妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

ん、お疲れ

LEFT&RIGHT


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ん、お疲れ

一時間後にミンギュがユンジョンハンとしてログインする」

ウォヌがそう知らせたのは、ジョシュアにだけだった。
ヘンガレの世界はまだざわざわしてたし、ドギョムはビビってた。いつ自分のもとにもあの状態のウジが現れるかと「ど、ど、どうするよ。俺どうするよ。あぁ? うぇ? ぁああああ?」と一人バタついていた。それからディノは、怒ったウジをはじめてみたからか、「比じゃないじゃん。比じゃないじゃん」と、これまたビビってた。

どうやら、比較対象が見つからないぐらい恐ろしいと言いたいらしいが、全然言葉になってなかった。

「とりあえずヒョンがちょっと見てくるから。ホシの欠片ぐらい、拾ってやらないとだし。瓦礫の掃除、後少しだろうけど、任せてもいいか?」

物凄い笑顔なのに、ジョシュアが怖いことを言う。
ドギョムもディノも、目の前にいるジョシュアが実は一番怖いんじゃないかと思いつつも、ウジの怖さにまだビビってるからか、そんなジョシュアに素直に頷くだけだった。

それから一時間の間にジョシュアがやったことと言えば、『求む水陸両用車』って、ヘンガレの世界で呟いただけ。
このバタついたヘンガレの世界で今、その言葉に引っかかるとすれば、ジョシュアがそれを求めた相手だけだろう。多分確率は、かなり高い。
ジョシュアが異様に落ち着いていた頃、物凄い心の中でバタバタしてたのはミンギュだった。
まぁそりゃそうだろう。僅か一時間で、ユンジョンハンからパスワードをどうにかゲットして、それからユンジョンハンのふりしてヘンガレに入らないといけないだなんて、どんだけ無理難題をふっかけるんだよ......って感じだから。

「お、おっとけ............」

どうしようどうしようどうしようどうしようと頭を悩ませてるミンギュの前では、スングァンがお泊りグッズなんて何も持ってないと言っていたりして、そうすればさらっぴんなパジャマが並べられて、好きなものを選んでいいと言われ、驚きつつもちょっとだけ嬉しそうにスングァンが「お、おっとけ......」って悩んでるところだった。

ゲストルームも見に行って、「一人ベッドだ」とスングァンが喜んでいた。
当然のようにエスクプスもジョンハンも、「一人ベッド」の意味が判らなかったけれど、済州の実家では姉二人と三段ベッドを使ってたらしく、一段だけのものはスングァンの家では「一人ベッド」と呼ばれているらしい。

ちなみに三段ベッドとは、普通の二段ベッドの下にもう一段あって、一番下のベッドは引き出し式だったりする......とスングァンが身振り手振りで説明すれば、「すげぇ、カッケぇ」とクプスが何故か羨んでいた。

そんなことをしてたら、一時間後なんてあっという間に迫ってきていて......。
もちろん知らないからしょうがないけれど、それなのにスングァンはゲストルームのシャワー室を見て、凄いバスタブまであると感動しきりだった。

だいたいゲストルームなくせにクローゼットもあるし、部屋の中に部屋があるし、当然ながらトイレもシャワー室もあるしで、テンション爆上がりでなにやら楽しそうで、車イスを押してるジョンハンも、そこにいてただ押されて移動してるだけのエスクプスも、スングァンが何かに感動するたびに楽しそうに笑ってた。

「ヒョンッ」

裏庭にある温室プールも見に行くってことになり、何故かおうち見学ツアーがはじまっていたけれど、とりあえずミンギュはジョンハンを捕まえて、「ごめん。ちょっとヘンガレに行きたいんだけど、ヒョンのパソコン借りていい?」と真っ向勝負に出た。

「おぉ、クプスのパソコンの隣りにあるから、勝手に使っていいよ」

ジョンハンがそういうのに畳みかけて、「ヒョンのパスワードも教えて」とも口にした。きっと「パスワード? なんで教えなきゃいけないんだよ」って言われると思ったけれど、それならもう土下座でもなんでもして、ウォヌヒョンから頼まれたんだよって言えばいいかと開き直ったというのに、「パスワード? 俺が覚えてる訳ないじゃん」とあっさり言われてしまった。まぁよくよく考えればありそうなことではあったけど。

「え? ヒョンじゃぁパスワード、どうしてるの?」

そう聞けばありえないことに「パソコンに貼ってあるよ。俺覚えてないけど。ディスプレイの下のとこ」と言われ、いやいやいやいや、セキュリティ的にどうよってツッコみたかったけれど、しかしこの家に誰かが忍び込めるとは到底思えないから、問題ないのかもしれない。

かなりドキドキしたけれど、きっかり一時間後、ミンギュはユンジョンハンとして、ヘンガレにいた。
なにやらいつもの場所が焼け跡のようになっていたのにはビビったけれど。

「ん、お疲れ」

目の前にはジョシュアがいて、ミンギュの苦労を判っていたのかのように、笑ってくれた。
だから思わず「ヒョ~ン」って言いかけたというのに、「今から来るうちの、どっちかがホシで、どっちかが犯人だから。絶対ホシの方とだけ会話して」と言われ、言葉を失ったミンギュだった。

どういうことかも理解してないのに、目の前には本当に男の人が二人現れた。
どちらもおじさんで、どっちかがホシだというけれど、それがどっちかなんて、どうやって判ったらいいのかも判らないってのに.........。

 

The END
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