ディノが楽しそうに笑ってる。いつものように、誰が聞いても「あ、ディノだ」ってわかる声で何が面白いんだか爆笑してる。
その横ではウォヌが、「キヨウォ」とか「キヨㇷ゚タ」とか「キヨンネ」とか。結局カワイイとしか言ってないけれど、ディノのことをベタベタに甘やかそうとしている。
「ヒョン、俺もう子どもじゃないんだから、カワイイ以外の言葉にしてよ」
そうディノがむくれて言う姿にまたしても「キヨ......」と言いかけたウォヌだったけど、ぐっと我慢して、「うん。ディノはカッコよくなったよね」って、結局ベッタベタに甘やかそうとしている。
それに乗っかって、「ディノは自慢のウリマンネだよ」ってジョシュアが言えば、「俺のエギだったのに」ってジョンハンが言い、「お前は俺たちの未来だ」ってエスクプスも言う。
「そんなこと言ったって、俺、1人で後片付けなんてしないよ」
何か騙されるんじゃないかって疑ってかかるディノがいたけど、やっぱり横ではウォヌが「キヨ......」と言いかけていた。
これが普段なら、話はそれぐらいで、色んな話題に埋もれていっただろうけど、ゲームに負け始めれば酔いがまわるのも早まるからか、ディノは結構酔っていた。
だから話題が移りそうになると、「え? もう終わり? 嘘でしょ?」って真顔で言うから、目の前に座ってたウジは思わず飲んでらコーラを盛大に噴き出したほど。
慌てたようにウォヌが「まだまだあるよ。お前の魅力なら山ほど」って言うと、ディノもまた「ヒョン、またそんな」とか言い出す。ミンギュだってジュンだって、ディノがカワイイやら、頑張り屋さんやら、センスがいいやら。色んな誉め言葉を口にして、ディノも謙遜しながらも大満足な感じ。
だから別の話題になりそうになるってのに、またしてもディノが不意に真顔になって「え? ヒョンたちもう終わり? 嘘でしょ?」って言うから、ウジがヒーヒー言って笑ってる。
「お前の踊りは、お前の性格がよく表れてると思う」ってホシが褒める。
「俺の自慢の、ただ一人の弟じゃん」ってスングァンが言う。
「ディノのおかげで、俺は自分の努力がまだまだだって知ったんだよ」ってディエイトが笑う。
ディノがそれぞれの言葉に感動して、「ありがとう」って言いながらも、「俺こそヒョンたちのことが大好きなんだよ」って目をウルウルさせて言うから、当然のようにディノの横ではウォヌが「キヨ......」って言いかけて我慢していた。
でもやっぱり、ドギョムなんて「ちょっとトイレ」って立ち上がったっていうのに、「え? ドギョミヒョン嘘でしょ?」ってディノが止めるから......。
皆で褒めて褒めて褒めて、ドギョムなんてトイレを我慢して褒めて、じゃぁちょっと俺はトイレに......って言って立ち上がるのに、その度にディノに引き留められるから、最後には「俺、漏れると思う」ってジョンハンに泣きついていたほど。
「ずっとずっとこの先も、俺たちが変わっていけるとしたら、それはディノ、お前がいるからだと思う」
ドギョムのトイレの心配をしたからか、笑ってばかりだったウジがディノに向かってそう言った。
さっきまでは笑ってばかりいたのに、突然ディノが泣き出す。
隣りにいたウォヌがちょっと慌てて、「なんだよ、どうした?」って声をかけてもディノは黙って頭を振るばかり。
「素面のウジの言葉だから、だろ?」
ジョンハンがそう言えば、ディノは顔を両手で覆ったまま頷く。
右からはウォヌが、左からはミンギュが、ディノのことを抱きしめる。
その隙にドギョムはジョンハンから「今だ、行ってこい」って言われてトイレにようやく行けていたけど。
「チンチャキヨォ」ってウォヌが言えば、やっぱり「カワイイはダメなんだって」ってディノは復活して、泣きながらも笑ってた。
でもウォヌにしてみれば、どうしたって、笑ってても泣いてても、やっぱりカワイイでしかないのに......。
The END
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