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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

No War! Seventeen's Story 17

注意......

「No War!」は続き物です。そして長いです。
どこかからたどり着いた方はひとまず、contentsページからどうぞ。

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No War! Seventeen's Story 17

ジュンとディエイトとドギョムが歩いた3日の距離を、ディエイトは眠る間も惜しんで1日で駆け戻った。
どうせ1人なら、安心して眠ることはできないから。

3人が揃った時、ドギョムが「今夜寝る場所を探そう」って言ったのに、それを止めて「その前に」と言ったジュンが、「ハオ、走れるか」と聞いてきた。
それだけでディエイトは、スングァンを見つけたんだと知って、泣きそうになったほど。
だから当然「今から行く」と答え、「戻る時には食料と水を頼む」って後ろから聞こえる声に片手をあげて答えて、それから走り続けた。遠くから、「なに? なに? どういうこと? え? ミョンホはどこに?」ってドギョムの声が聞こえてきたけれど、それに答えるジュンの声は聞こえてこなかったから、ディエイトの走る速度はかなりのものだったんだろう。

でも身体は軽かった。
それは多分、気持ちが軽かったから。

ディエイトが駆け戻った時、そこにいたのはエスクプスとジョンハンと、ミンギュとウォヌだけだった。1人だけで、しかも驚くほどの速さで戻ってきたディエイトのその様子だけで、その場にいた全員が緊張と、息苦しさを感じた。喜んでいいはずなのに、素直には喜べない空気だったのは、半分以上はまだ怖さが残っているからなのか、もう望みすぎて全員が幻を見てる可能性も否定できないからか。

呼吸も荒く、汗だくでもあったディエイトが口にしたのは、ジュンたちがいるであろう辺りの場所だけ。

「お前も会ったのか?」

そう聞くミンギュに首を振り、「ごめん、ちょっと寝かせて」って言いながら、ほとんど気絶するようにしてその場で崩れ落ちたディエイトだった。

エスクプスとジョンハンは、少しだけ迷った。この事を今ここにいない人間に伝えるかどうかを。でもディエイトが戻ったことを知れば、確実にジョシュアとウジは気づくだろう。
スングァンが生きていた。判ったのはそれだけで、それだけでも十分だったけど、これ以上バーノンを追い詰めたくはなかった。もちろんウォヌのことも。

だから最初はエスクプスとジョンハンだけが行くと言ったのに、それを話した時に一番反対したのはウジだった。

「全員で行こう。遠くから見るだけでもいいから、この目で動いてるスングァニを見たい、それに全員が揃うのは、もうないかもしれない」

その言葉はその場にいた全員の胸を打った。ジュンとディエイトは、確かにいつまでも一緒にいられるかは判らない。今の立場がどんなものなのかも、まだハッキリしていなかったから。

13人が一緒にいること。それは多分、あの時、ニューヨークに向かう前の宿舎の中で、スングァンを置いて行った日が最後だったはず。最後までスングァンは行きたいとグズっていたのに、その時のスングァンの足の状態では、長時間の飛行機は辛いだろうっていう判断だった。

でも何度後悔しただろう。踊れなくたって、連れて行けば良かった。
一緒にいれば、こんなことにはならなかったのに。
それは全員の胸の中にあった後悔だったから......。

普通にただいまと、おかえりが言えると思ってたのに。

全員で一緒に行く。そう決めたら早かった。

95ラインの3人と、バーノンはその日のうちに歩き出した。日持ちのする食料と水を持ってはいたけれど、歩くのに邪魔にならない程度。それはディエイトほどではないにしろ、できる限り最速で動きたかったから。

「俺らはディエイトをもう少し寝かせておいて、荷物ちゃんと準備してから出るから」

そう言ってミンギュがどこからともなく引いてきたのは、ボロかったけど、荷物が結構運べそうな二輪の荷車だった。

「戻ってこないつもりで、準備するから」

そう言ってたミンギュが見送りがてら少しだけついてきて、「ウォヌヒョンは移動に慣れてないから、ゆっくり行くかも。何かあったらドギョミを走らせて」と言ってきたから、相変わらず出来の良い弟を、エスクプスとジョンハンは交互に抱きしめた。

「やっぱり俺は、お前さえいれば、何も怖くないよ」

エスクプスがそう言うのに、「ヒョンがそう言ってくれるから、俺、頑張れてるんだよ」ってミンギュが照れて笑う。

一瞬エスクプスが『ミアネ』と『コマウォ』、どちらを言えばいいのか悩んでる間にも、バーノンとジョシュアは大分先に進んでて、ジョンハンもそれに続いてた。

「ヒョン、完璧おいてかれてる」

ミンギュがそれを指摘したら、エスクプスが、「ヤー、俺をおいて行くなッ」って叫びながら慌てて駆けて行く。

それから1日かけて準備して、のんびり歩きはじめたミンギュたちだった。

 

The END
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