたの。それでやっと、あの子のことを思いだした」
思い出せば堪らなくなって、会いに行ったという。でもそこにはもうディノはいなくて、探そうとしたら父親に止められたという。
自分が知らない間に、実の父親とジョシュアの間で交わされた自分の息子の話に普通なら怒るだろうが、気づくまでの時間を思えば怒る権利なんて、とっくの昔になくなっていたと言うヌナはそれでもやっぱりキレイだった。
だから「でもヌナ、今、幸せなんだよね?」ってジョシュアは聞いた。
だって決して恨んでる訳でも、責めたい訳でもないから。ディノは今幸せに楽しく暮らしてる。ジョシュアのことも、周りにいる人全てを幸せにしてくれて、毎日毎日、輝くように生きているから............。
「自分が幸せだから、あの子が不幸せだったら堪らないって思ってた。でもあの子が物凄く幸せそうで、そうしたらもっと堪らなくなった。私が幸せにしてあげなきゃいけない子だったのに。あの子の手だけは離しちゃいけなかったのに」
ヌナは泣いて、でも最後までディノを返してくれとは言わなかった。
少し離れた場所にいた車が近づいてきて、ヌナはその車に乗って帰っていった。
ジョシュアも最後まで、ディノの話はしなかった。またとも、いつかとも言わなかった。
The END
1328mji