F*ck My Life
SEVENTEEN (세븐틴) 'F*ck My Life' 응원법
SEVENTEEN (세븐틴) 'F*ck My Life' Official MV
SEVENTEEN (세븐틴) 10th Mini Album 'FML'
— 세븐틴(SEVENTEEN) (@pledis_17) 2023年4月17日
Track List
☁ 2023.04.24 6PM (KST)
☁ 2023.04.24 5AM (ET)#SEVENTEEN #세븐틴#FML#손오공 #Super#FxckMyLife pic.twitter.com/2TrYy5yPSw
F*ck My Life
うまくいっていたのに。
人として完璧に生きていたはずなのに、どこで間違えたのか。
ミンギュのことを魅力的だと、羨望のまなざしを向けてたはずの人たちが、なんでか突然目をあわせてもくれなくて、そのくせミンギュのことを盗み見るようにして、それはまるで監視してるようでもあった。
慌てて逃げて、ミンギュは途中で車を潰した。
みんな、人の世界に紛れて暮らすと言ったのに、ユンジョンハンだけは面倒だからって船で暮らすと言っていた。人間の振りをして生きるなんて俺は面倒だからいいよって笑ってた。気をつけて行けよと言ったあの場所で、何かあれば帰って来いよとも言っていた。
うまくいっていたのに。人として、男として、誰かの先輩として後輩として同僚として、ミンギュは完璧だったはずなのに。
でも完璧すぎたんだってことに、気づくのが遅すぎた。
どんなにスピードを出したって、細い路地裏でもすり抜けていける。そんな人間存在しないだなんて、ミンギュはうっかり忘れてた。それだけ順調だったんだろう。
「だから言ったんだ」
それなりな仕事をこなしてた。バリバリじゃないけど、本当にそれなりで、楽しく働いて、楽しく飲み会にも参加して、時々バーノンと映画を見に行って。最初はネクタイだって1人でつけられなくて、仕事前にジョシュアのもとを訪れていたスングァンは、心配して何度も様子を見にきたエスクプスに、「やらかすならミンギュヒョンに決まってるじゃん」と言ったのを覚えてた。
何があったのかは判らない。でも何かはあったんだろう。
事故る風景が見えて、思わず「キムミンギュッ」って叫んでた。ただ驚きすぎて力の制限ができなくて、そのスングァンの声は、そして見た映像が、会社内にいたほとんどの人に伝わってしまっただけ。
逃げないで笑ってやり過ごす方法もあったかもしれないけれど、逃げてしまった。
なんでか朝まで笑って挨拶してたはずの同僚が、スングァンに手を伸ばしてきて、それでさらに怖くなって、見知った会社内を走った。
「ボノナッ! どこッ!」
そう叫んだスングァンの声はやっぱり、ダダ漏れだったけど............。
バーノンは珍しく焦ってた。
大抵のことは気にせず生きてきたけれど、さすがに世界中の人の意識の中に自分の名前と映像が出てしまっては、サーチライトの中を逃げていくような感じで進むしかなくなる。
「ボノナッ! ボノナッ!」
スングァンが必死にそう叫ぶたび、バーノンが幾ら洋服だけじゃなくて髪型や髪色を変えたって、そこら中にバーノンの姿が溢れてしまうんだから。
たぶんスングァンは逃げるのに必死なんだろう。
でもバーノンはスングァンのことは考えないようにした。そうしないと、スングァンの名前と映像が世界中に拡散されてしまうかもしれないから。
キムミンギュが事故ったせいかは知らないが、世界が歪みはじめた。
別段この世界にしがみついてる訳でもなくて、ただ楽しんでただけだから、逃げることになったって別に構わないけど。
バーノンは知らないけど、バーノンのことを知る多くの人がそこら中にいる中、身を潜めながらバーノンは駆け続けた。
ディノは星を見てた。
人間の世界は嫌いじゃないけれど、排他的が過ぎる。
ディノには誕生日が1年に2回やって来る。ほんとなのに、それを話せば嘘吐きだとバカにされた。
「ディノや、人間は1度しか生まれないんだよ」
