妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

ヘ、ヘンガレでだよね

LEFT&RIGHT


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ヘ、ヘンガレでだよね

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ヘンガレの世界がワントーン暗くなったのは、システムエラーが起きたからなのか、それとも暗黒世界みたいな空気をウジが出したからかは判らないけれど、一瞬でヘンガレの世界から弾き出された人の多くは、再ログインの際にパスワードを求められる画面が表示された。

多分、ほとんどの人がそこに、ヘンガレにログインするための自分のパスワードを入力しただろう。そしてそのパスワードは誰も知らないシステムの一部に蓄積されたけれど、もちろん極一握りの人間しかそれを知らなかった。

そしてパスワードを入力するのを躊躇った一部の人は、躊躇ったことが記録された。
警戒心が強いだけの人なのか、何か理由があるのかは、のちのち誰かが判断するのかもしれない。

ヘンガレの世界でそんなことが起きてるだなんて全く知らなかったのは、エスクプスとジョンハンと、ミンギュとスングァンだけ。

ミンギュともども今日はお泊りするって話になって、親戚の家でやっかいになってるスングァンに皆が心配するだろうから電話しとけって話になって、「でも、おじさんもおばさんも家にいないし、ヒョンたちはケンカしたから、多分二人とも友達のとこで泊まってくるだろうし、だから連絡する必要なんて全然ないんだけど」というスングァンの説明に、納得していいものかを真剣に悩んでたクプスたちだった。

スングァンの家は貧乏である。

とりあえず、全員がそれを理解はしたけれど、ちゃんとした「貧乏」を知らないもんだから、それが普通レベルなのか、物凄いレベルなのか、はたまたそこそこレベルなのかが判らなかった。

ベランダが自分の部屋だなんて、なかなかないというのに、物凄い嬉しそうにあっけらかんとスングァンが言うもんだから、そういうのも流行りなのかもしれない......とまで思う始末で。

でもスングァンが言うには、「自分はとってもラッキーなんだ」っていうことだった。
済州の地元の大きな祭りで歌ったら1番をとって、それが課外授業として認められて高校の推薦が貰えて、そこまででもラッキーすぎるのに、中央政権に打って出たいという地元の政治家さんの腕試しに使われたのか、何故かソウルの有名高校の特待生扱いで入学できることになっていた。

済州でのんびり育ってしまったために、高校受験なんて真剣に考えていなかったところに、受験が免除されると聞いてスングァンは喜んだし、両親たちは学費が全額タダだと聞いて、両手をあげて喜んだ。

ソウルには父親の妹夫婦が住んでいて、スングァンのことを喜んで迎えてくれた。
済州の家も、ソウルの家も貧乏だったけど、だからって困ったこともなければ、虐げられたことなんてない。もちろん辛いなんてこともない。
都会の学校では勉強についていけないし、一緒にバレーボールをしてくれる友達はいないけど、ヘンガレの世界では、一緒になって走り回ってくれる仲間がいたから。

スングァンがそう言えば、「スングァナ~」とジョンハンがスングァンを抱きしめる。なんだかもう、そこはヘンガレの中と一緒というか、空気感はいつも通りで、全然今日はじめて会った人の家の感覚がなくて、気づけば全員で笑ってばかりいた。

そんな中、ミンギュにかかってきたのはウォヌからの電話。
珍しくもミンギュが「ちょっと」と席を立った。

『ユンジョンハンのパスワード、どうにかゲットして。今からちょうど一時間後に、お前がユンジョンハンとしてヘンガレにログインして。』
「は?」
『色々あって..................。ウジがキレて、ホシが消された。説明ははしょるけど、一時間後に色々動き出すから』
「え? え? え? ウジヒョンがキレた?」
『あぁ、一瞬で消された』
「..................へ、ヘンガレでだよね」
『多分な』

どっちがよりホシヒョンにとって不運なのかは判らないけれど、ジョンハンのパスワードをどうにかゲットしなきゃいけないっていうのに、ウジがキレたってことの方によりビビってたミンギュだった。

 

The END
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