サンタクロースたちたちたち
サンタクロースな彼らのおはなしのcontentsをつくりました。
湯けむり旅情編
春なんて、サンタクロースにしたらまだまだのんびりしてて最適なバケーション時期だと言い張って、温泉旅館に予約したのは95ラインの3人だった。
部屋に露天風呂がついてるやつがいいと言ったのはジョンハンで、豪華な食事が食べられるところがいいと言ったのはエスクプスで、秘境は嫌だけど自然の中にあって都会の喧騒が届かない場所にある宿がいいと言ったのはジョシュアだった。
オプションがいっぱいあるといいと言ったのはジョンハンで、グレードアップがあるといいと言ったのはエスクプスで、他の客の気配が感じられない方がいいと言ったのはジョシュアで。
それを全部聞いたうえで宿の場所から予約からを引き受けてくれたミンギュが、「いやヒョンたち、次からは自分たちでやってよね」と文句を言っていたほど。
まぁでもお土産は凄いぞって言えば、喜んで手伝ってくれたけど。
「いい? ヒョンたち」
そう真面目な顔をして言ったのはディノだった。
旅先で羽目を外しすぎて、自分たちがサンタクロースだってバレちゃダメだからねとディノは真剣に言っていたけれど、「バレたら何かあったっけ?」とジョシュアは首を傾げてたし、「俺サンタクロースとか言ったって、変なヤツだと思われて終わりだろ」とジョンハンも言ってたし、「割引聞くなら言ってもいいけど」と欲深いことを言ったエスクプスがいた程度。
ディノ的にはしっかり伝えたよ......って感じだったって言うのに、95ラインの3人は浮かれてて、そんな話半分以上は聞いてなかった。
旅行なんて旅の準備をするところからして楽しいっていうのに、3人とも全然そんな素振りも見せず。
「何時の飛行機なの?」
そう聞いたウォヌに、「え? 俺らトナカイで行くけど」と普通に答えて引かれてた。
「ウソでしょ? ヒョンたち、自分たちで飛んで行くつもりなの?」とジュンも驚いていたけれど、「だって俺ら飛べるもん」と当然のように答えた3人がいた。
まぁ確かにソリがあれば荷物も楽々持っていけるし、帰りにはお土産を山と買ったって楽々持って帰って来れる。
「でもほら、向こうにいる間は? どうするつもり?」
サンタクロースが多く暮らす場所ならトナカイが多少うろついてたっておかしくはないが、異国の、しかも情緒豊かな場所ではトナカイは目立つだろう。
「大丈夫だろ? ちょっと遠目に見たらシカかなぁって思って貰えるだろ」
物凄い大雑把なことを言ったエスクプスに、「マジャマジャ」と言いあうジョンハンとジョシュアの作る空気は和やかだったけど、それを聞いた弟たちの空気はかなり微妙だった。
何かあったら頼りになるヒョンたちだけど、残念ながら何もないとかなり緩い。そして自分たちに非常に甘い。もちろん弟たちにも甘いけど。
「俺らほら、お揃いの浴衣も作ったんだ」
そう言って見せてくれたけど、漆黒のエスクプスに、ダークブラウンのジョシュアは判るけど、なんでかジョンハンのそれは真紅だった......。
「め、目立ち過ぎじゃない?」
ドギョムが驚いてそう言うのに、「なんだよ。俺は赤が似合うんだよ」とジョンハンは言い張る。まぁ確かにサンタクロースだから赤は似合うだろう。だけど......。
「いいだろ。別に、ギリセーフだろ。海外からの旅行客の男が赤い浴衣着てたって」
全然ギリアウトだと思うけど、ジョンハンは俺は似合うと言い張るし、お前は似合うとエスクプスも言うし、みんな好きなのを着ればいいよとジョシュアも言うし......。
「絶対バレるよ。それ以前に、色々やらかしそうな気配がプンプンする」
ディエイトが冷静に言う。
心配性だなぁって笑ってるのは95ラインの3人だけで、「バレたら何か罰則ってあったんだっけ?」と言い出したスングァンと、「誰がバレたか判断するんだよ」と言い出したバーノンと、「そりゃ子どもたちの夢を壊すかもしれないんだから、何かはあるよ」と言うディノと......。
マンネラインは結構真剣だったというのに、それを傍目に「大丈夫だって。俺らサンタクロースなんですって言ったって、今の時代誰が信じるんだよ」とエスクプスが堂々と言うのに、ジョンハンもジョシュアも笑ってそうだそうだと同意する。
なんて夢のないサンタクロースなんだって感じ。
「でも飛んでいった時と飛んで帰る時に誰かに見られるかもしれないし、このご時世、動画撮られたら終わりな気がする」
ディエイトが言うのに弟たちが全員頷いた。しかし95ラインの3人はどこ吹く風。
「宇宙船が普通に飛んでる動画とか、宇宙人が歩いてる動画とか、世の中に山とあるじゃん。凝った動画作ったなって思われて終わりだろ」
ってことらしい。
