妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

DK。左か右か。運命の分かれ道に立つ

LEFT&RIGHT


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DK。左か右か。運命の分かれ道に立つ

ドギョムは今、かなり困った状況だった。
左に行くか、右に行くか。
十三人もいるのに、今は一人。いや実際には、真横にキムミンギュが立っている。ただいるだけで動きはしないけど。まぁそれでもそのデカさとサングラスに隠された目のお陰で、まわりに睨みは聞かせられている。それにミンギュの斜め後ろには、なんてことのない木箱に腰を下ろして、本に視線を落としているディエイトもいた。ただこちらも全く動かず。その本がめくられることもないから、実際にはその場にいないんだろう。

ここは『Heng:garae』という名の、ゲームの世界。
ミンギュもディエイトも、ログインだけして放置してるっていう状態。それをドギョムが頑張って、コソコソ話してるふりとかして、その場に二人がいるって感じを装っていた。

何せ、「リアルでスングァニのとこにミンギュが走ったから。そっちはそっちで誤魔化しといて」という、ウォヌからの連絡で、この世界に今いるっていうのを装っているから。

「ディエイトが今ジュニんとこ行ってるから。そっちも誤魔化して。後、なんか情報拾ったら逐一こっちに流して」

ウォヌからの連絡は、簡単なようで複雑で、そして面倒で、ドギョム一人でどうにかできるもんじゃなかった。
何せさっきから変な輩たちに囲まれている。
謎にキムミンギュに近づきたい輩と、謎にディエイトを遠めに見ていたい輩と。
でもこの世界の中では、近くにいなくても会話が拾えたりもする。
どこかで誰かが「ブスングァンが」と言えば、ドギョムの耳が聞き漏らすことはない。

小芝居しつつもそんな情報収集もしていたら、どこからか「ブスングァンを見つけた。これで天使にたどり着ける」っていう声を拾った。

『金はいらない。天使だけが欲しい』
『俺たちは天使はいらない。金だけでいい』

あぁ、変な輩が、そこにも二つ。一つは確実にグループだろう。俺たちって言ったから。もう一つは判らない。
拾った声をそのままウォヌに流したけれど、「IPがつかめない。ドギョマ、近づけるか? せめて同じエリアまで」と言われた。

ミンギュとディエイトを置いて行ってもいいか、少しだけ悩んだところでウォヌから「ウジが今からそっち行くから、ひとまずミンギュとディエイトは放置で大丈夫」と連絡が入った。

左に行くか、右に行くか。
同じエリアと言ったって、それぞれの声は別々のエリアでやり取りされていたから。

だいたい、この状況を作ったのはキムミンギュのせいだった。と、ドギョムは思っている。
何せ、それでなくても誰からも天使だと思われている自称NPCのユンジョンハンのことを、「ハニヒョン、リアルの方が美人じゃん。なにあれ......。リアルであんな人間、存在する?」と言ってしまったから。
しかもうっかり、『Heng:garae』にログインしてる全員に会話がオープンになった状態で......。

冗談だったと大げさにならない程度には火消しをしたけれど、元から変質的にユンジョンハンを追いかけてる人は少なからずいたんだろう。

結果、一番捕まりやすいスングァンが狙われて、そこから現実世界でもユンジョンハンに辿れると妄信してる輩が、やっぱり少ならからずいるんだろう。

右か。左か。どっちに行けばいいのか。
あぁなんだか、ちょっとした運命の分かれ道な気がしないでもない。
後になってあの時あっちを選んでいたら......って思うことになるような、そんな分かれ道。

「右へ行け。飛べッ」

本気でキョロキョロして悩みだしたドギョムを一瞬で動かしたのは、突然現れたウジだった。迷うことなく「右へ行け」と言う言葉に。ドギョムは飛んだ。

それは『金はいらない。天使だけが欲しい』と発した輩がいたエリアで、決めればドギョムの行動は早かった。

 

The END
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