LEFT&RIGHT
へ、へへへへ
絶対に口にはしないけど、それでも愛されてると思うのは、死神みたいな感じで何故か地面からヌヌヌヌと現れたウジが全てを無に還す直前に、ホシのことをバリヤで包んで守ったから。それがヘンガレの世界の出来事。
それからリアルな世界で横から手が伸びてきたと思ったら、勝手にログアウトされた。
瞬間、ホシはヘンガレの世界から消えた。
文句は色々言うけれど、実はほとんど怒ったりしないウジだってことは、長い付き合いで知ってる。今だってホシのことは無視してパソコンに向かい続けているけれど、怒った素振りは見せてなかったし、ウジの飲みかけのコーラを勝手に飲んだって何も言わなかった。それがリアルな世界での出来事。
それからウジはヘンガレの世界に居続けながらも、リアルな世界ではウォヌと連絡を取り合っていた。
「the8が吹っ掛けたあの言葉で、もう一回来るだろ。シュアヒョンなら釣れるだろ?」
ウジとウォヌが話す言葉のほとんどは、ホシにとっては意味が判らないけれど、何かに熱中してる時のウジは嫌いじゃない。
「スニョア」
「お~ん?」
「親父さんからヘンガレのIDとパスワード借りて、30分後にユンジョンハン前な」
「親父の? それなら最初にログインするの手伝ったから、お前が知ってるじゃん」
「ぇえ~い。あんな初期パスワード、いつまでも使ってる訳ないだろ」
「いや、絶対そのままだよ。俺の親父だもん」
パスワードは予想通り、初期のままだった。それでも使うってことを連絡しとけと言うもんだから久しぶりに親父に連絡したら、ヘンガレの世界のことすらもう忘れてた。
なんだかんだとウジの指示に従ってたら、思いっきり命を狙われていた。まぁヘンガレの世界でだけど。
最悪殺されたって、今は使ってない親父のだし......と思っていたら、飄々として見えて、やっぱり負けず嫌いなんだろう。リアルな世界で横からウジが、「死んだら絶交だかんな」とか言ってくるから............。
ヘンガレの世界で、ホシが逃げる。
撃たれたって、ナイフを投げつけられたって、何故か火炎放射器みたいなものまで出てきたけれど、ギリギリで避けて逃げていた。
「ジフナ~、これ、俺反撃していいの?」
「アンデ。お前が反撃したらうっかり殺すだろうが」
そんなことをリアルな世界で話しながら逃げ続けてるからか、なんだかニヤニヤしてきたホシだった。
「ウッジマッ」
横から笑うなとウジが言うけれど、どうしたって笑いが止まらない。だって、何度となく「絶交」してきたけれど、いつだって持って一日だったし、どの絶交の理由もバカみたいな理由ばっかりだったから。
ヘンガレの世界では逃げ続けながらも、思わず「ヘ、ヘヘヘヘ」ってリアルな世界で笑いはじめたら、止まらなくなってきた。ジフニに怒られる......と思ったけれど、なんでか一緒にツボにはまったらしく、横でジフニまで笑い転げだして、なんだか二人でヒーヒー言って笑いはじめてしまった。
もちろん、逃げ続けたけど、多少は甘くなったかもしれない。
「あ、ヤバイ。親父が死ぬかも」
そう言えば、リアルな世界で横から殴られた..................。
The END
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