「温泉たまごを持って帰ってきてやるからな」とエスクプスが言えば、「温泉まんじゅうも買うぞ」とジョンハンが言う。それからジョシュアが「温泉のお湯自由にお持ち帰りくださいっていうのもあるんだって。これがあるから俺ら、トナカイで行くことにしたんだよ」と自慢気に言った......。
「え?」「は?」「ん?」「なに?」「どういうこと? どういうこと? ごめんどういうこと?」
弟たちが驚いている中、なんでかディノだけは理解できなかったようで、逆に慌ててた。
「自由にお持ち帰りくださいって書いてあるところで、ガバッて持って帰る人、あんまり見たことないよ?」
とりあえずそう言ったのはジュンだったけど、「なんだよ自由なのに?」「それに温泉は勝手に沸いてるやつだろ?」「誰かが頑張った結果出てるお湯ならそりゃ俺たちだって少しは遠慮するけど」と、エスクプスとジョンハンとジョシュアが言う。
そこまで聞いてディノも理解したんだろう。
「ヒョンたち、それでもダメだよ。遠慮とか、ほどほどとか、それなりとか。サンタクロースなのに俺ら、強欲が過ぎるのは間違ってるよ」
ディノの成長を喜ぶ96ライン以下のヒョンたちを他所に、「だって俺ら13人もいるのに」とエスクプスが言う。
まぁ確かに遠慮してたりほどほどにしてたりしてたら、到底13人分はゲットできないだろう。
いやしかしそれならせめて、自分たちは温泉を本場で楽しむんだから、持ち帰る分は10人分でいいんじゃないだろうか......。
そう思ったのか、「でも自分たちにはお土産いらないよね」とディエイトが言えば、「いやまぁでも判るけど」とドギョムが言って、「温泉が枯れたらどうすんだよ」とミンギュも言った。
サンタクロースなのに強欲が過ぎるとマンネラインが口を揃えていたけれど、「サンタクロースが強欲だと何が悪いんだよ」と、開き直ったジョンハンがいた。
あっちこっちでてんやわんやな状態になっていたけれど、「注目、注目、みんな注目〜」とホシが叫べば、一応みなが静かになった。
しかしホシが何か言う訳でもなかったようで、その代わりに「とりあえず」と口にしはじめたのはウジだった。
この一連の状況を考えて、95ラインの自由気ままな状態を放置できないと思ったんだろう。
ウジが言ったのは、行きは96ラインが送っていく。お土産の温泉は96ラインがほどほどに貰って帰る。帰りは97ラインが迎えに行く。その時もお土産の温泉をほどほどに貰ってくる。2回に分けたらさすがに強欲な感じにはならないだろうし、人も変えるから同じ奴らが根こそぎ持っていった感も出ないだろうし、95ラインが自分たちで行ってトナカイたちを放置してシカだと言い張る事態も起きないし、そもそも95ラインが温泉をゲットするために使う時間も旅行時間に使えるようになって、すべてはきっとwin-winだろう。
なにより温泉だって95ラインが貰うより、もう少し遠慮がちに貰うはずだから。
ほぼほぼ全員がおぉ〜と言い、良い案だと認識されたというのに、今度はマンネラインがズルいと言い出した。
自分たちだけ行けないなんて......ってことだろう。
「いやそもそもお前らは最初から旅行関係ないんだから、ズルいとか関係ないだろ」
エスクプスがそう言えば、「ヒョン何言ってんの? もう話しはほぼ全員で行く状態になってんのに。どうせクユズだってクチルズだって、行ったついでに日帰り旅行とか地元の料理とかを楽しむに決まってるじゃん」とスングァンに猛烈に抗議されていた。
こんな時、プンスカ怒るのはスングァンで、謎に甘えた目を向けてくるのはバーノンで、「ひょぉ〜ん」と、その一言だけを言い続けてどうにかしてこようとするのはディノだった。
まぁそんなマンネラインに勝てるはずもない。
だから送って行くのは96ラインで、迎えに行くのは97ラインで、途中に行って95ラインに奢って貰うのがマンネラインという、謎な枠組みになったけど、ひとまず全員が満足顔だったから、話はようやくまとまった。
まぁそれも、エスクプスが自慢げに、「俺ら大人な店にも行くんだよ〜〜〜ん」とか言い出すまでだったけど............。
湯けむり旅情編 The END
土産物屋編
96ラインの4人は、95ラインの3人を送ってクリスマスでもないのに夜空を駆けた。トナカイたちと。
真夜中と明け方のちょうど真ん中ぐらいに旅先へとたどり着いたのに、こんな時間でも問題ないとばかりに95ラインの3人は楽しそうに出かけて行った。
日の出を見られるスポットがあるらしく、そこで夜が明けるのを待つという。いつの間にやらミンギュに作ってもらったお弁当まで持って、浮かれた感じの95ラインがいなくなる。
そして96ラインの4人は、サンタクロースだというのに真っ黒な姿でご自由にどうぞ的な温泉をコッソリと汲み始めた。
ウォヌは効能が書かれた説明書きを熱心に読んでいる。ウジにスマホで写せばいいだろとか言われてたけど。