ジョンハンはそう言ったけど、ディノは2度生まれた。広い世界にはそんな人もいる。ただそれだけのことなのに、なんでそれで仲間はずれにするのか判らない。
そう言ってプンプンしてたら、「チャナ、お前は人間にはまだまだ慣れそうにないな」と笑われた。
ディノは友達ができても、変わってるとか嘘吐きだとか言われてすぐに仲間はずれにされてしまう。でも本気で友達になりたいから、嘘だってつきたくないと思って本当のことを口にしてるってのに。
「ディノや、ミンギュがやらかしたから、みんなが戻ってくるぞ。お前はどうする?」
星を見てたら、遠くの星が何度か点滅して、ジョンハンの声が降ってきた。当然ディノは、「俺も一緒がいいよ」と返して立ち上がる。
いつの間にか家の中に閉じこもって暮らしてたのはドギョムだった。ディノのように本当のことしか言わないと強気になれれば良かったけれど、優し過ぎるからか、人間に寄り添いすぎたからか、傷つくのはもっぱらドギョムばかりで、気づけば家の中から出られなくなっていた。
普通の人間は簡単には人も殺せない。そう聞いていたのに、冷たい視線や言葉はそれだけでドギョムを傷つけた。
でももっと傷つけたのは、優しそうな人たちの、外と中の違いで、親しくなったはずの人たちの心の中にドギョムをバカにする気持ちを見つけては、何も言われてないのに凹んで傷つくのはやっぱりドギョムだけだった。
「楽しいところだけ、満喫しろよ」
ドギョムを見送る時、ジョンハンはそう言った。ドギョムだってそのつもりだったし、皆んなで人間の世界に入った当初は楽しいでしかなかったのに。
案外人間の世界で馴染んでいたのは、予想に反してウジだった。
バリバリ働いている。なんでかこの世界の緑化計画を考えたりもしてる。都市作りも自然の再生も、考えるのも楽しいようで、ましてや他の人が想像できないようなことを提案するからか、いつだって何か仕事が舞い込めば、新しいチームにはウジの名があって。
「仕事と俺と、どっちが大事なんだよ」と、ホシに言われてた。
ウジは当然のように「仕事」と答えていたし、ウジの真実を知らない人からも知る人からも、普通に「仕事が恋人」って言葉がよく似合うと思われていた。
でもミンギュがやらかして、続いてスングァンがやらかして、それでもきっと自分はうまくやっていけると判っていても、どちらを選ぶと聞かれればそれは即決できた。
手にしたのは、自分が手掛けた最後の、やりかけの仕事の一部だった。
たぶん走らなくたってウジは余裕で逃げられる。
でもちょっとミンギュを見習って、止めてあった車に乗り込んでみた。でも、運転したことなんてあったっけ......って考えて、なかったかもと思い出す。
いつだって隣りにはホシがいて、大抵なんでもやってくれていたから。
「あいつは肝心な時に、何やってんだ?」
ウジの文句は、きっとホシにも届いただろう。
ホシは人間が嫌いじゃない。たぶん好きな方だ。
でも同じように動物も好きだから、そういう意味では人間も特別じゃない。
ただ嫌いじゃない。ウジが楽しそうにしてるから、この星だって嫌いじゃない。
たぶんそういうことで、最初はホシだって楽しかった。
色んなものを集めたし、色んなものをウジに自慢した。
でも結局、どんなに色んなものを手にしたって、本当に欲しいものが手に入らないなら、全ては色褪せる。
今度こそ、今度こそはといつも思うけど、どこにいたって、何をしてたって、気になるのはウジのことだけで、楽しそうに笑っていて欲しいけど、できればそれは自分の前だけにして欲しい。
ホシは人間が嫌いじゃない。たぶん好きな方だ。
でもイライラが募って、この世界を握りつぶしたくなる。
気に入って集めた服にキャップにキラキラした飾りに。なのにどれを引っ張りだしても触っても、ホシをイライラとしかさせない。
もしもミンギュがやらかさなかったら、ホシはこの星を壊していたかもしれない。
なんでかウジが再生させようと頑張っている、この星を。
「スニョアッ! 置いてくぞッ!」
そんなウジの声が聞こえてこなかったら、きっと。
