いまどうしてる? 返信も来ないのにカトクを送る。いくら待ったって既読にすらならないんだから、それも当然だった。
俺はいまから、散歩に行く。
俺はいまから、運動に行くよ。
俺はいまから、お前に会いに行く。
幾つものメッセージが、いつか全部既読になる日を待っている。
朝早いからあまり人がいないのか、減ってしまったからなのかは判らない。
ただ多くの人が眠りについた。
もう数年前から突然眠りについて、起きなくなってしまう人が世界にはいて、それだって感染症なんだとか、とうとう神様の怒りに触れたんだとか。それはある意味死なんだって話もあった。目覚めたって人はいなかったから。
誰も疲れてても眠たいって言葉は言わなくなった頃、「どうしようヒョン。俺、怖いよ」って言い始めたのはスングァンで、眠らないようにしようと頑張っていたけれど、ある日眠ってしまった。
それから次に眠りについたのはディエイトで、眠たいとも怖いとも言わず、「次は俺の番みたい」と言った次の日には眠ってしまった。
その頃には、ただ寝てるだけで、身体の機能は死んでないことはもう判ってたけど、目覚めた人がいるとは聞かなかったから、それはある意味別れの時だった。
どうしようもない。誰にも何もできない。そんな空気が世界中に広がっていた。
「俺ら13人もいるから。2人ぐらい減ってもどうってことないよな」
ジョンハンが言った。
何をバカなこと言ってんだよって、怒った気がする。
「多分あともう1人ぐらい減ったって、どうってことない。どうしてもホシが複雑な構成を考えるなら、いつもみたいに誰かにサポートを頼めばいい」
その時ただエスクプスは怒ることしかできなかったのに、ジョシュアは何かに気づいたんだろう。
「ジョンハナ......」
ジョシュアがジョンハンの名を呼んだ。その響きが物凄い悲しそうで、エスクプスの怒りは一瞬で醒めて。
「お前......」
「俺も行く気がする。でも、誰かが一緒に行ってやらなきゃ」
時間がない中、バカみたいに3人で今後のことを話し合った。
「俺らが戻ってきた時に、不甲斐ない結果しか残してなかったら、本気でキレるからな」
ジョンハンがそう言えば、「お前らがビビり散らかすほど難しい踊りを踊っとくから」とジョシュアが言い返す。
それにうへぇって顔をして、3人で笑った。
そしてそれからしばらくして、ジョンハンも眠りについた。
それからセブチはずっと10人で踊り続けてる。
いつだってホシは13人用の踊りや構成を作って、それから3人分引いて。いつかの時のために、アクロバティックな動きをミョンホに決めて貰うんだとバチクソ無理そうな動きも入れていた。
それはウジだって一緒で、いつかスングァンに歌わしてやると高温を攻めに攻めて、でも結局その代打は自分で、自分で自分の首を締めている。
いつか目覚めると誰かは言う。次の世代を担う存在として選ばれたんだと。別の次元では今も生きていると誰かは言う。人が増えすぎてこの世界はもう限界だったからと。
どれも嘘くさいけど、本当かもしれない。
でも、残された10人はいつだって笑ってた。
「大丈夫だよ。あっちにはユンジョンハンがいるんだから。何も問題なんてないよ」って。
病室にたどり着けば、眠った時のまま、年も取らずに美しいままのジョンハンがいた。
「お前いつ戻ってくる? ウジがまた賞を貰ったし、俺らビルボード1位も3回目だぞ」
最近あった出来事を話しながら、柔らかい髪をそっと手で梳いてやる。長い髪が好きだったのに、髪の長さも眠った時のまま。それだけがちょっとだけ残念だった。
The END