ジュンはその温泉の元が誰かの家の水道とかじゃないだろうかと疑っていた。ホシがそれなら俺ら水泥棒じゃんとか言って笑ってたけど、ウジにもウォヌにもジュンにも、「シーーー」と言われてた。全員、結構盗人な気分だったのかもしれない。
夜が明けるまでには、結構な量の温泉をソリに積み込み、あとはさっさとズラかるのみだったというのに、「お土産買わなきゃ」と言い出したのは珍しくもウジだった。
「だって俺、オンマに温泉に行くヒョンたちを送ってくるって言っちゃったもん」
そうしたら当然のようにウジのママは、「ママは温泉まんじゅうでいい」と言い出し、「パパには適当に絵ハガキとかでいいんじゃない?」とも言われたらしい。
「俺も言った。ヒョンたち送ってきて、温泉を盗んでくるって。でも別にお土産は頼まれなかったけど」
ホシもそう言った。
「俺は何も言ってないけど、ウジとホシの両親が知ってるなら、俺らんとこにも情報は流れるに決まってるじゃん」
ウォヌがそう言う。優しい母は文句なんて言わないだろうが、でもしっかりと当然のように何か貰えるはずと手を出すだろう。
「俺も言ってないけど、でも弟のために、何かは買う予定だった」
ジュンが言う。もう弟だって小さくはない。時々しか会えないから会うたびにデカくなって驚くほどなのに、それでもジュンはどこに行ったって弟へのお土産だけは買う。
それを96ラインは当然知っているから、元からお土産屋さんには行く予定だったんだろう。
「とりあえずソリを隠そう。でもほんとに、トナカイ見つかってもシカだなって思って貰えるのかなぁ」
ホシが言う。
「無理」ウジが一言で切って捨てる。
「シカにも見えないしな」ウォヌは笑う。
「大きさも気配も、結構なにもかも違うし」でっかい角がある真似をして、ジュンも呆れてた。
95ラインのヒョンたちはほんとに......って気持ちになったんだろう。
だから4人は最悪は順番で土産を買いに行けばいいって話になって、着々とお土産を買う段取りをたてていた。気持ち的にはパッと買ってささっと帰ろうって感じだったのに、温泉街の土産物屋の数におののき、土産物屋の中で謎に色んなものがあるのにおののき、謎に高いことにもおののき、そして気前よく色んなモノをお試しで食べてよいと知って足が止まり............。
まさかそんなことになるとは、想像もしてなかった普段は出来る方の、96ラインの4人だった。
「え? ジュニ、お前何食べてんの?」
大人しいと思ったら、ジュンが何かを食べている。そしてお茶まで貰ってて、土産物屋さんだというのに椅子にまで座ってる。
「お金払った?」
ウォヌが聞くのにジュンは首を振る。
「なんでお金払う前に食べるんだよ」
ホシが慌てて、「食べてから払うシステムなのか?」とキョロキョロしてたけど、「違う。これはお試しだからどうぞって」と言い出した。
「バカジュニ、お試しって普通は、一口分とかなんだよ。なんでお前そんなガッツリ食べてんだよ」
珍しくウジだって慌てたほど。
だってなんでかジュンは、ガッツリと何かを食べているから。
それはもしかしなくても、色んな人にどうぞっていう入れ物を勝手に抱えて食べてるんじゃないか疑惑が持ち上がって、3人の中ではすぐにそれが確信に変わる。だってジュンだし............。
「お金ないからいいですって言ったら、お金はいらないんですよってくれたんだよ」
ジュンがそう言うのに、3人が残念な視線をジュンに送る。
「言葉が判らないふりをしたら許してくれるかもしれない」とホシが言えば。
「いや素直に、全員で謝れば許してくれるかもしれない」とウォヌが言えば。
「ちゃんと金を払えばいいだろ。どれだけ食べたか知らないけど」とウジが言う。
当然ジュンは「ヤー」とテンション高く怒ろうとしたけれど、店の中だからって3人から一斉に「騒ぐなって」とか「シー」とか「黙れ」とか言われてた。
でも結局、数分後には4人揃って店の中にあるベンチ的な場所に座ってた。
全員お茶を片手に、もう片方の手には結構な量の食べ物を手に。いや本当に「どうぞどうぞ」と色んなものを次から次へと渡されて、あれよあれよと並んで座らされて、一口食べればどれも美味しくて。
「俺ら、騙されてるんじゃない? これ、あれじゃない? 店を出られないヤツじゃない? すっごい高いお金払わないと、店から出れないの」
ホシが言うのに、ウジが結構真剣に「そうかも」と言う。
「いやでも、お店のおばさんみんな優しくて親切そうだけど」
ウォヌはそう言ったけど、「みんなその道のプロなんだもん。羊の皮をかぶった狼ってこういう時に使うんだよきっと」とホシがそう言うもんだから、またしてもウジが「そうかも」と言う。
いや全体的に間違ってはいるけれど、「でも美味い」というジュンの言葉に3人は素直に頷いて、「でも俺ら、最悪トナカイ呼んで空に飛んで逃げればいいじゃん?」とか言い出して、いざとなれば食い逃げしようとも話し合った。