ディエイトは人間として暮らすのに、はなから普通の人として生きることは諦めて、自由気ままな芸術家の道を選んだ。
芸術家だけが集うという場所で、色んな人たちと楽しく語らうことだってあった。
でもまぁ、気づけばいつだって1人だったけど。
宇宙を見てきたように語るとバカにされたこともある。見てきたけど。
誰も見たことのない鮮やかな世界は芸術としても次元が違いすぎたのかもしれない。
芸術家なんて皆変わってるものばかりなはずなのに、なんでかその中でもディエイトは孤立したから。
「ちぇ」
寂しくなんてないけど、自分の好きなものを好きな人たちと時をともにするのは、楽しかったのに。
「ちぇ」
気づけば1人、拾った自転車を漕いでいた。
宇宙は広い。だからディエイトと友達になってくれる人間だって、絶対いるはずなのに。
「ちぇ」
寂しくなんてないけど。
ケンカばかりしてたけど、うっかりもののミンギュや優しいくせに鼓膜を破壊しようとしてくるドギョムがちょっとだけ懐かしくなる。
寂しくなんてないけど。
ジュンは走ってた。
1人なら簡単だったけど、スングァンをまずは助けるために囮になったから。
それからドギョムのことも逃して。
「俺は大丈夫だよ。いつもちゃんとハニヒョンところに帰れるもん」
マンネなディノはそう言って笑うけれど、毎回無事に帰れるように、ジョシュアやウォヌが事前に色々やってることには気づかない。
今回もやっぱりジョシュアから、「ジュナ、そっち終わったらディノの方のフォロー頼んだ」と連絡が入ってるってのに。
ジュンは走る。
自分ではあまり意識したことはないけれど、ジュンは走ると光るという。何が光ってるのかは判らないけど、その流れる血なのかもしれないし、オーラ的ななのかかもしれないし、何かがジュンの周りには常にいるのかもしれないし。
だから囮にはちょうどいい。
足は当然ながら早いし、いざとなったら戦えるし、こう見えて判断力もある......と、褒めてたのか貶してたのかは判らないが、そうヒョンたちはいつも言うから。
ジュンは走る。キラキラと、いつだって光を放ちながら。
ウォヌはバスに乗れなかった。
今朝は普通にバスには乗れて、みんな同じ方向を向いて座り、通いなれた道を走るバスは工場地帯へとウォヌのことを運んでいく。
洒落た仕事をしなよとミンギュは言うけれど、ウォヌは工場の中の流れ作業が気に入ってた。
まるで自分が部品の一つになったような心地良さをウォヌは気に入ってたのに、なんでか帰りのバスからは弾かれた。
同じように一緒に働いてたはずの人たちが、ウォヌを無意識に弾き出したのかもしれない。工場の中で不良品が勝手に弾かれるように。
ミンギュがやらかしたことには気づいてたし、続けてスングァンもやらかして、きっとバーノンは必死に逃げているだろう。
だからきっとヒョンたちが動くだろう。
気に入ってたのに............。戻ったら、それとも戻ってきたら。ミンギュに文句を言ってやろうと思いつつ、誰も向かわない場所に向かって歩き始めたウォヌだった。
ジョシュアはいつだって異質で、親しくなる人は多いのに、耐えられる人は僅かだった。
優しさは世界一だというのに、ジョシュアの側に長くいられる人間はいなかった。
「お前、放射能でも放出してんじゃねぇの」と、エスクプスは失礼なことを言う。
「シュアヒョン、ウサギは優しくされないと死ぬらしいから、ウサギ飼いなよ」と、スングァンは本気で勧めてくれるけど、生き物を飼うのは苦手だった。
だからか、ウォヌはジョシュアにウサギの人形をくれた。なんでか工場で働いてて給料だって安いってのに。そう思ってたら、飯をタカリに来ただけだった。
ジョシュアはいつだって異質だけど、人間界に散らばってるチングや弟たちは、それを知ってるからか、皆優しい。
でも誰も、人間たちはジョシュアの10分の1も優しさを持ち合わせてなくて、だからダメなんだとは教えてくれなかったけど............。
時々様子を見に弟たちのもとを周る。
チングのエスクプスはいざって時のために余念がなくて、もう1人のジョンハンは逆に何も気にしてないのか滅多なことでは動こうとしない。
