妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

キムミンギュ星になる

 

キムミンギュがいないと生きていけなくなるぞと弟に言われたけれど、鼻で笑っておいた。それの何が悪いのかは判らないし、一生一緒にいるからいいんだよって思ってたのに、ミンギュはあっさりいなくなった。

もっと悲しいかと思ってた。もっと辛くて、1人では生きていけないかと思ってた。
いやでも、全然悲しくないというか、思わず「は?」とか言ってしまったのは、ウォヌのせいではないだろう。

「俺、キューピットの恋の矢で死ぬ人なんて初めて見た」

ってディノが驚いていた。
ウォヌだって驚いた。
いやきっと、その事実を知った人は皆驚いただろう。それから多分、ちょっと笑ったかもしれない。それでもってミンギュのことを知ってる人は、「凄いなキムミンギュ」とかも言っただろう。

なかなか恋のキューピットの矢に当たって死ぬ人はいない。噂では額と心臓と股間に一度に矢を受けると死ぬらしいとか、バカみたいなおとぎ話的な話はあったけど、本当に死ぬ奴がいたとは............。

まぁそんなに恋のキューピットの矢が飛び交う世の中でもないはずだから、そんな事故みたいな死に方は滅多となかったんだろう。
だけど今回は恋の矢は17本も放たれた。

頑張って思いやり貯金をしたスングァンが、一気に17本も頼んだから。狙いはバーノンで。
それを笑って「なんで両想いなのに今さら恋の矢なんだよ」と笑って見ていたミンギュだったのに、小さなクモに驚いてビビって飛び上がって、恋の矢の前に飛び出したとか。そして額と心臓と股間に一度に矢を受けたらしい。

「俺、怒ったらいいのか、悲しんだらいいのか、全然判んないんだけど」

スングァンは泣きながら怒ってた。せっかくの恋の矢のほとんどがミンギュに刺さったからだろう。
まぁ皆から、すでに両想いなのになんで今さらバーノンに向かって恋の矢を、それもあんなに放つんだよと怒られたってのもあるかもしれない。スングァンは「だってボノニが俺と一緒にいても音楽聞いてたりしてヘッドフォンとかしたままなんだもん」とイジイジしながら答えたらしいが、さすがにそんなスングァンだって、こんなことになるとは思ってなかったんだろう。

「いやうっかりが過ぎるだろう」

そう言いながらも一番上のヒョンたちはワラワラと動いてた。
死んでもすぐには天に召されない。天国に行くか地獄に落ちるか。そんな判定を受けるまでの待ち時間的なものがある。だからこそミンギュをどうにか取り戻そうと3人は必死に駆けまわったっていうのに。そんな待合の場所にミンギュはいなかったという。

「え? なに? アイツ地縛霊とか浮遊霊とかになるつもりなのかよ」って言いながらエスクプスがバタついている。
「は? なに? アイツ星になるつもりらしい」って言ったのはジョシュアで、死んだミンギュを探し回った結果、なんでか一人全然違う場所に向かってたミンギュの情報を捕らえたって話だった。
「いやまぁ百歩譲って星になりたいのはいいよ。いいけどなんでアイツ、月に行ってんの?」って呆れてたのはジョンハンで、いやそんなの、向かってこられた月だって困るだろうって話だった。

いや、月だって星だと言われれば間違いはない。
一番光ってる星の方が目立つし、家族が見上げた時に判りやすい方がいいという考えも間違ってない。でも月になられても............。
「やっぱ凄いアイツ」とウジは呆れてた。
「月かぁ............。いや世間様に迷惑じゃない?」と案外まともなことをホシは言っていた。
「まぁ判りやすいのは判りやすい」とジュンは納得してたけど。

ドギョムとディエイトは、とにかく笑ってた。
チングなミンギュのやらかしには慣れているけど、もう面白過ぎたからだろう。
一番上のヒョンたちがミンギュを取り戻すために動いてたのもあったからかもしれない。

バーノンは少しだけ落ち込んでいた。ウォヌに対しても「ヒョンごめん」と言ってきてくれた。全然バーノンは悪くなかったけれど、結局スングァンがキューピットの恋の矢頼りになったのは自分のせいだとでも思ったのかもしれない。
だからって訳ではないけれど、「俺の寿命、5年分ぐらいあげるよ」とも言ってくれた。

死んでしまった人間を生き返らせるには、命が必要だったから。
ミンギュがいなくなったまだ2日。ウォヌはまだ寂しくもなかった。きっと5日ぐらいなら耐えられる。気はする。いやでも3日目には少しだけ寂しくなるかもしれない。

それでも取り戻すつもりだったから、耐えられた。
ウォヌは自分の寿命の半分をミンギュにやるつもりだった。
人よりは短い人生になるかもしれないけれど、ずっと2人で過ごせればそれだって悪くない。濃厚で濃密な人生を生きればいい。それだけだって。

なのに当然のようにディノが「ボノニヒョン、5年は多すぎるよ。12×5だと60だよ? それだとミンギュヒョンだけ生きすぎることになる気がする」とか言い出したから。
もちろんミンギュの両親だって妹だって、当然のように寿命を差し出してくれた。

「ところでさ、生き返ったとしても、キムミンギュはスングァニの事が好きになるんじゃないの?」

明日にはミンギュを取りもどせるって日、突然そう言ったのはホシで、思わず全員でそうかも......ってなる。
恋の矢があれだけ刺さったんだから、それは否定できない。
自分以外の誰かを好きなミンギュをウォヌは想像してみた。

「まぁいいだろ。生きてりゃそれだけで」

考えた結果、すぐに答えは出た。
ミンギュは「エヘヘ」って笑いながら戻って来た。なんでか「月には簡単になれないなんて、知ってた?」とかバカみたいなことを言いながら。でも一番にウォヌのことをしっかりと抱きしめたけど。

ドギョムとディエイトはやっぱりバカ笑いしてた。
スングァンは自分に惚れてないと気づくと、今度は恋のキューピットに対して怒ってた。バーノンとディノはそんなスングァンを宥めてて、一番上のヒョンたちは力尽きたように笑ってた。
それからチングたちは、ウォヌの肩を叩いていった。結構強く。

The END
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