やっぱり全体的に間違っている。
お菓子もお漬物も、小さなケーキみたいなものまで、次から次へと色々食べた。お茶だって色も味も違うものまで飲んだ。
それでも結局お金を取られることもなく、申し訳ないから何か買おうかと真剣に悩み始めた4人に、あろうことかお店の人は、これ買うつもりなら、隣りの隣りの店の方が安いからとまで教えてくれて、どうゆうカラクリなのかが良く判らなくなってきて......。
「俺らこれ、親切にする作戦で次の店で身ぐるみ剥がされるんだと思う」
ホシがそう言えば、やっぱりウジも「そうかも」と言い、「うん、どっかで精算されないと」とウォヌも言い出して、ジュンも不安になってきたのか、自分の服を抑えてた。
しかし隣りの隣りのお店でも、やたら似たようなものではあったが色んなものを出されて饗されてしまった。
どこで誰がどうやって儲けてるのか、温泉街の仕組みすら疑いだしたころ、「もしかしたらさ、温泉みたいに、食べ物が湧き出してる場所があるのかな」ととんでも発言をホシがした。
いつもなら「お前バカだろ」とか言うウジが、貰ってしまった小さいオニギリをじっと見て考え込んでいる。
「ないとは言い切れないよな」ウォヌも言う。
「まぁサンタクロースな俺らがいるし」ジュンも言う。
「なら俺、それも持って帰りたい」
温泉が湧いていてご自由にどうぞなら、食べ物が湧いてる場所もご自由にどうぞなはずだとホシが言う。さすがにキレイなパッケージはないだろうが、そんなことは気にしないとも。
バカなのか素直なのか、細かいことは気にしないのか大雑把なのか。
でもそんなホシが96ラインの進むべき道を決めることは多々ある。今回もそうだった。
ホシは素直に店の人に、「あの、これって、どこから出てくるんですか?」って素直に聞いてみた。
本当ならそこで「え?」とか言われるはずなのに、店の人は快く、しかも笑顔で、「あぁこれは、この店の横から裏道に出て」と説明してくれた。
親切すぎるとは思ったものの、まだまだ騙されないぞとも思ったものの、それでも4人は言われた通りの道を行く。
でもたどり着いたのは工場っぽい場所だったけど。
そこは生産工場だった。と、4人が知るのはまだ大分後のことだった。作る時にでる端っことか、多少の失敗作を格安で売っていた。
「これさ、絶対出てくる場所を隠してるんだよ。でもそれだと周りからの批判が出るから、格安で売ってるんだ」
ホシが断定する。
ジュンはなるほどなんて頷いている。
ウォヌは笑いながらそれもしょうがないと言う。
ウジだって、恩恵を受けられるのは地元の人間だけなのかもな......とか言っていて。
生産工場の周りをずっとウロウロしてたからか、やっぱりそこでも焼きたてを良かったらどうぞと親切に食べさせてもらったりもして、「ほら、温泉と一緒で、出てきた時はあったかいんだよ」と最後までホシは間違っていた。
いやでも、温泉が湧いててご自由にどうぞな世界なんだから、そんな勘違いだって生まれるかもしれない。
結局色んなお土産は買ったけど、最大の勘違いをお土産に帰っていった96ラインの4人だった。
いやでも、しっかりしてる方の4人だというのに......。
よもやまばなし 土産物屋編 The END
船頭多くして船山に登る編
山に登ってみたいって言ったのはディエイトだった。
散策程度ならいいよと言ったのはドギョムだった。
あ、こっちがハイキングコースみたいって言ったのはミンギュだった。
ササッと登って帰ろうと言ったのはディエイトで。
じゃぁショートカットしようかと言ったのはドギョムで。
あ、じゃぁ近道はこっちみたいって言ったのはミンギュで......。
結果、3人は道なき道を行き、見知らぬ土地の山で迷った。
なまじサンタクロースだから油断したんだろう。だっていざとなったらトナカイたちに助けて貰えるし。
そして事実トナカイたちを呼び出したけど、誰も来なかった......。
「そうじゃん。お土産とか山もりになったから、先にトナカイたちだけ1回戻したんじゃん俺ら」
ドギョムが慌ててそう言った。
欲をかいて「温泉のお湯を俺たちも汲んでおこう」と言ったのはディエイトで、「96ラインのヒョンたちは案外慎重派だからお土産全種類網羅とか絶対してないって」と言ったのはミンギュで。
大量に色々買ってソリに積み込み、トナカイたちを1回戻し、トナカイたちが戻ってくる間に俺らは自然を満喫しようって話になったんだった......。
いやでも最悪、まだ95ラインのヒョンたちがいる。まさかのまさかのまさかの時にはそっちにヘルプを出そうと話し合い、もう少し自然を満喫することにした3人だった。
「こういう時は太陽を追いかけて歩くんじゃなかった?」と言ったのはドギョムで。