だからやっぱり、弟たちのことはジョシュアが面倒を見る羽目になるっていうのに。
海に船があるのは普通なはずなのに、砂浜にその船があるのはちょっと異質だと知ったのは最近だった。本当ならその手の船を係留しておく場所があって、管理は任せるものらしい。
砂浜じゃ、幾ら海が満ちたって、簡単には船なんて出せないはずだから。
でもこの船は、船のカタチをしているだけで、別に海だけを行く訳じゃない。
車なら盗まれることもあるかもしれないけれど、船ならなかなか盗まれない。免許を持つ人が少ないし、運転技術を持つ人も少ないから。
ジョンハンはそんな船を拠点に、のんびりを砂浜を今日も歩く。
難点と言えば風が強いことと、気づけば髪が潮でギスギスすることぐらいで、人混みの中に自分を置くよりは全然マシだった。
だからって絶対に街に行かない訳でもない。時々は楽しく観光だってするし、美味い店があると言われれば飲みにだって行く。だから一番自分がいいとこどりをしてるとジョンハンは信じてた。
それに頻繁にエスクプスは顔を出すし、弟たちの様子をジョシュアが教えてくれるし。
全員がそれぞれ幸せなら、どこで何をしてようがいい。そしてもしも何かがあったなら、その時は自分がいるからどうにかなる。
そう信じて、ジョンハンは今日も海辺を歩く。
一緒に行こうと言ったのに、ジョンハンは俺はいいよといつも言う。
それはどこの星に行っても、どこの国に行っても。
弟たちのことを一番考えてるのは自分だって自負もあるけれど、いつだって弟たちのために何かを守ってるジョンハンを見ると、自分が一番だとはいえなくなる。
「守り方が違うだけで、ヒョンたちはいつも俺たちのことを守ってるよ」
弟のくせに慰めてくれるのはウォヌで、エスクプスはその言葉に救われることが多い。
ミンギュがやらかして、スングァンがそれに続いて。どこでも異質なものに気づいてしまえばそれを弾き出そうとするのは一緒で。
だからエスクプスはこんな時のためにと仕掛けてあった電源をオフることにした。
そこらの古い遊園地のメリーゴーランドの電源みたいな風情をしてるけど、それをオフればこの世界全ての電源が切れるように仕掛けてた。もちろんちゃんと気を使って、電源がないと生きていけないような、生命維持装置的なものは別にしてある。
ただ、弟たちを守りたいだけだから。
どうしたって光るジュンだけは余計に目立つだろうが、それでもジュンなら逃げ切れるだろう。
たった数分。でもこの世界が暗闇に包まれる。
それはきっと世界中で後世まで不思議な出来事として語り継がれるはず............。
エスクプスがジョンハンを抱きしめる。
「帰ったぞ」って言うのに、「お帰り」と言ってやる。
遠くからは「ハニヒョ〜ン」と誰かの呼ぶ声がして、見ればみんながこっちに向かってくるところだった。
そこにはジョシュアもいて、マンネなディノもいて。うっかりを発動したことなんてすっかり忘れて楽しそうに笑ってるミンギュもいた。
この瞬間が嬉しくて楽しくて幸せだから、ジョンハンはもしかしたら1人どこにも行かないのかもしれないとすら思う。
船に乗る。
13人で乗ってしまえば小さすぎるその船は、当然海だけじゃなく、空だけでもなく、宇宙だって時空だって時代だって超えるから............。
「次はどこに行く?」
マンネなディノが聞く。
多分「土星にしようよ」とか言ったのはバーノンで、「別の銀河系にしようぜ」と言ったのはホシで、「俺は地球が気に入ってるから、時代を遡りたい」と言ったのはウジで。
13人もいるから、まぁジョンハンは笑ってみてるだけだけど、それでも何かが決まるまでにはもう少し時間がかかるだろう。
「俺の意見もたまには聞いてよ」
マンネなディノがそう言っていたけれど、何せディノが行きたいと思ってるのは恐竜がいた時代のことだから、誰からも賛同は得られなかった.........。
The END
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