妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

春のサンタクロースたちたちたち

 

湯けむり旅情編

春なんて、サンタクロースにしたらまだまだのんびりしてて最適なバケーション時期だと言い張って、温泉旅館に予約したのは95ラインの3人だった。
部屋に露天風呂がついてるやつがいいと言ったのはジョンハンで、豪華な食事が食べられるところがいいと言ったのはエスクプスで、秘境は嫌だけど自然の中にあって都会の喧騒が届かない場所にある宿がいいと言ったのはジョシュアだった。
オプションがいっぱいあるといいと言ったのはジョンハンで、グレードアップがあるといいと言ったのはエスクプスで、他の客の気配が感じられない方がいいと言ったのはジョシュアで。
それを全部聞いたうえで宿の場所から予約からを引き受けてくれたミンギュが、「いやヒョンたち、次からは自分たちでやってよね」と文句を言っていたほど。
まぁでもお土産は凄いぞって言えば、喜んで手伝ってくれたけど。
「いい? ヒョンたち」
そう真面目な顔をして言ったのはディノだった。
旅先で羽目を外しすぎて、自分たちがサンタクロースだってバレちゃダメだからねとディノは真剣に言っていたけれど、「バレたら何かあったっけ?」とジョシュアは首を傾げてたし、「俺サンタクロースとか言ったって、変なヤツだと思われて終わりだろ」とジョンハンも言ってたし、「割引聞くなら言ってもいいけど」と欲深いことを言ったエスクプスがいた程度。
ディノ的にはしっかり伝えたよ......って感じだったって言うのに、95ラインの3人は浮かれてて、そんな話半分以上は聞いてなかった。
旅行なんて旅の準備をするところからして楽しいっていうのに、3人とも全然そんな素振りも見せず。
「何時の飛行機なの?」
そう聞いたウォヌに、「え? 俺らトナカイで行くけど」と普通に答えて引かれてた。
「ウソでしょ? ヒョンたち、自分たちで飛んで行くつもりなの?」とジュンも驚いていたけれど、「だって俺ら飛べるもん」と当然のように答えた3人がいた。
まぁ確かにソリがあれば荷物も楽々持っていけるし、帰りにはお土産を山と買ったって楽々持って帰って来れる。
「でもほら、向こうにいる間は? どうするつもり?」
サンタクロースが多く暮らす場所ならトナカイが多少うろついてたっておかしくはないが、異国の、しかも情緒豊かな場所ではトナカイは目立つだろう。
「大丈夫だろ? ちょっと遠目に見たらシカかなぁって思って貰えるだろ」
物凄い大雑把なことを言ったエスクプスに、「マジャマジャ」と言いあうジョンハンとジョシュアの作る空気は和やかだったけど、それを聞いた弟たちの空気はかなり微妙だった。
何かあったら頼りになるヒョンたちだけど、残念ながら何もないとかなり緩い。そして自分たちに非常に甘い。もちろん弟たちにも甘いけど。
「俺らほら、お揃いの浴衣も作ったんだ」
そう言って見せてくれたけど、漆黒のエスクプスに、ダークブラウンのジョシュアは判るけど、なんでかジョンハンのそれは真紅だった......。
「め、目立ち過ぎじゃない?」
ドギョムが驚いてそう言うのに、「なんだよ。俺は赤が似合うんだよ」とジョンハンは言い張る。まぁ確かにサンタクロースだから赤は似合うだろう。だけど......。
「いいだろ。別に、ギリセーフだろ。海外からの旅行客の男が赤い浴衣着てたって」
全然ギリアウトだと思うけど、ジョンハンは俺は似合うと言い張るし、お前は似合うとエスクプスも言うし、みんな好きなのを着ればいいよとジョシュアも言うし......。
「絶対バレるよ。それ以前に、色々やらかしそうな気配がプンプンする」
ディエイトが冷静に言う。
心配性だなぁって笑ってるのは95ラインの3人だけで、「バレたら何か罰則ってあったんだっけ?」と言い出したスングァンと、「誰がバレたか判断するんだよ」と言い出したバーノンと、「そりゃ子どもたちの夢を壊すかもしれないんだから、何かはあるよ」と言うディノと......。
マンネラインは結構真剣だったというのに、それを傍目に「大丈夫だって。俺らサンタクロースなんですって言ったって、今の時代誰が信じるんだよ」とエスクプスが堂々と言うのに、ジョンハンもジョシュアも笑ってそうだそうだと同意する。
なんて夢のないサンタクロースなんだって感じ。
「でも飛んでいった時と飛んで帰る時に誰かに見られるかもしれないし、このご時世、動画撮られたら終わりな気がする」