「水に沿って歩くんだよ」と言ったのはディエイトで。
「一旦山を登って上から降りる方向を決めよう」と言ったのはミンギュで。
誰一人正解はわからないというのに、「じゃぁカウィバイボッ」と元気に口にしたドギョムにつられて3人でじゃんけんをした。
97ラインは基本明るい。基本お互いの意見を尊重する。謎にプラス思考で、謎に現状を楽しむことを第一に行動する。
多少困ってたって、困ってることを認めなきゃ困ってないのと一緒じゃない? 的なことを本気で思ってたりする。
じゃんけんに勝ったのはディエイトだったけど、肝心の水が見つけられず、太陽を追いかけてたら山の頂上についた。
3人の意見はすべて通ったけれど、結局問題解決には至らなかった。残念ながら山の頂上に着いた時にはあたりが薄暗く、下山するための道を見つけられなかったし......。
こんな時、「ハニヒョ〜ン」と情けない声を出すのはドギョムだった。
ディエイトとミンギュは「まだ早いって」「バカやめろって」と止めたけど、「だって俺ら遭難してるもん」とドギョムが言えば、2人だってそこはかとなく感じてはいたんだろう。
ちょっともの悲しげな、そして困ってることが丸わかりのドギョムの声が、ジョンハンに届かないはずがない。
結局97ラインの3人は、空を飛んで様子を見に来たジョンハンとエスクプスに助けられて、夜空をこっそり飛んで地上に舞い戻った。
「何してんの? お前ら、俺らを迎えにくる時にくるって言ってなかった?」
エスクプスにそう言われ、3人揃ってエヘヘと笑う。
「お土産買うのにちょっと早く来たんだよ俺ら」
ミンギュがそう説明する横では、ジョンハンにケガとかないのかと心配されてるディエイトとドギョムがいた。
「これからどうするんだ? 泊まるところは?」
そうエスクプスが言うのに、今度はディエイトが「大丈夫。24時間営業のカラオケルームに行くから」と答えてた。当初から遊びながら夜を越す予定だったからだろう。
「明日はどうするんだ?」
まだ明日だって帰る日ではない。だからエスクプスがそう聞いた。それにはドギョムが「滝行? 俺ら明日は」と謎なことを言い出した。
「違うよ滝登りだよ」とミンギュが言う。
「え、滝をくだるんじゃなかった?」とディエイトが言う。
「あぁじゃぁ滝を登って滝をくだる、アクティビティなんだな」とジョンハンがまとめて理解した。
ドギョムの滝行だけ無視されていたけれど、言った本人だって多分判ってなかったはずだから、まぁ問題はない。
「多分明日にはトナカイたちも戻って来るから、全然心配ないよ」
ミンギュがにこやかに言う。
金はあるのかとか、徹夜でカラオケして翌日に水系のアクティビティは辛くないかとか、エスクプスが心配する横で、「ほらあれ、ほら、あれ」と言い出してるジョンハンがいて、全然単語は思い出せなかったけれど、ジョンハンが言いたいのは水系のアクティビティだからちゃんと、何があっても大丈夫なように浮くやつを持っていけと言いたかったらしい。
「はいはい、安全対策のあれね」と、ミンギュはしっかり理解した。
「あぁ、浮くやつね」と、ディエイトはだいたい理解した。
「ん? あれかな?」と、ドギョムは多分......、全然違うものを思い浮かべたかもしれない。
でも元気に97ラインの3人は、エスクプスとジョンハンに「ヒョンたちまたね」と手を降って、夜の町へと消えてった。
遭難しかけたというのに、異様にハイテンションで元気でめげてなんてないのは、やっぱりサンタクロースだからかもしれない。
24時間営業のカラオケにはパーティルームなるものがあった。別にそんな部屋を希望した訳でもないのに「ちょうど空いてるんで、通常料金にしときますから」と言ってくれたのは、ミンギュの爽やかな見た目があったからかもしれない。
壁には楽しげなパーティグッズの色々があって、派手な音と明かりと流行りの歌と、何故か小さいながらに舞台まであった。
最初は1時間ほどカラオケを楽しんで、あとはゆっくり仮眠を取ろうって言ってたのに、テンション爆上がりになったのはしょうがないだろう。
とりあえず歌う。それから踊る。色んなグッズの中にはマジックセットなんてものもまであったから、誰かが歌ってる間に誰かが必死に練習して、それを披露する......なんてこともまでやっていた。
カツラもあった、当然衣装もあった。
「俺、お姫様いってみるわ」
と何故かディエイトが言い出した。
謎にチャレンジャーではあるが、97ラインの中で結構先頭を行くのはディエイトかもしれない。
「じゃぁ俺お医者さん?」
そう言ってミンギュが白衣を手に取れば、「じゃぁ俺ナースかぁ」と言ったドギョムがいた。
いやもう全然「じゃぁ」の意味が判らないけれど、3人はそれだって楽しんだ。
「いや、俺たちいつ寝るの?」
