ウジがAAA2021でベストプロデューサー賞を受賞した夜だって、ウジは宿舎に戻る前に運動に行った。ホシは当然それに連れさられて行った。
メンバーたちは笑ったけど、そんな姿を見てちょっと目が潤んでいたのはエスクプスだったかもしれない。
会場ではどうにか耐えたけど、考えれば考えるほど、嬉しくて自慢で感動して、これまでの苦労が思い出されて、弟たちやチングに囲まれて褒められて称えられてもいつも通りに「みんなのおかげだよ」とか言ってるウジのその姿に感極まったから。
だから帰り着いた宿舎で、95ラインの3人でこっそりと乾杯した。
明日も早朝からスケジュールが詰まってるからと弟たちは早々に眠りについたけど、ジョンハンが「あとでクプスの部屋に集合な」って当然のように口にして、「ディエイトの部屋からワインをくすねてくる」ってニヤって笑ったのはジョシュアで。
きっと高いんだろうなっていうワインで、3人で乾杯した。
ジョシュアはたった一杯だけで、「明日も早いから、俺はもう寝る」って言って部屋を出て行く。
だから残されたジョンハンと2人で、高いんだろうワインをがぶ飲みしながらもウジを褒めたたえながら小一時間は飲んで。
「俺もうここで寝るわ」
そうジョンハンが言うから、一緒に寝る準備をして。
明日だって早いから、全然普通に寝るだけのつもりで当然いたけど、それでも一緒のベッドに入ったらちょっとは抱きしめちゃったりして。
「案外、ワインも悪くないよな」
って言いながらも、甘い空気にだってなってきたっていうのに。
「ハニヒョン、帰って来ないの?」
そう言って突然部屋のドアが開いたと思ったら、ウジがやって来た。
自分たちの宿舎でジョンハンがいなくて、スングァンに聞けば「どうせクプスヒョンのとこでしょ」って言われたらしい。
「おぉ、俺もうここで寝るわ」
2人で眠るベッドの上からそう答えたジョンハンのその姿に、普段のウジなら確実に「おん。じゃぁ明日」とか言っていなくなるはずなのに、部屋の入口でじっとその姿を見ていたウジが何を思ったのか、「じゃぁ俺もここで寝る」とか言い出して、当然のようにエスクプスとジョンハンの間に潜り込んできた。
いやいや。いやいやいやいや。
いくらウジが小さいと言ったって、男3人で寝るのは厳しいだろう。まぁ1人部屋になった時点で、ダブルベッドにしておいたけれど............。
「いや、お前なんで真ん中なんだよ」
しかしとりあえず、それだけは言ってみた。せめて端とかじゃないのかって感じだったから。
「だって真ん中なら布団からはみ出る心配ないじゃん」
「確かに」
なんでかジョンハンが納得して笑ってた。
いや別に、何もはじめるつもりはなかったけれど、それでも抱き合って眠るぐらいはしたかったっていうのに............っていうのに、真ん中を陣取ったウジがなんでか、「俺のことは気にしないでいいよ」とか言ってくる。
「いやお前、ど真ん中にいるのに、気にしないでって............」
だってジョンハンを抱きしめようと思ったら、ウジごと抱きしめる必要があるから。
でも2人の真ん中で早々に寝る体制になったウジが、「だって俺、今日は何しても許される気がするんだもん。クプスヒョンとハニヒョンの真ん中に寝たって、許されると思う」って言うから......。
いつもは誰よりも頑張ってたってそんなことは言わないし、大変さは常に一番なはずなのに弱音も吐かないし。睡眠時間だって確実に一番少なくて、遊ぶのだって仕事ですませて、皆が自分のために使ってる時間もウジはすべてセブチのために使ってるのに、俺はそれが幸せなんだよって言うような奴で。
「バカだな。今日ぐらいじゃないよ。お前はいつだって俺たちにはワガママ言ったって、何したっていいんだよ」
ジョンハンがそう言いながら、ウジを挟んだ反対側から手を伸ばして、寝る体制のウジのことを抱きしめる。だからエスクプスだってこっち側から抱きしめて、ウジ丸ごとハニまで抱きしめた。
「......うん。明日から、また頑張るよ」
だから3人で川の字になって眠る。
でもエスクプスは夜中に蹴り落とされた。さすがに3人で眠るのはきつかったのかと思って見たら、ベッドの上にはホシもいた。
きっとウジを追いかけてきたんだろう。それから、なんでかベッドの向こう側にはジョンハンがすでに落ちていて、その隣りにはスングァンもいた。宿舎に1人で残された結果、後から怖くなったか寂しくなってやって来たのかもしれない。
でも今日は、なんだって許せてしまえる。
そんな夜だった。
The END
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