ディエイトが言うのに弟たちが全員頷いた。しかし95ラインの3人はどこ吹く風。
「宇宙船が普通に飛んでる動画とか、宇宙人が歩いてる動画とか、世の中に山とあるじゃん。凝った動画作ったなって思われて終わりだろ」
ってことらしい。
「温泉たまごを持って帰ってきてやるからな」とエスクプスが言えば、「温泉まんじゅうも買うぞ」とジョンハンが言う。それからジョシュアが「温泉のお湯自由にお持ち帰りくださいっていうのもあるんだって。これがあるから俺ら、トナカイで行くことにしたんだよ」と自慢気に言った......。
「え?」「は?」「ん?」「なに?」「どういうこと? どういうこと? ごめんどういうこと?」
弟たちが驚いている中、なんでかディノだけは理解できなかったようで、逆に慌ててた。
「自由にお持ち帰りくださいって書いてあるところで、ガバッて持って帰る人、あんまり見たことないよ?」
とりあえずそう言ったのはジュンだったけど、「なんだよ自由なのに?」「それに温泉は勝手に沸いてるやつだろ?」「誰かが頑張った結果出てるお湯ならそりゃ俺たちだって少しは遠慮するけど」と、エスクプスとジョンハンとジョシュアが言う。
そこまで聞いてディノも理解したんだろう。
「ヒョンたち、それでもダメだよ。遠慮とか、ほどほどとか、それなりとか。サンタクロースなのに俺ら、強欲が過ぎるのは間違ってるよ」
ディノの成長を喜ぶ96ライン以下のヒョンたちを他所に、「だって俺ら13人もいるのに」とエスクプスが言う。
まぁ確かに遠慮してたりほどほどにしてたりしてたら、到底13人分はゲットできないだろう。
いやしかしそれならせめて、自分たちは温泉を本場で楽しむんだから、持ち帰る分は10人分でいいんじゃないだろうか......。
そう思ったのか、「でも自分たちにはお土産いらないよね」とディエイトが言えば、「いやまぁでも判るけど」とドギョムが言って、「温泉が枯れたらどうすんだよ」とミンギュも言った。
サンタクロースなのに強欲が過ぎるとマンネラインが口を揃えていたけれど、「サンタクロースが強欲だと何が悪いんだよ」と、開き直ったジョンハンがいた。
あっちこっちでてんやわんやな状態になっていたけれど、「注目、注目、みんな注目〜」とホシが叫べば、一応みなが静かになった。
しかしホシが何か言う訳でもなかったようで、その代わりに「とりあえず」と口にしはじめたのはウジだった。
この一連の状況を考えて、95ラインの自由気ままな状態を放置できないと思ったんだろう。
ウジが言ったのは、行きは96ラインが送っていく。お土産の温泉は96ラインがほどほどに貰って帰る。帰りは97ラインが迎えに行く。その時もお土産の温泉をほどほどに貰ってくる。2回に分けたらさすがに強欲な感じにはならないだろうし、人も変えるから同じ奴らが根こそぎ持っていった感も出ないだろうし、95ラインが自分たちで行ってトナカイたちを放置してシカだと言い張る事態も起きないし、そもそも95ラインが温泉をゲットするために使う時間も旅行時間に使えるようになって、すべてはきっとwin-winだろう。
なにより温泉だって95ラインが貰うより、もう少し遠慮がちに貰うはずだから。
ほぼほぼ全員がおぉ〜と言い、良い案だと認識されたというのに、今度はマンネラインがズルいと言い出した。
自分たちだけ行けないなんて......ってことだろう。
「いやそもそもお前らは最初から旅行関係ないんだから、ズルいとか関係ないだろ」
エスクプスがそう言えば、「ヒョン何言ってんの? もう話しはほぼ全員で行く状態になってんのに。どうせクユズだってクチルズだって、行ったついでに日帰り旅行とか地元の料理とかを楽しむに決まってるじゃん」とスングァンに猛烈に抗議されていた。
こんな時、プンスカ怒るのはスングァンで、謎に甘えた目を向けてくるのはバーノンで、「ひょぉ〜ん」と、その一言だけを言い続けてどうにかしてこようとするのはディノだった。
まぁそんなマンネラインに勝てるはずもない。
だから送って行くのは96ラインで、迎えに行くのは97ラインで、途中に行って95ラインに奢って貰うのがマンネラインという、謎な枠組みになったけど、ひとまず全員が満足顔だったから、話はようやくまとまった。
まぁそれも、エスクプスが自慢げに、「俺ら大人な店にも行くんだよ〜〜〜ん」とか言い出すまでだったけど............。