そうドギョムが言った時には、すでに朝になっていたけど............。
まだまだ元気ではあったけど、脳細胞は多少死んでたのかもしれない。
「ハニヒョンが言ってたあれ、俺ら買わなきゃ」
そう言ったのはドギョムだったけど、当然あれが何だったかはあやふやなドギョムだったし、ちゃんと理解してたミンギュだって多少どうでもいいかなって気にもなっていたんだろう。
カラオケ屋の隣りにあった、圧迫感の半端ない商品陳列方法で有名な店があり、そこでミンギュはとりあえずと浮き輪を買った。ディエイトは何かと悩んだ結果、水泳用のメガネを買った。それを見てたドギョムはなるほどと思って、なんでか巨大シャチを買った。一応浮き輪とは書いてあったけど、多分役立たないだろう。そして邪魔にしかならないし、なんなら膨らます奴がないと大きく育たせることすらできそうにない。
3人は本日楽しもうとしてるのが本当に滝行だったとしても滝登りでも滝下りでも、多分邪魔にしかならない。
ちなみにディエイトが悩んでたのは日焼け止めとで、でも海じゃないからと却下したらしい。
色々間違っている3人だったけど、何故かお弁当も買って、そしてまた滝行か滝登りか滝下りを楽しむために、山に登った......。
「今度は大丈夫だよ。だってほら、経路図あるもん。ただの山登りじゃないもん」
ディエイトが言う。
それにミンギュもドギョムも頷いて、いっぱい荷物を持って3人は登り始めたけれど............。
「眠たいから早く行って帰ろう」と言ったのはドギョムだったかも。
「じゃぁ俺ら、ショートカットする?」と言ったのはディエイトだったかも。
「でもこれ、昨日と同じパターンじゃね?」と言ったのはミンギュだったかも。
ギリギリミンギュが昨日の出来事を思い出させたというのに、「大丈夫だよ。だって経路図あるもん。これ見たら次の道が判るから、ショートカットできそう」とディエイトが言い、「とっとと滝に打たれよう」とドギョムが言い、「ま、どうにかなりそうだな」とミンギュが言い......。
意気揚々と道を外れた3人は、当然のように迷った。しかも眠たすぎて山道で寝る暴挙に出て、半日後にはドギョムがまた「ハニヒョ〜ン」と叫ぶこととなり......。
まぁデカいシャチは良いお土産になったらしいが、ジョンハンの言うアレではなかったようで、それも含めて95ラインの3人からは怒られていた。
いやでも次の日には自分たちのソリがお土産を置いて戻ってきたもんだから、「これでもう俺たち、何があっても大丈夫じゃない?」とか言い出したディエイトがいて、「お、そうかも」とか言ったミンギュがいて、「やっぱり滝行っとく?」とか言ったドギョムもいて............。
謎に前向きな97ラインの3人だった......。
はじめてのお使い編
スングァンとバーノンとディノの3人は、とあるカフェの前にいた。
どこかでお茶にしようという話になった時、思わず日和って世界的に有名なハンバーガー屋さんでもいいって話になったけど、「いやでもせっかくだから」と言い出したのはバーノンだった。
格子戸の引き戸。店の入り口がもはや違う感じだった。
慣れたらなんてことはない、和カフェなだけかもしれないけれど、店の中に入るだけでも小さくディノは「お邪魔します」と言ってしまったほど。
ありがたいことにメニューは写真付きだったし、困ることがないようにとカードはウジがくれたし、現金もあった方がいいとお金はウォヌがくれたし、お金は落とすかもしれないからと分散しとけと別の財布を渡してくれたのはジュンだった。
ホシは何もくれはしなかったけれど、必殺技だと「スミマセン」を教えてくれた。
困った時にも、間違った時にも、謝る時にも、誰かを呼ぶ時にも、お礼代わりにも、とにかくなんでも「スミマセン」と言っておけばどうにかなるという魔法の言葉だった。
騙され感はあったけど、それでも1番有益だったのはホシのその情報だったかもしれない。
写真付きのメニューで頼んだというのに、全然違うものが来た。説明するとなると難しそうなそれも、メニューの写真と現物を指さしながら「スミマセン」と言えば、お店の人の方が理解してくれた。
通されたテーブルよりも、外にあるテーブルに移動したいとバーノンが言い出した時だって、そこを指さして「スミマセン」と言うだけで通じた。
もはや店の人だけじゃない。メニューに載ってない何かを食べてた人たちにだって、「スミマセン」と言いながらそれを指させば、なんだかんだと教えてくれたし、見知らぬ人たちは親切にもメニューにないものの注文だって手伝ってくれた。
それでホクホク笑顔になったのは、3人ともだった。
もはや「スミマセン」を使いこなしはじめた3人には、怖いものはなかったかもしれない。
ちょっとだけおどおど風情で「スミマセン」と言うことも覚えたし、笑顔で「スミマセン」で押し通すことも覚えたし、遠くの人だって「スミマセ〜ン」と言えば止まってくれるのだって覚えてしまえば、3人はもはや向かうところ敵なしみたいな状態だった。
「お土産は俺ら買う必要ないよね?」
ディノが言うのに、「うん。ヒョンたちが山ほど買ったから、俺等は自分が欲しいものだけ買えばいいって」とバーノンが答える。
当然マンネな3人は、俺等も温泉を持って帰った方が良くない?みたいなことは一切考えなかった。
「プリクラ撮りたい」
さっきから何かを見てたスングァンが言ったのはそれで、お店の入口にあったおすすめスポットの地図をゲットしたらしかった。
「俺はこれが行きたい」
バーノンが指さしたのは、ブリキのオモチャが自分で作れるという工房だった。
「俺はこれとこれとこれがいい」
マンネらしく希望を全部口にしたのはディノで、古い映画館でアニメのリバイバル映画をしてるっていうのと、でっかいソフトクリームが食べられる店と、流しそうめんだった。
マンネラインの良いところは、何も否定しないところだろうか。とりあえずどうやったら良い感じに回れるかと考える。映画は時間が決まってるからと1番最初に時間が決まった。その前にプリクラを撮って、映画見て、ソフトクリーム食べながら歩いてブリキのオモチャを作りに行こうってことになった。
意気揚々と出かけるはずが、問題は結構すぐに起こったかもしれない。
カフェの支払いが後払いだったから油断したけれど、持たされたカードが使えなかった。ピッてするだけなのに、エラーが出たから。でも今から行く場所もカードなんて使えそうにないから現金はとっておきたいって話になった時に、「あ、俺、シュアヒョンからラビットカードを貰ったよ」とか言い出したのはディノだった。
ウサギ好きのジョシュアから貰ったからラビットカードなんだろうと、スングァンとバーノンは納得したけれど、「ラ、ラビットカード使えますか?」と言えば使えると言う。普通のカードと何が違うのかは判らないが、それもピッとやったら支払いはできた。
3人はホッとして「おぉ、さすがシュアヒョン」ともなったけれど、その後もジョシュアのラビットカードは使えるところでは使いまくった3人だった。それがラビットではなくデビットだとは露知らず............。
まぁいいだろう。
でもまたもや、問題は起こった。
なにせプリクラはラビットカードなんて使えず。現金、しかも小銭だったから。
いや都会のプリクラはさすがに電子マネーが使えるが、ちょっと田舎のプリクラは昔なままだなんて3人が知るはずもない。
でも可愛いのもカッコイイのも、それでも結構あって、温泉地のプリクラだからか家族で楽しめそうな、小さい子どもだって喜びそうなものまであった。
しかもせっかく覚えた「スミマセン」攻撃をしたくても、人がいない......。
そう、プリクラが撮れるところは無人だったから......。
もちろん両替機はあったけれど、幾らお金を入れても弾かれる。
3人が持ってたお金は1万円札で、両替機には1000円札が必要だったからだけど、そんなの、3人が気づく訳もない。
「「「............」」」
3人揃って沈黙したけれど、別に落ち込んだ訳じゃない。
ちょっと考えて、それから「先に映画行こう」と言い出したのはディノで、「さすがに映画館には人がいるだろうから」と続けたのはバーノンで、「お金でお金をゲットしよう」とスングァンも続ける。
そうと決まれば3人の動きは早かった。
多少の問題はあっても、考えて乗り越えて、終わり良ければいいんだよと3人で言い合って移動する。
そして無事映画館について、ちゃんと人がいて、「スミマセン」攻撃だって役立った。
チケット3人分をまとめると安い......ってこともなかったから、1人1万円ずつもって、チケットは1枚ずつ買った。それからポップコーンセットやチュロスセットも、1人1万円ずつもってそれぞれが買った。
ディノが管理してたお財布はお釣りでパンパンになったし小銭が増えた分だけ重みも増したけれど、その分気持ちもテンションも確実に増えただろう。
そして映画は楽しかった。なんと客席には3人しかいなくて、わーわーわーわー言いながら見れたから。途中スングァンとディノは大声で歌ったし、バーノンはポップコーンをおかわりして、映画を楽しんだ。
そして崩したお金を持ってプリクラに再挑戦し、当然勝った3人がいた。
さすが家族連れも多い温泉街のプリクラ。謎に動物園のもあって、なんでか虎と一緒に檻の中にいる写真が撮れた。動物と一緒なだけで十分満足なのに、なんで檻の中に入ってるのか意味不明なところで笑った3人は、水族館なプリクラでは鮫と一緒に写真を撮った。当然3人とも鮫の真下にピッタリとくっついて、コバンザメになって撮った。
順調にブリキのオモチャも作り、バカデカソフトクリームも食べた。