湯けむり旅情編 The END

 

よもやまばなし 土産物屋編

96ラインの4人は、95ラインの3人を送ってクリスマスでもないのに夜空を駆けた。トナカイたちと。
真夜中と明け方のちょうど真ん中ぐらいに旅先へとたどり着いたのに、こんな時間でも問題ないとばかりに95ラインの3人は楽しそうに出かけて行った。
日の出を見られるスポットがあるらしく、そこで夜が明けるのを待つという。いつの間にやらミンギュに作ってもらったお弁当まで持って、浮かれた感じの95ラインがいなくなる。
そして96ラインの4人は、サンタクロースだというのに真っ黒な姿でご自由にどうぞ的な温泉をコッソリと汲み始めた。
ウォヌは効能が書かれた説明書きを熱心に読んでいる。ウジにスマホで写せばいいだろとか言われてたけど。
ジュンはその温泉の元が誰かの家の水道とかじゃないだろうかと疑っていた。ホシがそれなら俺ら水泥棒じゃんとか言って笑ってたけど、ウジにもウォヌにもジュンにも、「シーーー」と言われてた。全員、結構盗人な気分だったのかもしれない。
夜が明けるまでには、結構な量の温泉をソリに積み込み、あとはさっさとズラかるのみだったというのに、「お土産買わなきゃ」と言い出したのは珍しくもウジだった。
「だって俺、オンマに温泉に行くヒョンたちを送ってくるって言っちゃったもん」
そうしたら当然のようにウジのママは、「ママは温泉まんじゅうでいい」と言い出し、「パパには適当に絵ハガキとかでいいんじゃない?」とも言われたらしい。
「俺も言った。ヒョンたち送ってきて、温泉を盗んでくるって。でも別にお土産は頼まれなかったけど」
ホシもそう言った。
「俺は何も言ってないけど、ウジとホシの両親が知ってるなら、俺らんとこにも情報は流れるに決まってるじゃん」
ウォヌがそう言う。優しい母は文句なんて言わないだろうが、でもしっかりと当然のように何か貰えるはずと手を出すだろう。
「俺も言ってないけど、でも弟のために、何かは買う予定だった」
ジュンが言う。もう弟だって小さくはない。時々しか会えないから会うたびにデカくなって驚くほどなのに、それでもジュンはどこに行ったって弟へのお土産だけは買う。
それを96ラインは当然知っているから、元からお土産屋さんには行く予定だったんだろう。
「とりあえずソリを隠そう。でもほんとに、トナカイ見つかってもシカだなって思って貰えるのかなぁ」
ホシが言う。
「無理」ウジが一言で切って捨てる。
「シカにも見えないしな」ウォヌは笑う。
「大きさも気配も、結構なにもかも違うし」でっかい角がある真似をして、ジュンも呆れてた。
95ラインのヒョンたちはほんとに......って気持ちになったんだろう。
だから4人は最悪は順番で土産を買いに行けばいいって話になって、着々とお土産を買う段取りをたてていた。気持ち的にはパッと買ってささっと帰ろうって感じだったのに、温泉街の土産物屋の数におののき、土産物屋の中で謎に色んなものがあるのにおののき、謎に高いことにもおののき、そして気前よく色んなモノをお試しで食べてよいと知って足が止まり............。
まさかそんなことになるとは、想像もしてなかった普段は出来る方の、96ラインの4人だった。




 

 

 

 

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