ほぼほぼ順調で、「俺ら完璧じゃない?」と全員でテンションがあがる。
そして残すところは流しそうめんだけだった。場所柄当然のように最後になったそれは、山の中の川を挟んで、川の対岸からそうめんが流れてくるという、本当の流しそうめんを知ってる人からしたらちょっと謎な、だけど知らない人にしてみれば楽しいかもしれないものだった。
そして人気はあるらしい。
かなりの時間をかけて山に登らなきゃいけなくて、流しそうめんは一瞬で終わるっていうのに。
「終わりだよって合図で、最後はさくらんぼが流れてくるんだって」
ディノが頑張って流しそうめんの説明を読む。それにスングァンもバーノンも「凄いじゃん」と、何が凄いかも微妙ながらも楽しそうに答えてた。
そして3人は意気揚々と山を登り始めた。
結構な山道だったけど30分もかからないと、説明には書いてあったけど、そいうのの時間は大抵ホントじゃないというか、ちょっとオマケされているというか。
15分も歩いて、「ヤバイ。間に合わないかも」とディノが言う。まぁ遊び過ぎたってのもあるかもしれないが、元から予定を詰め込みすぎていたっていうのも原因だろう。
「ショートカットしよう」そう言い出したのはスングァンで、「クレ」って止めもせずに頷いたのはバーノンで、「うん。俺らなら行けると思う」と謎に自信に満ちた発言をしたのはディノで......。
97ラインが遭難しかけた話を聞いていたらそんな選択はしなかったかもしれないが、残念ながら97ラインはただただ楽しかったことだけを弟たちに聞かせていた。だって本当に楽しんでいたから。
そうして前向きなとことか、明るいとことか、元気なとことか。ちょっと抜けてるとことか。良いところ以外もヒョンたちによく似てるマンネラインの3人は、当然のように15分たっても20分たっても、流しそうめんはコチラと書かれた場所なんかには辿り着けなかった......。
まぁ救いなのは97ラインと違ってそんなに頑張らず、早々にディノが「クプスヒョンッ、シュアヒョンッ、ハニヒョンッ」とヘルプったからだろう。
そして当然のように95ラインのヒョンたちがディノの声を聞き逃すはずもなく......。
まだ夜でもないのに、クオズのヒョンたちはトナカイに乗ってあらわれた......。
自分たちの暮らす、サンタクロースだらけの場所でもないっていうのに......。
「流しそうめんに行きたかったけど、時間がなくて」とディノが必死に説明してるのを、ジョシュアが笑って聞いていた。
「俺らショートカットしたはずなのに、なんか違う場所に出たんだよ」とスングァンが近道が全然近道じゃなかったんだと自分たちのせいなのに何故か文句を言い出して、ジョンハンはそれに笑って頷いていた。
「いやでもヒョンたち、なんでトナカイ連れてんの? 助けてもらっといてあれだけど」
1番ボーッとしているように見えて案外鋭かったのはバーノンで、97ラインの3人ですらドタバタしていて気づかなかったことを指摘して、エスクプスに苦笑いをさせていた。
「いや相談した結果?」ジョシュアがちょっと言葉を濁す。
「そうそう。熟考したもんな、俺ら」ジョンハンが嘘くさいことを言う。
「それにほら、トナカイはやっぱり鹿っぽいし」エスクプスもそう言ったけれど、「でも鹿は飛ばないけどね」とバーノンに一撃されていた。
まぁでもそのお陰で97ラインだってマンネラインだって助けに来られたんだと言われて、まぁそっかで終わってた。
バーノンは鋭かったけど、別段だからといって突き詰めたりはしない。まぁ性格だろう。
そして素直なだけが取り柄の、いやいや、素直なところも可愛いマンネラインの3人は誘われるままに95ラインが止まってる宿にお邪魔した。
翌日には96ラインのヒョンたちが迎えに来るのに、一緒に帰ろうってことらしい。いやでも97ラインも何故か来たけど。
そして全員で流しそうめんを食べたけど。
なんでかルールを理解してないドギョムだけが、「どうやって終わるの? ストップって叫ぶの?」とか慌てていたけれど......。
春なんて、サンタクロースがのんびりする季節。
なんだか大量に色んなものを持ち帰っていたけれど、別段盗っ人扱いはされなかったから、問題ないだろう。
ただし、ひなびた温泉街には謎な飛行生物が話題になってたり、鹿じゃなくてヘラジカが出たとか、シシ神様が出たとかも噂になっていたが、まぁそのうち消えていくだろう。
サンタクロースたちたちたちの、ある意味冒険だった旅はこうして無事に? まぁ無事に膜をおろした。
帰りに空を駆けながら、「夏はどこ行く?」なんて恐ろしい話をしてたけど............。
はじめてのお使い編 The END
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